タクシー運転手の勤務時間の実態を徹底解説！勤務形態の種類と特徴

「タクシードライバーの仕事は、きつくて休みが取れない」というイメージを持っている人も多いのではないでしょうか。しかし、法改正により労働環境は大きく改善されつつあります。この記事では、タクシードライバーの勤務実態を徹底解説。勤務形態の種類や給与の仕組み、働き方改革の影響など、ドライバー志望者が知っておくべき情報をわかりやすくお伝えします。

タクシー運転手の主な勤務形態は3種類

昼日勤

タクシー運転手の昼日勤とは、朝7時から夕方4時までの時間帯で働く勤務形態のことです。一般的なサラリーマンと同じような時間に働くので、生活リズムが崩れにくいのが特徴です。主な客層はビジネスマンの移動やちょっとした移動に利用する人が多いです。1日の拘束時間は13時間以内が基本で、それ以上の長時間労働は禁止されています。高齢ドライバーや女性ドライバーに人気の勤務形態ですが、現在は隔日勤務を採用しているタクシー会社が多いため、昼日勤を選べる会社は限られています。

夜日勤

夜日勤は夕方5時から深夜2時までの時間帯で働く勤務形態です。終電を逃した人や、繁華街に向かう人が主な客層となるため、長距離移動が多いのが特徴。深夜割増料金が適用されるため、売上が上がる傾向にあります。そのため効率よく稼ぎたいドライバーに人気の勤務形態ですが、昼日勤と同様に隔日勤務の普及により、夜日勤を採用する会社は少なくなっています。1日の拘束時間は昼日勤と同じく13時間以内が基本で、長くても16時間までに制限されています。

隔日勤務

隔日勤務は1日おきに乗務する勤務形態で、別名「隔勤」とも呼ばれます。現在多くのタクシー会社が採用しており、一般的な乗務時間は朝8時から深夜2時までとなっています。2日で最大21時間の拘束が認められ、勤務後は最低20時間の休息が義務付けられています。1回の乗務は18時間ありますが、休憩が3時間あるため実質15時間の勤務となります。休憩時間はドライバーの裁量に任されているので、自由にとることができます。隔日勤務は長時間労働になりますが、その分休日が多いのが最大の魅力です。

下図のカレンダーのように「出勤」と、仕事が終わった後の休みである「明番」を2回を繰り返した後に、終日休みである「公休」を繰り返すイメージです。

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タクシー運転手の休暇制度について

法律で定められた拘束時間と休日

タクシー運転手の拘束時間や休日は「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」によって定められています。隔日勤務の場合、1ヶ月の拘束時間は原則262時間以内と決まっていますが、年間6ヶ月までは例外的に270時間まで認められています。一方昼日勤と夜日勤の場合は、月間の拘束時間が299時間以内に制限されています。休日については特に法律での定めはありませんが、国土交通省のガイドラインでは、過労運転防止の観点から最低年間85日の休日確保を推奨しています。

勤務形態による休日の違い

休日の多さはタクシードライバーの勤務形態によって大きく異なります。隔日勤務の場合は1ヶ月の出勤が12～13日なので、自然と月の半分以上が休みになります。一方、昼日勤・夜日勤は月23～24日の出勤なので、休みは月に6～7日程度。土日休みの一般的なサラリーマンよりは休日が少ないことになります。ただ会社によっては、昼日勤・夜日勤でもしっかりとシフト管理することで、まとまった連休を確保できるところもあるので、休日の希望は入社前に確認しておくことをおすすめします。

有給休暇の取得ルールと注意点

正社員として雇用されているタクシードライバーであれば、当然有給休暇を取得する権利があります。ただし会社によっては、歩合制の割合が高い給与体系の場合、有休を取ると歩合給部分の収入が減ってしまうことも。また、皆勤手当などの手当が出ている会社では、有休を取ると支給されなくなる場合もあります。有休を取得すること自体は問題ありませんが、会社の休暇制度や給与体系を事前に確認し、収入面でのデメリットを把握しておく必要があります。

知られざるタクシー運転手の給与事情

タクシー運転手への転職を考えている方は、給与についても気になりますよね。ここではタクシー運転手の給与事情を解説します。

歩合制とは？固定給との違いを解説

タクシー運転手の給与形態には大きく分けて、固定給と歩合制の2種類があります。固定給は文字通り毎月決まった金額が支払われる給与形態。一方、歩合制は売上に応じて歩合金が支払われるシステムです。タクシー業界の多くは、固定給と歩合制を組み合わせた給与体系を採用しています。例えば、基本給20万円に歩合給が上乗せされるような形です。固定給のみの場合、安定した収入が見込めますが、売上がそのまま収入に反映されないため、頑張りが給与に反映されにくいのがデメリット。一方、歩合制が強い会社では、頑張った分だけ収入が増えるので、高収入を目指せるメリットがあります。

