タクシードライバーは稼げる？年収・給料事情から働き方まで徹底解説！

タクシードライバーは、努力次第で高収入を得られる魅力的な職業です。しかし、年収は営業エリアによって大きく異なり、仕事内容や働き方も他業種とは違う特徴があります。本記事では、タクシードライバーの年収事情から働き方、未経験者の転職までを徹底解説。効率的に稼ぐコツもお伝えします。

タクシードライバーの年収と地域格差

全国のタクシードライバーの平均年収

タクシードライバーの日本全国での平均年収は、約357万円となっています。この数字は、2019年の統計に基づくものです。男性ドライバーの平均は約360万円、女性ドライバーは約306万円と、やや男性の方が高い傾向にあります。ただし、これは女性ドライバーに夜勤が少ないことが主な理由で、タクシー業界において性別による収入格差はほとんどないと言えるでしょう。

都市部と地方で大きく異なる年収

タクシードライバーの収入は、営業エリアによって大きな差が出ることが特徴です。東京や大阪など大都市圏では、タクシー需要が非常に高く、人口も多いことから、ドライバーの収入も自然と高くなります。一方、地方都市や過疎地域では、タクシーの利用者自体が少ないため、どんなにベテランドライバーでも稼ぎに限界があります。この地域間格差は、月収にして20万円以上の差となることもあるのです。

高収入エリアのトップ5と低収入エリアワースト5

タクシードライバーの収入が高いエリアトップ5は、東京都（平均年収481万円）、神奈川県（413万円）、大阪府（411万円）、静岡県（409万円）、千葉県（389万円）となっています。いずれも大都市圏や人口集中地域であることがわかります。
一方、収入が低いワースト5のエリアは、徳島県（205万円）、宮崎県（232万円）、鳥取県（235万円）、秋田県（237万円）、大分県（240万円）です。人口が少なく、タクシー需要が限られる地方都市が並んでいます。
（出典：一般社団法人全国ハイヤー・タクシー連合会）

タクシードライバーの仕事内容

タクシードライバーの主な業務

タクシードライバーの主な仕事は、お客様を目的地まで安全に送り届けることです。お客様を乗せる方法としては、「流し」と呼ばれる街中の営業、駅やホテル、繁華街などでの「付け待ち」、そして配車アプリやタクシー乗り場での事前予約に応じた送迎などがあります。行き先は、近距離の乗り継ぎから、遠方への長距離運転、深夜の帰宅支援まで様々。車両の運転だけでなく、乗客との会話、料金メーターの操作、クレジットカード決済など、接客業としての側面も重要な業務内容です。

必要な免許と資格

タクシードライバーになるためには、普通自動車第二種免許の取得が必須です。二種免許は、一種免許（通常の運転免許証）の保有者が、さらに国土交通大臣の認定する講習を修了することで取得できます。法改正により、2022年からは一種免許の保有期間が通算1年以上あれば、21歳未満でも二種免許の取得が可能になりました。
また、東京23区や政令指定都市などタクシー台数の多い地域では、地理試験に合格する必要もあります。こうしたハードルの高さから、近年はタクシー会社側が二種免許の取得費用を全額負担するケースも増えています。

求められるスキルと適性

タクシードライバーには、安全運転はもちろん、お客様への丁寧な接客対応が求められます。目的地までスムーズに運転できる地理感覚、好印象を与える身だしなみ、清潔な車内空間の維持など、プロドライバーとしての自覚と心構えが欠かせません。体力面では、長時間の運転に耐えうる体力と集中力、夜勤や交代勤務への適性が問われます。また、スマートフォンアプリなどのIT機器への親和性も重要です。接客業としての適性に加え、こうしたタクシー業界特有の資質も備えていることが理想的だと言えるでしょう。

タクシードライバーの働き方

シフト制の勤務形態

タクシードライバーの勤務形態は、大きく分けて日勤と夜勤のシフト制となっています。日勤は朝から夕方まで、夜勤は夕方から翌朝までの勤務が一般的です。会社によっては、隔日勤務と呼ばれる、丸一日働いた後に丸一日休むという変則的なシフトを採用しているところもあります。いずれにせよ、タクシーの需要に合わせた柔軟な働き方が特徴と言えます。ドライバーの希望を考慮しつつ、効率的なシフトを組むのが営業所の役目です。

歩合制の給与体系

タクシードライバーの給与形態は、基本給プラス歩合制が一般的です。つまり、売上に応じて歩合が上乗せされるシステムです。歩合の割合は会社によって異なりますが、売上の3〜5割程度が相場と言われています。売上が全て歩合になる完全歩合制の会社もありますが、安定収入を重視するドライバーからは敬遠される傾向にあります。一方、固定給のウェイトが高いと、頑張りが収入に反映されにくいというデメリットも。完全歩合と固定給の中間、いわばハイブリッド型の給与体系が主流になりつつあります。

