運行管理者の給料は？仕事内容や年収、未経験からの転職について解説！

運行管理者は、運送業界において安全輸送とコスト管理の要である重要な役割を担っています。その仕事内容は多岐にわたり、大きな責任が伴いますが、やりがいも大きく、キャリアアップの可能性も広がる魅力的な職種です。この記事では、運行管理者の給料事情、仕事内容、なり方、資格取得方法などを詳しく解説します。

運行管理者の年収・給料事情

運行管理者の平均年収

運行管理者は、運送業を支える重要な役割を担っているため、比較的高めの年収水準となっています。中小企業に勤務する正社員の運行管理者の場合、年収は300万円〜400万円ほどが相場です。一方、大手企業であれば年収600万円〜800万円に達することも珍しくありません。

タクシー会社に勤務する運行管理者の平均年収は、350万円〜400万円程度と言われています。

経験年数による給与の違い

運行管理者の給与は、経験年数によっても差が出てきます。経験の浅い運行管理者は、年収300万円前後からスタートすることが一般的です。徐々にキャリアを積んでいくことで、400万円台、500万円台へと昇給していくでしょう。

ベテランクラスともなれば、600万円以上の高年収を得ているケースが多いです。大手企業であれば、経験豊富な運行管理者の年収が800万円を超えることもあります。

運行管理者の給料アップのコツ

運行管理者の給料をアップさせるためには、国家資格の取得がおすすめです。運行管理者試験に合格すれば、キャリアの選択肢が広がり、高年収の企業からもオファーをもらいやすくなります。

また、運送業界の動向に詳しくなることで、ニーズの高い企業を見極められるようになるでしょう。自分のスキルを客観的に評価し、適正な報酬を受けられる環境を探すことが肝心です。日々の業務の中で、コスト削減や業務効率化につながるアイデアを出していくのも、給与アップにつながる方法の一つと言えます。

運行管理者の仕事内容

車両管理の責任

運行管理者は、会社が保有する車両の管理全般を担当します。トラックなどの車両が常に安全に運行できるよう、定期的な点検と整備を欠かさず行う必要があります。

車両の不具合を放置すれば、重大な事故につながりかねません。運行管理者は、車両の状態を常に把握し、少しでも異常が見つかれば迅速に対応しなければなりません。

また、会社の車両台数が適正か、増車や減車の必要性はないかなど、車両の管理計画を立てるのも運行管理者の役割です。限られた車両を効率的に活用し、会社の収益向上に貢献することが求められます。

運行スケジュールの作成と管理

運送業務を滞りなく遂行するには、綿密な運行スケジュールの作成が不可欠です。運行管理者は、荷主の要望や納期、ドライバーの人数や能力などを考慮しながら、最適な運行計画を立てていきます。

その際、法令で定められたドライバーの連続運転時間や休憩時間を守ることが大切です。無理のないスケジュールを組むことで、ドライバーの安全と健康を守り、事故のリスクを減らすことができるのです。

運行スケジュールは、日々の交通状況や天候によって変更を余儀なくされることもあります。運行管理者は、状況の変化に応じて臨機応変に対応し、スケジュールの調整を行う必要があります。

配送ルートの選定

運行管理者は、配送先への最適なルートを選定する責任も負っています。ただ単に最短距離のルートを選べば良いというわけではありません。渋滞のリスクが高いエリアは避け、事故の多発地帯は迂回するなど、安全面への配慮が欠かせません。

また、狭い道や Bridge of weightsの多いルートは、トラックの通行に適していません。運行管理者は、車両の特性を理解した上で、最適なルート選定を行わなければなりません。

日々刻々と変化する道路の状況を把握するためには、国土交通省や警察などが発表する交通情報をこまめにチェックすることが大切です。運行管理者は常に最新の情報をキャッチし、ルート選定に活かしていく必要があります。

安全管理と事故防止対策

運送業務における安全の確保は、運行管理者の最も重要な責務の一つです。交通事故を未然に防ぐために、ドライバーへの安全教育を欠かすことはできません。

運行管理者は、ドライバー全員が交通ルールを正しく理解し、安全運転を心がけるよう指導しなければなりません。日頃から安全運転の重要性を説き、ドライバーの意識を高めていくことが求められます。

さらに、事故が起こるリスクの高い場所や状況を分析し、具体的な事故防止策を講じることも運行管理者の役割です。例えば、ヒヤリハット事例を収集し、再発防止策を全ドライバーに周知するなどの取り組みが考えられます。

ドライバーの労務管理

運行管理者は、ドライバーの労務管理にも気を配る必要があります。トラックの運転は、長時間にわたる単調な作業であるため、ドライバーの心身の疲労は蓄積しやすくなります。

疲労の蓄積は、集中力の低下を招き、事故のリスクを高めてしまいます。運行管理者は、ドライバーの健康状態を常に気にかけ、十分な休養が取れているかをチェックしなければなりません。

また、法令で義務付けられている点呼の実施も、運行管理者の重要な仕事です。点呼時には、ドライバーの健康状態を確認し、安全運転を呼びかけます。運行管理者は、ドライバーとのコミュニケーションを大切にし、些細な変化も見逃さないよう心がける必要があります。

運行管理者になるメリット3点

運行管理者になるメリットは多数あります。ここでは主なメリットを3つ解説します。

1.運送業界でのキャリアアップ

運行管理者は、運送業界では非常に重要な役職です。需要の高まりとともに、運行管理者の必要性は今後ますます高まっていくことが予想されます。運行管理者の資格を取得することで、運送会社の中核を担うポジションにつくことができるでしょう。