歩合制だからこそ狙える高収入の秘訣

歩合制が適用されると、売上を上げれば上げるほど収入アップにつながります。そのため、効率的に売上を上げる工夫が重要になります。例えば、需要が高い時間帯や場所を狙って効率的に乗客を乗せたり、長距離の乗車を増やしたりすることで、1回あたりの売上を底上げできます。また、顧客から指名を受けられるようにサービスレベルを上げるのも重要。固定客を増やせば、確実に売上アップに直結します。タクシーという仕事は、走行距離と時間が売上に直結するため、ムダのない運転を心がけ、1日の中で売上を最大化する努力が欠かせません。歩合制のメリットを最大限に活かせるかどうかは、ドライバー次第と言えるでしょう。

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タクシー運転手の残業事情

タクシー運転手の残業時間はどのぐらいあるのでしょうか。ここでは、タクシー運転手の残業の実態に迫ります。

残業の有無と平均残業時間

タクシー運転手の場合、基本的に法律で定められた拘束時間の中で業務をこなすことになるため、一般的なサラリーマンのような残業はほとんどありません。ただ繁忙期など、会社から残業を依頼されるケースはあります。とはいえ、長時間労働につながるような過度な残業は法律で禁止されているため、強制されることはまずありません。国土交通省の調査によると、タクシー運転手の1ヶ月の平均残業時間は全国平均で15時間程度。全産業平均の20時間よりは少ない傾向にあります。ただし会社によっては、繁忙期などに平均を大幅に上回る残業を依頼してくるところもあるので、応募前によく確認しておく必要があります。

残業手当の支払いルールと計算方法

タクシー運転手の残業手当は、歩合制の場合どのように計算するかが業界の課題となっています。本来であれば、歩合給部分とは別に残業手当を支払うのが法律で定められたルールですが、一部の会社では残業手当分を歩合給から差し引いたり、残業手当が払われているように見せかけて実際は支払っていない場合があります。こうした違法行為を行う会社に対しては、国土交通省が是正勧告を行っています。自分が勤務先の会社の残業手当がきちんと支払われているか確認し、不審な点があれば会社に問い合わせするなど、適正な待遇を受けられるよう自己防衛することも大切です。

タクシードライバーの働き方改革の真相

法改正で何が変わった？拘束時間の上限規制とは

2018年にタクシー業界でも働き方改革関連法が適用され、タクシードライバーの労働環境にも大きな影響がありました。特に大きな変化が、隔日勤務ドライバーの拘束時間の上限規制です。隔日勤務の場合、改正前は2日間で最長21時間の拘束が認められていましたが、法改正後は原則1ヶ月あたり262時間の上限が設けられました。この262時間ルールは年6ヶ月までは例外的に270時間まで延長できることになっていますが、それでも改正前に比べると拘束時間が大幅に減ったことになります。こうした法改正の目的は、交代制勤務による長時間労働の抑制です。タクシー業界特有の慣習だった長時間労働を見直し、ドライバーの健康を守るための施策と言えます。

「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」の内容と影響

タクシードライバーの勤務に関する基準を定めているのが、「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」です。通称「改善基準告示」とも呼ばれ、タクシーやバス、トラックなどの自動車運転業務について、拘束時間・休息・休日などの基準を具体的に定めたものです。例えば隔日勤に関していえば、15時間以上の長時間乗務の後には、継続8時間以上の休息が必ず必要であるなどの規定があります。こうしたルールを設けることで、過度な長時間労働を防止し、ドライバーの健康と安全を守ることを目的としています。2018年の法改正により基準の多くが法律に格上げされたことで、違反に対する罰則も設けられました。今後タクシー会社は、法律と告示を遵守した適切な労務管理が求められます。

