タクシーの隔日勤務がどれだけきついのか？具体的な3つの理由と実態を解説

タクシードライバーの勤務形態で最も一般的な「隔日勤務」。1日おきの休みがある一方で、激務と評されるその実態とは？本記事では、隔日勤務の基本情報から、きついと言われる理由、ドライバーの1日の流れ、過酷さを示すデータ、そして負担を和らげる工夫まで、隔日勤務の全貌に迫ります。

タクシー隔日勤務の基本情報

隔日勤務とは？シフトの特徴と働き方

タクシードライバーの勤務形態で最も一般的なのが、「隔日勤務」と呼ばれるスタイルです。隔日勤務とは、文字通り1日働いたら翌日は丸1日休む、というサイクルを繰り返す独特の勤務形態のことを指します。

隔日勤務の最大の特徴は、1日の拘束時間の長さにあります。多くの場合、勤務時間は実に16時間以上に及びます。わずかな休憩を挟みつつ、早朝から深夜まで休みなく働き続けるハードなシフトが基本です。

1回のシフトがハードな分、月の勤務日数が11~13回程度であるため、休日が多い特徴もあります。

隔日勤務が主流の理由と運転手の割合

長時間労働に対応しやすい一方で、休日もまとまって取得できるため隔日勤務が人気となっています。全国のタクシードライバーの実に約7割が、この隔日勤務のシフトで働いているというデータもあります。

しかし、激務と休息のメリハリが極端に激しい隔日勤務は、ドライバーの肉体的・精神的負担が大きいのも事実です。慢性的な疲労の蓄積を訴える声は後を絶ちません。

表面的には魅力的に映る隔日勤務ですが、その実態は想像以上の過酷さを伴うものだと認識しておく必要があります。

タクシー隔日勤務が「きつい」と言われる3つの理由

1日の拘束時間は16時間以上！長時間労働のリアル

「きつい」と評される隔日勤務の最大の理由は、何と言っても1日の拘束時間の長さでしょう。勤務時間は軽く16時間以上に及ぶことが当たり前で、中には24時間近く働き続けることもあると言います。

延々と続く運転と緊張の連続は、肉体的にも精神的にも重大な負担となります。休憩時間はわずかしか取れないため、疲れを癒やすために車内で仮眠を取ることもありますが、それでも慢性的な疲労は避けられません。長時間労働の弊害は、隔日勤務ドライバーに集中的に表れていると言っても過言ではないでしょう。

昼夜逆転不規則リズム　体内時計狂う生活習慣

隔日勤務のきつさを助長しているのが、不規則な生活リズムです。夜勤や徹夜を含む変則的なシフトが常態化すると、昼夜逆転の生活パターンに陥りやすくなります。体内時計が狂ってしまうことで、慢性的な睡眠不足や食生活の乱れを招き、肉体的な健康リスクが高まるのです。

特に、一定の生活リズムを保つことの難しさは、隔日勤務ならではの悩みの種と言えます。不規則な食事時間が続くことで、胃腸障害など消化器系の不調を訴えるドライバーも少なくありません。健全な生活習慣を維持するのが難しい環境であることは、隔日勤務のデメリットと言わざるを得ません。

休日明けの勤務は特につらい　疲労抜けきらぬまま出勤

隔日勤務のきつさが際立つのは、休日明けの出勤時です。のんびり休息を取った後いきなり長時間労働に突入するギャップの大きさは、想像以上のものがあります。身体が休日モードに慣れた状態で、一気に昼夜逆転の激務に身を投じるのですから、心身のダメージは計り知れません。

休日の疲れが抜けきらないまま勤務に就くことで、集中力の欠如やミスの増加といった影響も避けられません。休養不足に起因する事故のリスクも無視できない問題です。隔日勤務の過酷さは、休日明けの勤務時に最も強く表面化すると言えるでしょう。

このように、隔日勤務の「きつさ」の背景には、複合的な要因が絡み合っています。 過度の長時間労働、不規則な生活リズム、休日明けの極端な負荷といった問題が重なり合うことで、ドライバーの心身にかかる負担は増幅されているのです。隔日勤務の課題を探るには、こうした複合的なストレス要因を切り分けて考える必要がありそうです。

