運送会社の事務はきつい？仕事内容から向き不向きまで徹底解説

運送会社の事務職は、物流を縁の下で支える重要な仕事ですが、その一方で「きつい」というイメージを持たれがちです。多岐にわたる業務、突発的なトラブル対応、長時間労働など、確かに大変な側面があるのも事実。しかし、やりがいや成長機会も数多く、適性のある人にはうってつけのキャリアパスと言えるでしょう。本記事では、運送会社の事務職の仕事内容から向き不向きまで、さまざまな角度から解説します。

運送会社の事務職の仕事内容

運送会社の事務職は、配車管理から伝票処理、電話応対まで幅広い業務を担当します。

配車管理と運行管理

配車管理では、ドライバーの勤務スケジュールを管理し、効率的な配送ルートを組み立てます。荷物の量や納期、車両の種類などを考慮しながら、最適な配車プランを作成するのが仕事です。
また、運行管理者として、ドライバーの運転時間や休憩時間が法令に準拠しているかチェックするのも大切な役割です。

伝票処理と書類作成

荷物を配送する際には、必ず運送伝票を発行します。伝票には荷物の内容や個数、発送元と届け先、運賃などが記載されており、これをミスなく処理することが求められます。
また、取引先への請求書や見積書の作成も事務職の重要な仕事です。料金計算を正確に行い、期日までに書類を作成・発送する必要があります。

電話応対とクレーム対応

荷主企業への連絡や問い合わせ対応は、主に事務職が担当します。スムーズな配送のため、荷主とコミュニケーションを取りながら必要な情報を収集・共有します。
配送中のトラブルが発生した際は、迅速かつ丁寧に対応することが求められます。荷主の立場に立って問題解決にあたる姿勢が大切です。
このように、運送会社の事務職は配送業務に欠かせない縁の下の力持ち的存在。マルチタスクをこなす力が求められる仕事だと言えるでしょう。

運送会社の事務職の一日の流れ

運送会社の事務職は、早朝から夜まで目まぐるしく業務をこなしていきます。ここでは、ある事務職の一日の流れを見てみましょう。

始業から昼休憩まで

始業後、まず行うのが当日配送予定の確認です。受注システムや伝票を見ながら、荷物の個数や納期をチェックします。変更や追加があれば、速やかに配車担当や倉庫に連絡を入れます。

ドライバーからの問い合わせにも随時対応。「お客様から再配達の依頼が入った」「事故渋滞で到着が遅れる」など、臨機応変な判断が求められます。午前中は電話が鳴りっぱなしという日も珍しくありません。

午後の業務と残業

午後は伝票処理や書類作成に追われます。各ドライバーが持ち帰った伝票をもとに、運賃の計算と売上の入力を行います。請求書の発行や、未回収金の催促なども仕事です。

ドライバーから「配送先が不在だった」「荷物が破損した」など、配送状況の報告を受ける中で、トラブル対応にも迫られます。荷主への謝罪や、代替品の手配など、素早い問題解決が求められます。

残業をしながら、翌日の配送準備を進めるのが通例。容量や重量をシステムに入力し、配車プランを作成。関連書類を準備します。

繁忙期と閑散期の違い

運送業界は、月初や月末、年度末などの繁忙期と、閑散期の波が大きいのが特徴です。
繁忙期は、通常業務に加えて伝票処理や書類作成が集中。荷主からの問い合わせも増えるため、電話対応に追われます。ドライバー不足に悩む企業では、事務職が仮免許を取得して運転業務に就くこともあるそうです。

一方、閑散期は比較的業務がスローペース。書類の整理や、請求書の発送など、普段後回しになりがちな仕事を片付けるチャンスです。
このように、運送会社の事務職の一日は刻一刻と変化します。突発的な業務も多いため、優先順位を判断しながら仕事をこなす柔軟性と、スピード感が欠かせません。

運送会社の事務職がきついと言われる理由

「運送会社の事務はきつい」とよく言われますが、その理由とは何でしょうか。

多岐にわたる業務と高い要求水準

運送会社の事務職の業務は、配車や運行管理だけでなく、売上管理や書類作成など多岐にわたります。それぞれの業務に高い正確性が求められるため、ミスは許されません。

例えば、配車プランを立てる際は、荷物の最適なルートを考えながら法令順守や運転手の労働時間に配慮しなければなりません。伝票処理では、日付や３金額の誤りが大きな損害につながりかねません。

このように、幅広い業務をこなしつつ、常に高い集中力を保つ必要があるため、事務職の心身への負担は小さくないのです。

荷主都合による突発的な業務

運送業界では、荷主都合による予定変更が日常茶飯事。「明日納品予定の荷物を今日中に届けてほしい」「積み荷を倉庫に持ち帰ってほしい」など、突発的な依頼にも柔軟に対応しなくてはなりません。

