長距離ドライバーはきつい？その6つの理由、向いている人、メリットなど完全解説！

長距離トラックドライバーは「きつい仕事」のイメージが強い職業ですが、その実態を知る人は意外と少ないのではないでしょうか。この記事では、ベテランドライバーの経験談をもとに、長距離ドライバーの仕事がなぜきついと言われるのか、その理由を6つの観点から徹底的に解説します。

長距離トラックドライバーがきついと言われる6つの理由

長距離トラックドライバーは、きついイメージが強い職業です。実際にこの仕事で働くドライバーからは、「体力的にも精神的にもハードだ」という声をよく耳にします。なぜ長距離ドライバーの仕事がそこまできついと言われるのでしょうか。ここでは、その理由を6つのポイントに絞って解説していきます。

1. 長距離運転による疲労の蓄積

長距離トラックドライバーの仕事は、何よりも長時間の運転が特徴的です。一般的な運送であれば日帰りで完了しますが、長距離輸送の場合、片道300kmを超えるコースを何日もかけて走ることも珍しくありません。座りっぱなしの運転を延々と続けるため、全身の筋肉に疲労が溜まっていきます。特に腰や肩、目の疲れは蓄積しやすく、慢性的な頭痛やだるさを感じるドライバーも少なくないのです。

加えて、長距離を安全に走り切るには、常に高い集中力が求められます。車間距離の維持、ブレーキやアクセルの加減、ハンドル操作など、細心の注意を払いながら運転しなくてはなりません。それを何時間も続けることで、精神的な疲労もピークに達してしまうのです。

2. 不規則な生活リズム

長距離ドライバーは、運転時間が長いだけでなく、生活リズムも不規則になりがちです。深夜や早朝に出発したり、車中泊を余儀なくされたりするため、十分な睡眠時間が取れないことが多いのです。狭い車内で仮眠を取っても、寝付きが悪かったり途中で目が覚めてしまったりと、質の良い睡眠とは言い難いでしょう。

また、食事の時間も不規則になりがちです。サービスエリアやパーキングエリアで食事を取ることが多いため、どうしてもカロリー過多のメニューを選びがち。それが原因で、消化器系の病気を患うドライバーも少なくありません。睡眠と食事、人間にとって最も大切な生理現象のリズムが崩れてしまうのは、健康面からみてもかなりのリスクと言えるでしょう。

3. 運転以外の重労働

「ドライバーは座っているだけ」というイメージを持っている人もいるかもしれませんが、それは大きな間違いです。長距離トラックドライバーの仕事は、運転以外にも重労働が課されているのです。特に大変なのが、荷物の積み込みと積み下ろしです。

例えば、10tトラックにお米を満載するには、30kgの米袋を何と300袋以上も積まなくてはなりません。クレーンなどの機材を使えれば良いのですが、手作業で行うケースがほとんど。そのため、大量の重量物を何度も持ち上げる過酷な肉体労働が発生します。この作業を1日に何度も行うことを考えると、如何に大変な仕事かお分かりいただけるでしょう。

4. 事故リスクと緊張感

他の車両に比べ、大型トラックが事故を起こした際の被害は甚大です。重量があるが故に制動距離は長くなり、一度事故を起こせば複数の車両を巻き込む可能性が高くなります。そのため、長距離トラックドライバーは常に細心の注意を払って運転しなければならず、緊張感が途切れることはありません。

また、大型トラックは車体が大きいため、運転には熟練した技術が必要とされます。カーブの曲がり方一つとっても、旋回軌道を考慮して慎重に運転しなくてはいけません。長距離ドライバーはプロの運転手であり、アマチュアでは許されないミスも許されないのです。

5. 精神的ストレス

長距離ドライバーは、「納期を守ること」が何よりも求められます。荷主企業との取り決めで、貨物を届ける期日は事前に決まっているため、渋滞や事故など、予期せぬトラブルが起きても、絶対に遅れるわけにはいかないのです。

また、輸送コストを下げるため、できるだけ効率的な配送ルートを組む必要もあります。それでいて法定速度は絶対に守らなくてはなりません。スケジュール管理、安全運転、コスト意識…。この3つを同時に求められるのは、並大抵のストレスではありません。

6. 孤独感とプライベートの犠牲

長距離トラックドライバーは、1人で何日も車内で過ごすことになるため、孤独感を感じやすい職業です。無線などで他のドライバーと交流できる機会はあるものの、家族や友人と過ごす時間は極端に少なくなってしまいます。

プライベートの時間が犠牲になりやすいのも、長距離ドライバーの悩みの種です。子供の運動会やイベントなど、家族の大切な行事に参加できないことがしばしば。帰宅時間も遅くなるため、家族との団欒の機会が減るのは避けられません。

以上が、長距離トラックドライバーの仕事がきついと言われる主な理由です。体力的にも精神的にもかなりの負担がかかるハードな仕事だということが、お分かりいただけたかと思います。それでもなお、長距離ドライバーを目指したいという人は、次項で紹介するこの仕事の魅力にも目を向けてみてください。

下記の記事も合わせてご確認ください。

2024年6月20日 長距離ドライバーはやめとけ？転職前に知っておくべき実態と転職のコツ

長距離トラックドライバーのやりがいとメリット

長距離トラックドライバーの仕事は、確かに体力的にも精神的にもきついと言われています。しかし、その一方でこの仕事には、他の職業にはないやりがいとメリットもあるのです。ここでは、長距離ドライバーならではの魅力について解説します。

世の中になくてはならない仕事というやりがい

現代の経済活動は、トラック輸送なくして成り立ちません。工場で生産された製品を店舗に届けたり、生鮮食品を産地から消費地に運んだり、あらゆるモノの輸送を担っているのがトラックドライバーなのです。