隔日勤務タクシードライバーの1日のスケジュール例

始業〜終業までの流れと働く時間帯

隔日勤務のタクシードライバーは、具体的にどのようなスケジュールで働いているのでしょうか。一般的な隔日勤務ドライバーの1日の流れを見てみましょう。

まず、始業時間は朝7時〜8時頃が相場です。ドライバーは会社に出勤し、点呼を受けた後、タクシーに乗り込みます。そして営業開始です。朝の通勤ラッシュに合わせて、駅や住宅街を中心に客待ちをしながら、順次お客様を乗せていきます。

昼前になると、ランチを求める客が増えるため、飲食店街の周辺が稼働のメインになります。午後は企業への送迎など、ビジネス利用の需要が多くなる時間帯です。夕方以降は、再び駅前などに移動して帰宅客の獲得を狙います。

深夜営業では、飲食店街に拠点を移して、飲み会帰りの客を中心に取り込んでいきます。これが、深夜0時〜1時頃まで続くのが通例です。始発までの深夜営業を行うこともあり、勤務時間が24時間に及ぶケースも稀ではありません。

休憩・仮眠の取り方　効率的に疲れを取るコツ

一見隙間なく働き続けているように見える隔日勤務ドライバーですが、わずかな合間を縫って休憩を取ることが欠かせません。1日の食事は、ほとんどが車内で簡単な軽食ですませるのが一般的です。ゆっくり腹ごしらえをする時間の余裕はほとんど無いと言っていいでしょう。

休憩らしい休憩は、スタンドで給油している間や、駐車場で客待ちをしている時くらいです。トイレ休憩も、この隙に済ませることになります。

仮眠を取るための工夫も必要です。疲れを少しでも取るために、仮眠の質を高める環境作りが欠かせません。アイマスクや耳栓を活用したり、車内を暗くしたりと、落ち着いて休める空間を整備することが求められます。シートを倒して体を伸ばせるようにしたり、枕代わりのクッションを用意したりと、可能な限りのリラックス対策を施すことも重要です。

合間を見つけてこまめにストレッチを行ったり、深呼吸でリフレッシュを図ったりするのも、疲労軽減に有効な手立てでしょう。わずかな時間を利用して、できる範囲で休息を確保する知恵が問われるのが、隔日勤務の厳しい現実なのです。

このように、隔日勤務ドライバーの1日は、隙間なく続く厳しい労働スケジュールに追われています。休息を取る合間を如何に捻出し、限られた時間で効率的に疲れを癒やすかが、勤務を乗り切る鍵を握ると言えるでしょう。とは言え、心身の疲弊を抑えるのには限界もあり、根本的な働き方の見直しが必要だと感じずにはいられません。隔日勤務の過酷な実態は、タクシー業界に突きつけられた大きな課題と言えそうです。

隔日勤務の「きつさ」を数字で見る

月の労働時間平均は200時間

隔日勤務タクシードライバーの「きつさ」は、労働時間の統計データを見れば一目瞭然です。タクシードライバー全体の平均労働時間は月間186時間であるものの、隔日勤務ドライバーの平均労働時間は月間でおよそ200時間にも上ります。この数字は、全産業の平均労働時間のなんと1.2倍以上に相当する突出した長時間労働だと分かります。

一般的なサラリーマンの月間労働時間が160時間〜180時間程度だと考えると、隔日勤務ドライバーの稼働時間の長さは際立っています。それだけ強度の高い労働が常態化しているのが、隔日勤務の実情だと言えるでしょう。

隔日勤務ドライバーの8割が疲労蓄積を訴える

隔日勤務ドライバーの約8割が「疲労がたまりやすい」と回答しているアンケートもあります。1日おきの休日があるとは言え、それでもこれだけ多くのドライバーが日常的な疲労を訴えているのは、看過できない問題だと言わざるを得ません。

また、半数以上のドライバーが「仕事と私生活の両立が難しい」と感じていることも判明しています。不規則な勤務体系が、ワークライフバランスの維持を阻害している実態がうかがえます。隔日勤務に伴う長時間不規則労働が、ドライバーの生活の質を大きく損なっていることは明らかです。

