中型ドライバーはきつい？プロが明かす仕事の実態と乗り越え方5選

中型ドライバーの仕事は「きつい」と言われることが多いですが、その実態は多くの人には知られていません。しかし、物流を支える重要な役割を担うドライバーにとって、その「きつさ」を乗り越える方法を知ることは、仕事を続けるために不可欠です。本記事では、中型ドライバーの仕事の厳しさと、それでもプロとして働き続ける理由を探るとともに、「きつさ」を超えるためのヒントをお伝えします。

中型ドライバーの仕事が「きつい」と言われる3つの理由

中型ドライバーの仕事は「きつい」と言われることが多い職業です。それには、大きく分けて3つの理由があると考えられます。

1.体力勝負の連続

第一に、中型ドライバーの仕事は体力的にかなりハードだということです。4tトラックに積み込む荷物の多くは、手作業で運ばなければなりません。重い箱や大型の家具などを何度も運ぶのは、若くて体力のある人でも容易ではありません。さらに長距離運転の場合、何時間もハンドルを握り続ける必要があり、全身の疲労がたまります。不規則な勤務時間も、心身の健康を蝕むストレス要因と言えるでしょう。

2.厳しい職場環境

第二に、ドライバーを取り巻く職場環境の厳しさが指摘できます。運送業界は荷主の都合を最優先にせざるを得ず、ドライバーは受け身の立場に置かれがちです。加えて慢性的な人手不足と賃金の低さという問題も、働き手にのしかかっています。基本的に1人で黙々と運転する孤独な仕事であることも、精神的な負担となるようです。

3.大きな責任とリスクを背負っている

第三に、ドライバーは大きな責任とリスクを背負っているという点が挙げられます。何より、大型トラックを運転するのは簡単ではありません。常に事故を起こさないよう細心の注意を払い、安全運転を心がけなければなりません。同時に納期は厳守しなくてはならず、時間にも追われる毎日です。荷物のトラブルやクレーム対応に追われることもあり、精神的に大変なストレスがかかります。

ベテランドライバーの体験談を見ても、その大変さは明らかです。引越のシーズンには何十箱もの大型家具を運び続け、飲料輸送では何百ケースもの重たい荷物を積み下ろします。新店舗のオープン時には、何時間も荷下ろしの順番待ちをさせられ、それでも決められた時間内に何カ所もの納品先を回らなければならないです。4トントラックは、ドライバー1人ひとりの肉体と精神に重くのしかかっているのです。

「中型ドライバーはきつい仕事だ」。それは、彼らが日々直面している現実そのものなのです。体力的にも精神的にもギリギリの状態でハンドルを握り続け、それでもプロとしての仕事をやり遂げる。そんな姿は、見る者の胸を打つに違いありません。

中型ドライバーはなぜ「きつい」仕事を続けるのか

中型ドライバーの仕事は、体力的にも精神的にもかなりきつい部類に入ります。それでも多くのドライバーが、この職業に就き続けているのはなぜでしょうか。

ドライバーとしてのプライドがあるから

第一に、「ドライバーとしてのプライド」が彼らの原動力になっているようです。幼い頃からトラックの運転手に憧れ、プロのドライバーになることが夢だった人も少なくありません。お客様から預かった大切な荷物を、決められた時間内に確実に届けるという責任感とやりがいを感じているのです。安全運転と納期厳守へのこだわりは、プロ意識の表れと言えるでしょう。家族を養い、支えてくれる存在のためにも、仕事を全うしたいという思いが、足腰の痛みに耐える力になっているようです。

「もっと評価されたい」という向上心があるから

第二に、「もっと評価されたい」という向上心が、彼らを突き動かしています。ベテランになっても、なかなか待遇面で報われない現状に、不満を感じているドライバーは数多くいます。重要な役割を担っているのに、世間からは正当に評価されていないと感じ、もっと良い条件で働きたいと願っているのです。「トラックの運転手」というだけで軽んじられる風潮を変え、ドライバーの社会的地位を高めたい。そんな思いから、業界の変革を求める声も上がっています。