配車担当は、ドライバーのスケジュールを再調整し、荷物を積み込める車両を探すことに奔走。伝票担当は、変更後の運賃を再計算し、請求書を作成し直すなど、予定外の業務に追われます。

こうした予測不能な仕事は、事務職の大きなストレス源になっています。

長時間労働とメンタル面での負荷

繁忙期の事務職は、長時間労働が当たり前。朝早くから夜遅くまで、休憩時間も削って仕事をこなすことが少なくありません。
精神的にも負担が大きく、荷主クレームへの対応や、配送トラブルの解決に奮闘する日々。ストレスから体調を崩す事務職も珍しくないと言います。

また、ドライバーとのコミュニケーションの難しさを指摘する声も。荷物の集荷時間や休憩時間をめぐって、現場と事務所の考えが食い違うこともあるようです。
このように、運送会社特有の多忙さやプレッシャーが、「事務職がきつい」と言われる大きな理由だと言えるでしょう。

運送会社の事務職のメリット

運送会社の事務職は大変な仕事ですが、やりがいを感じられる場面も多くあります。ここでは、事務職ならではのメリットを紹介しましょう。

物流の重要性を実感できる

事務職は、トラックの手配や運行管理を通じて、物流インフラを影で支える存在です。「この荷物を届けることで、お客様の生活や仕事に貢献できる」という喜びや誇りを感じる瞬間が多くあります。

例えば、生鮮食品を届ける仕事。商品の鮮度が命なので、厳しい時間指定で配送しなくてはなりません。夜通し伝票を処理し、万全の配車体制を整えたときの達成感は格別だと言います。

給与が高い

大手運送会社の事務職の場合、年収600万円以上の求人もあれば、中小企業では400万円程度のケースもあります。また、管理職となれば、年収800万円を超えることも珍しくありません。

運送会社の事務職の年収は、同じ事務職でも他業界と比べてやや高めの水準にあると言えます。業界の成長性と社会的意義の高さが、それを後押ししているのかもしれません。

「やりがいを感じられる仕事で、安定した収入を得たい」そんな希望を叶えられるのが、運送会社の事務職の魅力だと言えるでしょう。

マルチタスク力が身につく

事務職は、電話対応をしながら伝票を処理したり、配車予定を立てつつ書類を作成するなど、同時に複数の仕事をこなす必要があります。最初は戸惑っても、徐々にマルチタスクがこなせるようになるでしょう。

また、突発的なトラブルや予定変更にも冷静に対応する判断力が養われます。どの業務を優先し、どう効率化するかを常に考える習慣が身につきます。

チームワークとコミュニケーション力が向上する

運送会社の仕事は、ドライバーや倉庫、営業など、他部署との連携が欠かせません。情報共有とコミュニケーションの質が、業務の成否を分けると言っても過言ではありません。

事務職として働く中で、報告・連絡・相談を徹底する大切さを学びます。ドライバーの立場に立って配車を考えたり、倉庫の事情を汲み取って荷物の優先順位をつけるなど、円滑な業務遂行のためのチームワークを発揮する力が身につくでしょう。

また、荷主や配送先との折衝では、クレームへの適切な対応が求められます。相手の話に耳を傾け、冷静に問題解決策を提示する。コミュニケーション力が鍛えられる機会が多いのも事務職の特徴です。

このように、運送会社の事務職は大変な仕事ですが、それ以上にスキルアップできるチャンスに溢れています。物流の最前線で働く充実感と、自己成長を実感できるのが大きな魅力だと言えるでしょう。

運送会社の事務職に向いている人

運送会社の事務職は、誰にでも務まる仕事ではありません。ここでは、この仕事に向いている人材像を考えてみましょう。

臨機応変に対応できる

運送業界では、荷主都合による予定変更や配送トラブルなど、予測不能な出来事が日常茶飯事。状況に合わせて柔軟に対応策を考え、素早く行動に移せる人が求められます。
「マニュアル通りにしか動けない」「段取りが狂うと仕事が手につかない」といったタイプには不向きかもしれません。臨機応変な判断力と行動力が、運送会社の事務職に欠かせない資質だと言えます。

正確かつスピーディーに作業できる

伝票処理や書類作成など、細かい作業に正確さが求められるのが事務職の宿命。「ミスは許されない」という緊張感を持ちつつ、スピード感を持って処理をこなす能力が問われます。

「細かいことが得意」「ダブルチェックを習慣にしている」など、正確性を重視する人は事務職に向いているでしょう。同時に、締切を意識して効率的に作業を進められるスピード感も必要です。