キャリアアップの可能性が広がるだけでなく、管理職への昇進や、独立して自分の運送会社を立ち上げるといった選択肢も生まれてきます。運送業界でのキャリア形成を目指すなら、運行管理者は非常に魅力的な職種だと言えます。

2.やりがいのある仕事

運行管理者は、運送業務の要ともいえる重要な仕事です。安全で効率的な輸送を実現するために、運行管理者は多岐にわたる業務をこなす必要があります。

常に問題解決を迫られる忙しい仕事ではありますが、その分やりがいも大きいと言えるでしょう。自分の判断と行動が、会社の業績向上に直結することを実感できます。

ドライバーの安全を守ることができた時や、輸送コストを大幅に削減できた時など、運行管理者にはやりがいを感じる瞬間が数多くあります。責任の重さとプレッシャーに負けない強い意志を持つ人に向いている仕事だと言えます。

3.資格を活かした転職の選択肢

運行管理者の資格を取得すれば、転職の選択肢が大きく広がります。運送会社はもちろん、物流会社や通販会社など、輸送を必要とするあらゆる業種で活躍できます。

特に、運行管理者の資格は国家資格であるため、転職市場での価値が高く、優遇される傾向にあります。転職を有利に進められるだけでなく、前職よりも条件の良い職場に巡り会えるチャンスが増えるでしょう。

さらに、資格取得後は、自分のペースでスキルアップを図ることができます。輸送のエキスパートを目指して、より専門性の高い知識を身につけていくことで、さらなるキャリアアップも狙えます。

運行管理者のメリット・デメリットは『運行管理者のリアルな実態に迫る！デメリットとメリット、キャリアの全て』の記事で詳しく解説しております。

運行管理者の資格取得方法

運行管理者になるには資格を取得する必要があります。ここではその方法を具体的に解説します。

国家資格試験の概要

運行管理者になるためには、国土交通省が実施する運行管理者試験に合格し、国家資格を取得する必要があります。試験は年に1回、8月上旬に全国の主要都市で一斉に行われます。

試験は、学科試験と口述試験の2種類に分かれています。学科試験では、貨物自動車運送事業法や道路運送車両法など、運行管理者として必要な知識が問われます。合格基準は7割以上の得点率です。

一方、口述試験は学科試験の合格者のみが受験できます。面接形式で行われ、運行管理者としての適性や judgment能力などが評価されます。両方の試験に合格して、初めて運行管理者の資格が取得できるという仕組みです。

受験資格の条件

運行管理者試験を受験するには、一定の条件を満たす必要があります。受験資格は、次の2つの方法で得ることができます。

1.実務経験による受験資格

貨物自動車運送事業に従事した経験が5年以上ある場合は、実務経験による受験資格が与えられます。ただし、運転手としての経験年数ではなく、運行管理に関わる業務に従事した年数がカウントされます。

2.基礎講習の修了による受験資格

実務経験が5年未満の場合でも、国土交通大臣が認定した基礎講習を修了すれば、運行管理者試験の受験資格が得られます。基礎講習は、運行管理に関する基礎知識を学ぶための講習で、通常は15日間のカリキュラムとなっています。講習を修了するには、出席率95％以上が求められ、修了試験に合格する必要があります。

初めて運行管理者として働く方へ：未経験でも入社可能？

運行管理者の資格を取得していれば、未経験でも運送会社に就職できるチャンスはあります。ただし、即戦力としてすぐに運行管理の仕事を任されるわけではありません。

まずは先輩運行管理者の下で、実務を学ぶ期間が設けられるのが一般的です。会社によっては、運行管理補助という肩書きで採用され、一定期間の研修を経てから運行管理者に昇格するケースもあります。

未経験者でも運行管理者の仕事にチャレンジできる機会はありますが、即戦力として活躍するためには、資格取得後も継続的な学習が必要不可欠です。日々の業務の中で知識と経験を積み重ね、スキルアップを図っていくことが求められます。

試験勉強のコツ

運行管理者試験の筆記試験の合格率は、例年30％前後で推移しています。難易度が高い試験だからこそ、計画的な受験勉強が欠かせません。まずは、試験範囲を確認し、学習計画を立てることから始めましょう。

効率的に学習を進めるためには、教材選びが重要なポイントになります。運行管理者試験対策に特化した専門書や問題集を活用し、出題傾向を押さえておくことが合格への近道です。

また、独学だけでは心細いという人は、通信講座の受講がおすすめです。プロの講師による分かりやすい講義や、合格サポート体制が充実した講座を選べば、合格の可能性がグッと高まるはずです。

下記の記事でも詳しく解説してますので、参考にしてみてください。

2024年6月19日 運行管理者試験の合格率が低い理由とは？合格するポイントを徹底解説

まとめ

運行管理者は、運送業界の安全と効率を支える重要な存在です。その仕事内容は多岐にわたり、大きな責任が伴います。しかし、その分やりがいも大きく、キャリアアップの可能性も広がる魅力的な職種だと言えるでしょう。

運行管理者になるためには、国家資格の取得が必須です。試験の難易度は高く、独学での合格は難しいとされています。効率的な学習計画を立て、適切な教材や講座を選んで、万全の準備で試験に臨むことが肝要です。

資格を取得し、運行管理者としてのキャリアをスタートさせれば、ドライバーの安全を守り、輸送の効率化を実現する、やりがいに満ちた日々が待っています。法令順守と安全運行を常に心がけながら、運送業界の発展に尽力する。それが運行管理者の使命であり、働きがいでもあるのです。