「代わりがいない」という使命感が原動力になっているから

第三に、「代わりがいない」という強い使命感が、仕事を続ける原動力になっているケースもあります。慢性的なドライバー不足の中で、ベテランの技術や経験に頼らざるを得ない現場は数多くあります。自分が辞めたら荷物が届かなくなる、そんな危機感から、休みを返上して働き続ける者もいるのです。若手ドライバーの指導にも力を注ぎ、次の世代に技術を継承していく。そんな役割を自覚することが、きつい仕事を支える支えになっているのかもしれません。

一方で、「他に選択肢がない」「転職が難しい」といった事情から、中型ドライバーの仕事を続けざるを得ない人たちもいます。トラックの運転という特殊な技術が、他の職種に活かしにくいという現実があるのです。かつて自営ドライバーとして独立し、多額の借金を背負った人などは、たとえきつくても、今の仕事をやめるわけにはいきません。

「荷主が頼りにしている」「ドライバー仲間を裏切れない」。厳しい労働環境の中で、それでも彼らが働き続けるのは、プロとしての誇りと使命感があるからなのでしょう。日々の仕事ぶりを認めてもらえず、正当な評価を得られないもどかしさを抱えながら、それでもハンドルを握り続ける。そんな中型ドライバーの姿が、私たちの目に映ります。彼らの献身なくして、私たちの生活を支える物流は成り立たないのです。

「きつい」と言われるトラック業界は2024年にどうなる？

中型ドライバーの過酷な労働環境が大きく変わる可能性があるのが「2024年問題」です。国が進める働き方改革の一環として、2024年4月からトラック運転業務にも時間外労働の上限規制が適用されるからです。

長時間労働の是正で、ドライバーの働き方はどう変わる？

年間960時間という時間外労働の上限が設けられ、これに違反した場合は罰則の対象にもなります。ドライバーの1日の拘束時間にも上限が設定され、休息期間を確保するルールも厳しくなるのです。つまり、これまで当たり前のように行われてきた長時間労働が、もはや許されなくなるのです。運送会社は適切な労働時間管理を行い、ドライバーの健康と安全を守る責任を負います。

下記の記事でも詳しく解説してますので、参考にしてみてください。

2024年6月20日 【2024年問題】トラック運転手の一日の労働時間は何時間？1日の限度や平均を徹底解説！

運送料金の値上げと、新しい運賃体系への移行も

ドライバーの労働時間短縮は、人件費の増加を意味します。その分、運送料金への転嫁が避けられないでしょう。これまでのように長時間働かせて安く運ぶという構造は、もはや通用しなくなるのです。「運べば運ぶほど儲かる」といった考え方から脱却し、効率的なオペレーションが求められます。荷待ち時間など付帯作業も適切に評価し、運賃に反映させる動きが加速すると予想されます。

ITの力を借りて、物流効率化を図る時代に

限られた時間の中で物流を回すためには、サプライチェーン全体の合理化が不可欠です。荷主企業とも協力し、輸送ルートを最適化したり、積載効率を高めたりする工夫が必要になってきます。幹線輸送と地域配送を分け、共同物流を推進するなどの新しい取り組みも検討されるでしょう。AIやIoTを活用して配車を効率化したり、将来的には自動運転技術を導入したりと、テクノロジーの力に期待がかかります。

ドライバー不足に立ち向かう新たな働き方改革も

深刻化するドライバー不足を解消するには、多様な人材の活用が欠かせません。女性ドライバーや高齢ドライバーが増えるよう、働きやすい環境を整えていく必要があります。将来的には外国人労働者の受け入れ拡大も視野に入るかもしれません。そのためにも、ドライバーの待遇改善と、職場環境の充実が急務だと言えるでしょう。

下記の記事でも詳しく解説してますので、参考にしてみてください。

2024年6月15日 2024年問題でドライバー不足が加速？業界の未来とキャリアの希望を探る

物流業界に求められる大胆な構造改革

時間外労働の上限規制は、トラック業界に大きな変革を迫ります。それは中小零細企業の淘汰と再編を促す可能性もあるでしょう。大手物流企業が下請けを囲い込んだり、ドライバーを直接雇用したりする動きも予想されます。異業種から物流事業に新規参入する企業も現れるかもしれません。これまでの常識に縛られない、新しいビジネスモデルの登場にも期待が高まります。