福利厚生と休暇

タクシー業界の福利厚生は、基本的には他の業界と同様です。社会保険や厚生年金、雇用保険などに加入し、法律に則った労働環境が整備されています。業界特有の制度としては、事故に備えた共済会費の徴収などがあります。
年次有給休暇の取得率は比較的高く、ドライバーの約7割が取得しているというデータもあります。育児休業や介護休暇など、ライフステージに合わせた休暇制度も充実しつつあります。総じて、働きやすい職場環境づくりに注力する会社が増えていると言えるでしょう。

タクシードライバーの一日のスケジュール

出勤から退勤までの流れ

タクシードライバーの一日は、アサインされた車両を点検することから始まります。タイヤの空気圧や、ワイパーの動作確認、ガソリンの残量チェックなどを行い、車内も清掃します。
営業所に出勤し、当日の注意事項を聞いたら、いよいよ営業開始です。GPSや配車システムを活用しながら、自分の担当エリアに向かいます。流しや付け待ちをしつつ、配車依頼にも対応。スマートフォンのアプリを使いこなすことが、効率的な営業につながります。
乗客を乗せれば、行き先を確認し、安全運転で目的地まで送ります。料金メーターを操作し、現金やクレジットカードで決済。一連の接客によって、ドライバーの人となりが乗客の印象に残ることも。日々の営業の積み重ねが、リピーターの獲得や売上アップに直結します。
昼と夜の2交代制の場合、概ね4〜6時間の勤務を2回行います。会社によって多少異なりますが、16時間の拘束時間内に11時間程度の実働というのが相場です。間の休憩時間には、仮眠や食事、営業所への帰着などを行います。1日の売上目標を達成したら、アサインされた車両を返却。売上金の精算を行い、後続のドライバーに引き継ぎます。

車両点検と清掃

タクシー車両は、ドライバーの売上を左右する大切な相棒です。毎日の始業点検では、前日の走行距離や、エンジンのかかり具合、ブレーキの効きなどを細かくチェック。万が一不具合があれば、整備担当に連絡し、修理や代車の手配を行います。
車内清掃も、乗客満足度に直結する重要な業務です。フロアマットは掃除機で丁寧に吸い取り、座席シートは拭き上げて、ゴミやほこりを取り除きます。窓ガラスの汚れや指紋、車内の消臭にも気を配ります。ドライバー自身の身だしなみと合わせ、清潔感のある空間を保つことが何より大切だと言えるでしょう。

営業中のルーティンワーク

タクシードライバーの仕事は単調に見えて、実は変化に富んでいます。信号待ちの間に、次の営業場所への移動ルートを考えたり、配車依頼の内容を確認したりと、頭を使う場面が多いのです。
GPSナビやタブレット端末を活用して、効率的に営業することも重要なスキルです。慣れないうちは戸惑うこともありますが、先輩ドライバーに教わったり、マニュアルを読み込んだりと、日々学ぶ姿勢が欠かせません。
乗客との会話も、単なる世間話ではありません。行き先や目的を丁寧に聞き取り、安心して乗車してもらうためのコミュニケーションです。乗客の話に耳を傾けつつ、プライバシーにも配慮する、そんな心遣いが良い接客につながります。
料金メーターの操作、クーポン券の受け取り、領収書の発行など、細かい作業にもミスは許されません。一つひとつの積み重ねが、プロドライバーとしてのキャリアを築いていくのです。

タクシードライバーで稼ぐコツ

需要の高いエリアと時間帯を狙う

タクシードライバーの売上を左右するのが、需要の高いエリアと時間帯を見極める力です。繁華街やビジネス街、駅周辺は乗客の多い定番スポットですが、他のドライバーとの競合も必至。
そこで、独自の営業フィールドを開拓することが重要になります。例えば、早朝の魚市場や、深夜の飲食店街など、他のドライバーが見落としがちな場所を狙うのです。長年の経験やデータ分析によって培った勘が、ここでは生きてきます。
時間帯についても、日中よりも深夜や早朝の方が、実は効率よく稼げることが多いのです。ただし、労働時間や睡眠リズム、家族との時間なども考慮しなくてはなりません。プライベートとの両立も踏まえた、計画的なシフト管理が求められます。
タクシー需要は常に変化し続けるもの。新しい施設や商業施設のオープン、交通網の整備など、街の変化にもアンテナを張ることが大切です。変化を先取りし、新しい需要を掘り起こすことで、他のドライバーとの差別化を図れるでしょう。