シフトの融通が利くから実現できる！タクシードライバーならではのワークライフバランス

ここではタクシードライバーのワークライフバランスについて解説します。

プライベートな時間を大切にできる働き方とは

タクシードライバーの働き方の最大の特徴は、シフトの柔軟性の高さです。特に隔日勤務の場合は、公休と合わせることで3～4日の連休を作ることも可能。平日にまとまった休みを取りたい時も、同僚ドライバーとシフトを調整することである程度希望通りの休暇を取得できます。子育てや介護など、家庭の事情でプライベートな時間が必要な場合でも、シフトを工夫することで仕事と両立することができるでしょう。タクシー運転手の仕事は拘束時間が長いため、ワークライフバランスが取れないイメージがあるかもしれませんが、隔日勤のような柔軟な働き方を活用すれば、プライベートな時間をしっかり確保することが可能です。

柔軟なシフト勤務を活用した理想的な休日の過ごし方

タクシードライバーとして働く最大のメリットは、休日の使い方を自由に決められることです。平日の昼間に趣味の時間を楽しんだり、家族とのんびり過ごしたりと、自分のペースでプライベートな時間を充実させることができます。休日が平日にある分、混雑を避けてゆったり買い物や外食を楽しむこともできますね。またまとまった休みを取得して、国内旅行やちょっとした帰省を楽しむのもおすすめ。1泊2日の小旅行を月に1～2回楽しむことで、日頃の疲れをリフレッシュできるでしょう。タクシー運転手の仕事は、心身ともに休息が大切。休日は趣味や家族との時間、旅行などを楽しんで、十分にリフレッシュすることが、仕事を長く続けるコツだと言えます。

タクシー運転手を目指すなら押さえておきたいポイント3点

タクシー運転手を目指すのであれば、絶対に抑えておきたいポイントがいくつかあります。ここでは主なポイント3点を解説します。

1.自分に合った勤務形態の選び方

タクシー運転手を目指す際は、まず自分に合った勤務形態を選ぶことが大切です。体力に自信がある人、効率よく稼ぎたい人は隔日勤務がおすすめ。一方、規則正しい生活リズムを守りたい人は昼日勤や夜日勤を選ぶのが良いでしょう。ただし会社によって採用している勤務形態は異なるため、希望に合う勤務形態の会社を探すことが重要です。また、勤務形態によって収入面でのメリット・デメリットもあるので、そこも考慮に入れて選びましょう。いくつかの会社に応募して、実際に面接で条件を聞いてみるのが確実です。自分のライフスタイルに合った働き方を選択することが、長く働き続けるための大切なポイントとなります。

2.休暇制度や残業ルールをしっかりチェック

タクシー会社を選ぶ際は、休暇制度や残業ルールを事前にしっかりチェックしておくことが大切です。法律で定められている基準はどの会社でも守られているはずですが、会社によって独自の休暇制度を設けていたり、繁忙期の残業ルールが異なっていたりします。特に有給休暇の取得ルールは会社によってバラつきがあるので、面接時にしっかり確認しておきましょう。また残業が多い会社では、ワークライフバランスが崩れてしまう恐れもあります。求人票や面接での説明だけでなく、実際に働いているドライバーの話を聞くのも良いですね。休暇の取りやすさや残業の多さは、働き続ける上で大きな影響を与えます。後悔しないように、事前の確認を怠らないようにしましょう。

3.働きやすさを重視して会社選びを

タクシードライバーを長く続けるためには、何より働きやすい環境であることが大切です。自分に合った勤務形態が選べる、希望通りの休暇が取れる、残業が少ないなど、労働環境の良さはドライバーのモチベーションに直結します。また、教育体制が整っている、福利厚生が充実している、ドライバー同士のコミュニケーションが活発といった点も、働きやすさを大きく左右する要因。求人票で条件を見るだけでなく、実際に会社を訪問して職場の雰囲気を確かめるのも良い方法です。タクシー会社選びは、ドライバーとしてのキャリアを左右する大きな決断。後悔しないように、働きやすさを最重要視して会社を選びましょう。

まとめ：タクシー運転手を目指すなら自分に合った働き方を選ぼう

タクシー運転手の勤務時間は、法律と労使協定によって厳格に定められています。勤務形態によって拘束時間や休日の取得ルールが異なるため、自分に合った働き方を選ぶことが何より大切です。

また、歩合制の割合が高い会社では、頑張りが収入に直結するため、高収入を目指すこともできます。一方で、違法な残業や不適切な給与計算を行う会社もあるため、応募前の確認は必須。タクシー運転手として長く活躍するためには、働きやすさを重視した会社選びがポイントとなります。シフトの柔軟さを活かして、プライベートな時間も大切にしながら、やりがいを感じられる働き方を見つけていきましょう。