中型ドライバーが「きつい」を乗り越えるための5つの方法

中型ドライバーにとって「きつい」と感じる仕事を乗り越えるためには、自身の心がけと、周囲のサポートの両方が欠かせません。ここでは、ドライバー個人でできる具体的な取り組みを中心に見ていきましょう。

1.健康が何より大切!体調管理を怠らないこと

厳しい労働環境を生き抜くには、何よりも自分の健康が基盤になります。十分な睡眠を取り、規則正しい生活リズムを心がけましょう。バランスの取れた食事と適度な運動で体力維持を図ることも大切です。疲労やストレスを溜め込まないよう、定期的な健康診断も忘れずに。心身の健康あってこその仕事です。少しの変化も見逃さず、細心の注意を払いたいものです。

2.安全運転は全ての基本!余裕を持ったスケジュール管理を

中型ドライバーにとって安全運転は何より優先すべき事項です。無理のあるスケジュールを組まず、余裕を持って運転できるよう心がけましょう。出発前の車両点検と日頃の整備も怠ってはいけません。悪天候や体調不良の際は、無理を避け出発を延期する勇気も必要です。「急がば回れ」の精神で、安全最優先の姿勢を貫きたいものです。

3.計画的に動いて効率UP!休息時間の確保も忘れずに

限られた時間の中で成果を上げるには、計画的な働き方が欠かせません。先の予定をしっかり把握し、効率的な配送ルートを立てましょう。早め早めに行動し、余裕のある時間配分を心がけることが大切です。荷待ちなどの無駄な待機時間を減らす工夫も必要です。その一方で、適度な休憩を取ることも忘れてはいけません。メリハリをつけた働き方を意識しましょう。

4.ストレスを溜め込まないで!上手な気分転換を見つけよう

重圧とストレスは中型ドライバーの大敵です。上手に発散する方法を見つけることが何より大切。休日は趣味の時間を作ったり、リフレッシュを心がけたりしましょう。家族や友人との交流を持つことで、心の支えを作るのも良い方法です。一人で抱え込まずに、同僚や上司に悩みを打ち明けるのも時には必要です。ストレス対策をおろそかにせず、メンタルヘルスにも気を配りたいものです。

5.スキルを磨いて、より良いキャリアを!成長の機会を逃さずに

「きつい」を乗り越える力は、スキルアップから生まれます。日々、運転技術の向上に努め、安全かつ効率的な配送を目指しましょう。大型免許の取得や、物流マネジメントのスキルを身につけるのもお勧めです。自分の市場価値を高めることで、より良い待遇につながるチャンスも生まれます。常に学ぶ姿勢を忘れずに、成長の機会を逃さないことが肝心です。

未経験から中型ドライバーへの転職は可能？

「未経験でも中型ドライバーになれるのか？」という疑問を持つ方は少なくないでしょう。結論から言えば、未経験からの転職は可能です。ただし、いくつかの条件をクリアする必要があります。

中型自動車免許の取得が必要

まず、中型自動車免許の取得が必須です。普通自動車免許しか持っていない場合は、中型免許の取得に時間とお金がかかります。教習所で必要な技能を身につけ、筆記試験と実技試験に合格しなければなりません。

働く意欲と適性を示す

次に、未経験でも働く意欲と適性を示すことが重要です。採用担当者は、あなたがドライバーとして活躍できる素質を持っているかを見極めようとします。安全運転への意識の高さ、体力と忍耐力、コミュニケーション能力などをアピールできれば、未経験でも十分にチャンスはあるでしょう。

ただし、即戦力として扱われることは難しいかもしれません。多くの場合、先輩ドライバーの下で一定期間の実務経験を積む必要があります。会社によっては、独自の研修制度を設けているところもあるでしょう。未経験者の教育に熱心な企業を探すのも一つの方法です。