接客スキルを磨いてリピーターを増やす

単なる運転手ではなく、サービス業としての意識を持つことが、タクシードライバーの接客スキルを磨く上で欠かせません。乗客一人ひとりに合わせた、きめ細やかな対応が求められるのです。
例えば、高齢者には乗降時の手助けを、観光客には名所の説明を、ビジネスパーソンには最短ルートの提案を。乗客のニーズを想像し、一歩先を行く接客が、リピーターの獲得につながります。
言葉遣いやマナーはもちろん、乗客との会話によって信頼関係を築くことも重要です。ただし、プライベートな質問には答えすぎないなど、適切な距離感を保つ配慮も必要です。
リピーターからの指名が増えれば、自然と売上アップにつながります。接客の質を高め、ファンを増やすことが、タクシードライバーの腕の見せどころだと言えるでしょう。
会社によっては、優良ドライバーの表彰制度を設けているところもあります。サービス品質の向上は、ドライバー個人だけでなく、会社全体の業績アップにも直結するのです。

効率的な車内設備の活用法

カーナビやタブレット端末、クレジット端末など、タクシー車内の設備は年々高度化しています。これらの機器を効率的に使いこなせるかどうかが、ドライバーの収益力を大きく左右します。
カーナビは目的地までの最適ルートを素早く見つけるために不可欠。渋滞情報などリアルタイムデータも活用しつつ、乗客を待たせないルート選択が求められます。
タブレット端末には、GPSによる自車位置の把握、配車依頼の確認、決済処理など、多岐にわたる機能が集約されています。操作方法に習熟し、スムーズに対応できれば、接客の質が高まることは言うまでもありません。
ただし、高度な設備は経験の浅いドライバーには使いこなせないこともあるでしょう。日々の学習に加え、先輩ドライバーに教わるなど、機器への理解を深める努力が欠かせません。
会社によっては、タブレット端末の使い方に関する研修を実施しているところもあります。提供される学びの機会を

未経験者でもタクシードライバーになれる？

未経験者歓迎の求人が多数

タクシー業界では、ドライバー不足が深刻化しており、未経験者の採用に力を入れる会社が増えています。求人情報を見ると、「未経験者歓迎」「経験不問」といった文言が目立ちます。
特に、二種免許の取得費用を全額負担してくれる会社や、入社後の研修制度が充実している会社は、未経験者にとって魅力的と言えるでしょう。年齢については、60歳以上の方を積極採用する会社もあれば、若手ドライバーの育成に力を入れるところもあります。
タクシー業界への転職は、他業種からのセカンドキャリアとしても人気が高まっています。「人と接することが好き」「車の運転が得意」といった適性があれば、未経験でもチャレンジできる世界だと言えます。
ただし、求人票だけでは伝わらない業界の実情もあります。実際の営業エリアや勤務形態、給与水準など、気になる点は面接時に具体的に質問することが大切です。自分に合った働き方ができる会社を探すことが、未経験者の転職成功のカギを握ります。

必要な免許の取得方法

タクシードライバーに必要な二種免許は、通常の運転免許（一種免許）を取得してから3年以上経過していないと取得できません。ただし、2022年の法改正により、21歳以上で一種免許保有期間が通算1年以上あれば、二種免許の取得が可能になりました。
二種免許の取得には、民間の自動車学校や、各都道府県の警察本部・運転免許センターで行われる講習の受講が必要です。学科教習と実技教習を合わせて30時限以上を受講し、修了検定に合格することが求められます。
費用については、自動車学校の場合で20〜30万円程度、警察の講習は6万円前後が相場です。未経験者の負担を軽減するため、二種免許の取得費用を全額または一部負担してくれる会社も増えています。
また、地理試験対策として、独自の地図帳やアプリを用意している会社もあります。営業エリアの地理に詳しくなることは、タクシードライバーとしての基本スキルと言えるでしょう。
転職を検討する際は、免許取得のサポート体制も会社選びの重要なポイントになります。支援制度の有無や、教習のスケジュールなど、具体的な情報を確認しておくことが賢明です。

企業の教育体制と研修

未経験者がタクシードライバーとして早期戦力化するには、入社後の教育が何より重要です。会社によって研修制度は異なりますが、座学と実技を組み合わせた1〜2ヶ月程度の新人研修を実施しているところが多いようです。
座学では、タクシー運転者の心得やマナー、地理知識、設備の操作方法など、業務に必要な基本スキルを学びます。法律や労務管理、メンタルヘルスに関する知識も身につけます。
実技では、ベテランドライバーによる同乗指導が行われるのが一般的。車両の運転はもちろん、接客のロールプレイングや、トラブル対応のシミュレーションなども行います。実際の営業を想定した訓練を積むことで、スムーズに業務に入ることができるでしょう。
配車アプリの使い方は、若手ドライバーでもすぐに習得できるのが特徴。タブレット端末の操作方法など、機器に不慣れな人でも丁寧に指導してくれます。
会社によっては、接客で使える英会話表現集を用意していたり、外国人観光客の対応に関する研修を行っていたりと、時代のニーズに合わせた教育を行っているところもあります。
さらに、ドライバーの適性を見極めるため、心理テストを実施する会社もあります。早期離職のリスクを未然に防ぐための取り組みと言えるでしょう。教育制度の充実度は、未経験者の転職先を選ぶ際の大切なチェックポイントになります。