隔日勤務のきつさを和らげる工夫とアドバイス

上手な休息の取り方　オフの過ごし方が肝心

隔日勤務の負荷を最小限に抑えるには、限られた休日を賢く使いこなすことが何より大切です。疲労回復を最優先に、休養を十分に取ることを心がけましょう。休日はとにかくゆっくり休息を取るのが鉄則です。

加えて、休日の使い方にメリハリを付けることも重要なポイントです。のんびりと休息を満喫する一方で、軽い運動を取り入れるなど、適度なリフレッシュを図るのもおすすめです。家族や友人とのコミュニケーションを楽しんだり、趣味の時間を充実させたりと、オフを有意義に過ごす工夫が欠かせません。「休息」と「息抜き」のバランスを取ることが、充実した休日を過ごすコツだと言えるでしょう。

健康管理の必須ポイント　運動・食事・禁酒

隔日勤務を乗り切る上で、普段の健康管理も非常に重要なファクターです。激務をこなすための体力づくりは、隔日勤務と上手に付き合う上での必須条件だと言っていいでしょう。

持久力や柔軟性を高めるためにも、定期的な運動を日課に組み込むことをおすすめします。隔日勤務の不規則なリズムでは、定期的なジムに通うことは難しいかもしれません。その場合は、自宅で手軽にできるストレッチや筋トレメニューを実践するのも一案です。早朝や就寝前の短い時間を使って、体を動かす習慣を身につけることが大切です。

食生活の改善も見逃せないポイントです。不規則な食事スタイルや、偏った栄養バランスが続くと、胃腸トラブルなど消化器系の不調を招きやすくなります。野菜を多く取り入れ、バランスの取れた食事を心がけることが何より重要です。間食や夜食を控え、規則正しい食事リズムを整えることも心がけたいものです。

お酒の飲み過ぎにも要注意です。疲れた体を癒すために、つい飲酒量が増えてしまう人も少なくないでしょう。でも、アルコールは疲労回復を妨げるだけでなく、肝臓への負担も大きいのです。休肝日を設けるなど、飲酒のペースを管理することが賢明だと言えます。適度な節制を心がけることで、心身の調子を整えることが可能になるはずです。

ストレス発散法　気分転換と息抜きを大切に

激務が続く隔日勤務では、ストレスを上手に発散させることも重要な課題です。溜め込んだストレスは、心身の不調だけでなく、仕事のパフォーマンス低下にもつながります。リラックスできる時間を積極的に作ることが、隔日勤務を乗り切る鍵だと言えるでしょう。

ゆったりとした呼吸法を身につけたり、ヨガや瞑想に取り組んだりするのも効果的です。自分なりのリラクゼーション法を確立することで、1日の疲れをスッキリとリセットすることができるはずです。音楽を聴いたり、読書を楽しんだりと、気分転換になる趣味の時間も大切にしたいものです。

家族や仲間とのふれあいも、ストレス発散には欠かせません。休日は楽しい時間を共有し、明るい笑顔に囲まれることを意識しましょう。普段の悩みを打ち明けたり、愚痴を聞いてもらったりと、対話の中でストレスを浄化することも可能です。支え合える関係性を築くことが、隔日勤務の厳しさを乗り越える源泉になるはずです。

最後に、働き方自体の改善も視野に入れることが肝要です。無駄な業務プロセスを見直し、効率的な仕事の進め方を追求することが求められます。組織として、長時間労働の削減や、休息時間の確保などに取り組むことも重要でしょう。 隔日勤務のきつさに屈することなく、賢く付き合っていく知恵を職場全体で共有していくことが大切だと言えます。

タクシードライバーの隔日勤務は、まさに究極のハードワークだと言えるでしょう。その過酷さをどう乗り越えていくのか。ドライバー個人の努力だけでなく、業界全体で働き方のあり方を見直すことが求められています。隔日勤務のしんどさを和らげる様々な工夫を重ねつつ、抜本的な改革の必要性についても議論を深めていく必要があるはずです。

ドライバーの心身の健康と、安全・安心なサービスの提供。その両立こそが、これからのタクシー業界の大きな課題だと言えるでしょう。隔日勤務の功罪を見据えつつ、一人ひとりが働きやすい環境づくりに向き合っていくことが何より重要だと考えます。一朝一夕には変えられない隔日勤務の現状に、真正面から向き合う覚悟が問われているのかもしれません。