業界と仕事内容の理解が必要

転職を決める前に、運送業界の現状と中型ドライバーの仕事内容について十分に理解しておくことも大切です。厳しい労働条件や、大きな責任を伴うことを覚悟しておく必要があります。自分の適性とライフスタイルに合っているかどうか、慎重に見極めましょう。

未経験からでも、中型ドライバーを目指すことは不可能ではありません。必要な資格を取得し、適性をアピールできれば、チャンスを掴むことができるはずです。ただし、覚悟と努力は欠かせません。「物流を支える」というやりがいを感じられる仕事だからこそ、しっかりとした準備と決意を持って臨みたいものです。

中型ドライバーに向いている人の特徴3選

中型ドライバーは、重要な役割を担う職業であると同時に、誰にでもできる仕事ではありません。厳しい労働環境に適応し、高いプロ意識を発揮し続けるためには、いくつかの特別な資質が求められます。ここでは、中型ドライバーに向いている人の特徴を詳しく見ていきましょう。

1.【体力と忍耐力がある】厳しい条件をものともしないタフさが不可欠

何よりも大切なのは、体力と忍耐力です。長時間ハンドルを握り続ける運転と、重い荷物の積み下ろしが日常業務となる中型ドライバー。そのハードワークに耐えうる体力がなければ務まりません。不規則な勤務形態で十分な休息が取れないことも多いでしょう。それでも疲れを見せずに仕事を続けるメンタルの強さと、規則正しい生活習慣で体調管理する自己管理能力が欠かせません。

2.【ストレスコントロール力がある】孤独と緊張に負けない精神力

中型ドライバーの仕事は、基本的に一人で行うもの。長時間、密室とも言えるトラックの運転席で黙々と作業を続ける孤独に耐える必要があります。納期に追われるプレッシャーとの戦いでもあるでしょう。そんな環境でも集中力を保ち、冷静な判断を下せる精神の力が欠かせません。オフの時間をうまく使い、ストレス発散と気分転換を図る工夫も大切です。

3.【コミュニケーション能力と責任感がある】信頼される存在であるために

中型ドライバーには、確かなコミュニケーション能力も求められます。荷主や配送先との連絡や打ち合わせをスムーズに行い、信頼関係を築く必要があるからです。チームの一員として、仲間とも協力し合える協調性が大切。そして何より、任された仕事は確実にやり遂げるという強い責任感がなくてはなりません。自分の役割を自覚し、プロとしての誇りを胸に仕事に臨む。そんな姿勢が信頼を生むのです。

まとめ：中型ドライバーの「きつさ」を超えるためには

中型ドライバーの仕事は「きつい」というイメージが強いかもしれません。しかし、そのきつさを乗り越え、やりがいを感じながら働き続けるためのカギは、実は自分自身の中にあるのです。

まず大切なのは、プロ意識を持ち、自己管理を徹底すること。体調管理を怠らず、安全運転とルール順守を何より優先し、効率的な配送を追求する。そんな基本的な心構えが、仕事を続ける原動力になるはずです。

同時に、周囲とのコミュニケーションを大切にすることも忘れてはいけません。仲間と支え合い、上司や先輩にも相談しながら、孤独に陥らないよう心がける。家族や友人との絆を大切にし、心の拠り所を作ることも重要です。

ストレス対策も欠かせません。自分なりの気分転換法を見つけ、メンタルヘルスケアにも目を向ける。休息時間の過ごし方を工夫し、しっかりリフレッシュする時間を作りましょう。

そしてキャリアアップへの意欲を持ち続けること。目標を持って自己研鑽に励み、スキルアップを怠らない。業界の変化を敏感に察知し、学び続ける姿勢が、困難を乗り越える原動力になるはずです。

最後に、物流のプロとしての誇りと使命感を胸に、業界の未来を切り拓く担い手となる覚悟を持つこと。働き方改革を応援し、後進の指導・育成にも関わりながら、次の時代をリードしていく。そんな高い意識を持ち続けることが、中型ドライバーの「きつさ」を超える大きなカギとなるでしょう。

中型ドライバーの皆さん。きつさに負けず、うまく付き合いながら、夢や目標に向かって歩んでいってください。プロドライバーとしての誇りを胸に、元気で活躍されることを心から応援しています。