粘り強く問題解決にあたれる

配送クレームや社内の意見対立など、事務職は問題解決の場面に遭遇します。「原因を追究し、再発防止策を考える」「関係者の納得を得られる落としどころを探る」など、地道な努力が欠かせません。

諦めずに粘り強く取り組む姿勢が、信頼される事務職の条件だと言えます。「困難な課題にワクワクする」「人の話に耳を傾け、意見をまとめるのが得意」といった資質を備えていると、この仕事で力を発揮できるかもしれません。

運送会社の事務職に向いていない人

一方、運送会社の事務職が性に合わないタイプの人もいます。自分に当てはまる特徴がないか、チェックしてみましょう。

マルチタスクが苦手

「一つのことに集中したい」「同時に複数の仕事をこなすのが苦手」という人は、運送会社の事務職には不向きかもしれません。電話対応、伝票処理、配車調整など、次から次へと舞い込む仕事を同時並行でこなすのが事務職の日常です。一つ一つの作業に没頭するタイプの人には、ストレスが溜まりやすい環境だと言えます。

コミュニケーションが不得意

社内外の関係者と円滑にコミュニケーションを取ることが、事務職には欠かせません。「人見知りする」「自分の意見を言葉にするのが苦手」といった人は、この仕事で苦労するかもしれません。

ドライバーに配送指示を出したり、荷主からのクレームに対応する際は、明確かつ丁寧な言葉での意思疎通が必要不可欠。コミュニケーションが不得意だと、業務に支障をきたすこともあります。

定時で仕事を切り上げたい

「プライベートの時間を大切にしたい」「残業は限りなくゼロにしたい」と考える人は、運送会社の事務職との相性は良くないかもしれません。

繁忙期のトラック業界では、荷物量が増大し、深夜までの残業が当たり前になります。「定時で帰ることにこだわる」スタンスでは、チームの足を引っ張ると見なされてしまう恐れがあります。
このように、マルチタスクや対人コミュニケーション、勤務時間の融通が利かない人は、運送会社の事務職に不向きだと言えそうです。

おすすめ転職サイト2選

「運送会社の事務職に興味はあるけれど、何から始めたら良いかわからない」という人は、転職サイトを上手に活用してみましょう。

1. doda

dodaは、パーソルキャリア株式会社が運営する日本最大級の転職サイトです。全国の幅広い業種・職種の求人情報を掲載しており、正社員からアルバイト・パートまで、様々な雇用形態の仕事を探すことができます。

dodaの特徴は、業界に精通したキャリアアドバイザーによる手厚いサポート。履歴書の添削や面接対策など、転職活動のさまざまな場面で専門家のアドバイスを受けられます。また、企業の担当者と直接やりとりできる「スカウト機能」や、年収査定ツールなども用意されています。

さらに、転職に役立つ情報コンテンツが充実しているのもdodaの魅力。業界動向や職種ガイド、転職成功事例など、転職に関する幅広い記事を読むことができます。

2.物流プロ.com

物流プロ.comは、物流業界に特化した情報サイトです。物流ニュースや運送業界の動向、倉庫管理や物流業務の効率化に関する記事など、物流のプロフェッショナルに役立つ情報を幅広く発信しています。

また、トラックドライバーや物流会社の事務職など、物流業界で働く人々のキャリア形成を支援するコンテンツも充実。職種ごとの仕事内容や必要なスキル、インタビュー記事などを通じて、物流業界で活躍するためのヒントを提供しています。

物流業界で働く人はもちろん、これから物流業界を目指す学生や転職希望者にとっても、有益な情報が満載の物流専門サイトです。

まとめ:大変さを乗り越えれば、やりがいと成長を実感できる

運送会社の事務職は、確かに大変な仕事です。多岐にわたる業務をこなしつつ、高いレベルの正確性と迅速性が求められます。荷主都合の予定変更への柔軟な対応、長時間労働に伴う心身の負担など、ストレスフルな環境であることは間違いありません。

しかし、物流インフラを支える社会的意義や、ドライバーや他部署と協力し合う一体感。スキルアップを実感できる成長機会の数々。この仕事の魅力は、大変さに負けないほど大きいと言えるでしょう。

運送会社の事務職は、正社員雇用が多く、働きながらキャリアアップできるのも魅力です。例えば、配車担当からドライバー管理、物流管理へのステップアップ。あるいは営業事務から法人営業への転身など、様々なキャリアパスが用意されています。

もちろん、この仕事は誰にでも向いているわけではありません。「正確さとスピード感を両立できるか」「臨機応変に問題解決できるか」など、向き不向きを見極めることが大切です。
「運送会社の事務職で働きたい」と思ったら、まずは自己分析をしっかり行い、業界専門の転職サイトを活用してみてください。

「大変だけど、やりがいがある」そんな充実した毎日を過ごせるチャンスが、この仕事にはあるのです。