タクシードライバーにおすすめの転職サイト

大手転職サイトの活用法

リクナビNEXTやマイナビ転職など、大手の転職サイトでもタクシードライバーの求人を多数扱っています。キーワード検索や、「タクシー」「ドライバー」などの職種カテゴリーから、気になる求人を探すことができます。
大手サイトの特徴は、全国各地の求人を一括検索できる点。希望の勤務地を指定することで、自分に合った転職先を効率よく見つけ出せます。
また、年収検索など、給与面での絞り込み機能も充実。経験者採用か、未経験可かなど、資格要件で絞り込むこともできます。気になる求人があれば、その場でエントリーすることも可能です。
自己分析の方法や、履歴書の書き方など、転職活動に役立つコンテンツも豊富。業界研究に役立つ記事や、体験談なども参考になるでしょう。
ただし、大手サイトでは業界の実情に詳しいアドバイザーに出会えない場合もあります。また、タクシー業界特有の「歩合制」など、他業種とは異なる条件面の理解が必要です。求人票の内容だけで判断せず、面接時に具体的な確認を取ることが大切でしょう。

業界特化型転職サイトの利点

Driver’s Worksなど、タクシードライバーの求人に特化した転職サイトの活用もおすすめです。業界に精通したキャリアアドバイザーから、きめ細やかなサポートを受けられるのが最大の魅力と言えます。
アドバイザーは、個人の適性や経験、ライフスタイルに合わせて、最適な求人を提案してくれます。現役ドライバーの生の声を熟知していることも、業界特化型サイトならではの強みです。
営業形態や歩合率、福利厚生など、タクシー業界特有の条件面も、詳しく教えてもらえます。初めての転職で不安な点があれば、納得のいく答えが見つかるはずです。
また、個人情報の取り扱いにも配慮しているので、現職に内緒で転職活動を進められるのもポイント。応募書類の添削など、書類選考のサポートも手厚いのが特徴です。
ただし、大手サイトに比べると掲載求人数は限られます。希望のエリアや条件で求人が見つからない可能性もあるため、複数のサイトを併用することをおすすめします。

職業紹介所を通じた転職活動

ハローワークなどの公的機関が運営する職業紹介所も、タクシードライバーの求人情報を豊富に扱っています。全国約500ヶ所のハローワークで、地元密着型の求人が見つかるのが魅力です。
経験や資格、年齢を問わない求人が多いのも特徴。幅広い層の転職ニーズに応えてくれる頼もしい存在と言えるでしょう。キャリアカウンセリングも無料で受けられるので、じっくりと相談に乗ってもらえます。
ハローワークの専門相談コーナーでは、業種ごとのアドバイザーが在籍。タクシー業界の実情に詳しいスタッフから、具体的なアドバイスをもらえます。
求職者支援制度など、国の支援策に関する情報提供も行っています。再就職に不安を抱える人にとって、心強い味方になってくれるでしょう。
ただし、ハローワークの求人票は情報量が限られています。面接を通じて、労働条件や職場環境を具体的に確認する必要があります。
また、紹介状の発行には手続きが必要なため、即座に応募できないケースもあります。スピード感を持って転職を進めたい人には、民間の転職サイトの方が適しているかもしれません。

まとめ：タクシードライバーで高収入を得るには

タクシードライバーの平均年収は約360万円ですが、営業地域や働き方次第では、800万円以上の収入を得ることも夢ではありません。高収入を実現するカギは、需要の高いエリアを選ぶこと。人口が多く、ビジネスや観光の拠点となる大都市では、タクシーの利用機会が格段に多くなります。

東京都のタクシードライバーの平均年収は480万円を超え、都市部トップクラスの年収1000万円超えも珍しくありません。一方、地方では平均年収が200万円台にとどまるエリアも。営業地域の選定は、タクシードライバーとして成功するための大前提と言えるでしょう。

また、効率的に売上を伸ばすには、スキルアップが欠かせません。GPSを駆使した道案内、わかりやすい運賃メーターの説明、スマートな決済の手際など、お客様への心くばりが評価につながります。接客の工夫でリピーターを増やせば、指名料で収入アップも目指せます。

特に重要なのが、需要予測に基づく効率的な集客。繁華街での流し営業、深夜の飲食店街狙い、早朝の魚河岸への送迎など、他のドライバーとの差別化を図ることが肝要です。経験と勘を頼りに、人の少ない穴場を開拓するのも得意技。アプリを活用しつつ、顧客の行動パターンを読み解く観察眼が問われます。