特に長距離輸送を担当するドライバーは、人々の生活を陰で支える縁の下の力持ち的な存在。例えば、北海道で水揚げされた魚介類を、関東や関西の市場に届けるなど、地域間流通に欠かせない役割を果たしています。

多くの人が当たり前のように口にしている食べ物も、トラックドライバーが運んでくれているからこそ、豊かな食卓が実現できるのです。「世の中になくてはならない仕事をしている」というやりがいは、長距離ドライバーならではと言えるでしょう。

高い収入を得るチャンス

一般的に、トラックドライバーの給与水準は他の運転職と比べて高めだと言われています。特に大型トラックの長距離ドライバーともなれば、その傾向は顕著です。

運転スキルはもちろん、輸送ルートを効率的に組む能力、スケジュール管理能力など、ドライバーの仕事ぶりによって収入は大きく変わります。モチベーション次第で、全国トップクラスの年収を稼ぐことも可能なのです。

さらに、大型免許や危険物運搬の資格など、ステップアップのための資格取得を重ねることで、さらなるキャリアアップを目指せるのも魅力の一つ。一人ひとりの努力が、給与という形ではっきりと評価されるのが、長距離トラックドライバーの仕事の面白さだと言えるでしょう。

下記の記事でも詳しく解説しているので、参考にしてみてください。

2024年6月19日 トラック運転手で年収1000万円は可能?給与の実態と稼ぐため方法を解説

長距離トラックドライバーに向いている人の特徴

長距離トラックドライバーの仕事は、誰にでも向いているわけではありません。過酷な労働環境に適応し、孤独に耐えながら仕事をこなす強靭なメンタリティが必要とされるのです。ここでは、長距離ドライバーに向いている人の特徴を見ていきましょう。

体力に自信がある

何と言っても、長距離トラックドライバーに最も必要なのは体力です。10時間以上におよぶ長時間の運転を連日こなすには、相当の体力が必要です。腰痛持ちの人や、すぐに疲れてしまうような人は不向きかもしれません。

また、長距離ドライバーの仕事は運転だけではありません。荷物の積み込み、積み下ろしなど、力仕事も少なくありません。重量物を持ち上げる筋力も必要とされるため、日頃からトレーニングを欠かさない人が望ましいと言えるでしょう。

不規則な生活リズムも、体力勝負の一つです。十分な睡眠時間が取れない日が続いても、疲労を上手くコントロールできる健康管理能力が問われます。規則正しい生活を送れなくても、体調管理ができる人なら、長距離ドライバーに向いているかもしれません。

一人で黙々と働くことが好き

長距離トラックドライバーの運転時間のほとんどは、一人きりで過ごします。車内で延々と一人で作業を続けるため、寂しがり屋の人には難しい仕事かもしれません。むしろ、一人で集中して物事に取り組める人のほうが、長距離ドライバーには向いていると言えます。

一人で働くことに魅力を感じる人、自分一人の力でコツコツと仕事をやり遂げることにやりがいを感じられる人なら、長距離ドライバーという仕事にもすんなりとなじめるでしょう。人とのコミュニケーションが最小限でも問題ない、むしろ一人で過ごす時間を楽しめるくらいの人が理想的です。

几帳面で時間にルーズでない

トラックドライバーは「時間との勝負」と言っても過言ではありません。決められた時間までに荷物を届けなければならないため、几帳面に時間を守る習慣が求められます。渋滞などのアクシデントを見越して、余裕を持った運行計画を立てられる人が運転手に向いているでしょう。

また、運転以外にも、運行日報の記入や伝票処理など、地味な事務作業もこなさなくてはいけません。面倒くさがりの人には難しい仕事かもしれませんが、細かい作業を丁寧にできる人なら問題ありません。

トラックの車内は、ドライバーにとって仕事場であり生活の場でもあります。常に整理整頓を心がけ、清潔に保つ習慣も大切です。ある程度の潔癖症気質があるくらいのほうが、長距離トラックドライバーには適しているのかもしれません。

以上のような特徴が当てはまる人なら、長距離ドライバーの仕事にもすんなりと適応できるはずです。自分に合っているかどうか、しっかりと見極めてから飛び込んでみてください。

下記の記事でも詳しく解説しているので、参考にしてみてください。

2024年6月20日 長距離トラックドライバーの仕事が楽しい7つの理由！向いている人の特徴も解説

長距離ドライバーのきつさを乗り越える方法

長距離トラックドライバーの仕事は、体力的にも精神的にもかなりのストレスがかかります。しかし、そのきつさを和らげる工夫を取り入れることで、少しでも楽に仕事をこなせるようになるはずです。ここでは、ベテランドライバーたちが実践している、きつさを乗り越えるための方法をご紹介します。

車内環境を整える

1日の大半を車内で過ごす長距離ドライバーにとって、車内環境を整えることは極めて重要です。運転席のシートは、長時間座っても疲れにくいものを選びましょう。腰痛対策に特化したシートなども発売されているので、試してみる価値はあります。

エアコンやカーテンを上手く使い、車内を快適な空間に保つことも大切です。夏場の暑さ対策や、冬場の防寒対策を怠ると、運転に集中できなくなってしまうからです。

また、車内の整理整頓を心がけ、いつでも清潔な環境を保つようにしましょう。ゴミや不要な荷物が溜まると、ストレスの原因になります。運転に必要な物以外は、できるだけ車外に置くようにすると良いでしょう。

効率的な運行計画を立てる

納期に間に合わせるためには、効率的な運行計画が不可欠です。出発時間は、渋滞を避けられるように設定しましょう。高速道路の混雑予測なども参考にしながら、最適なルートを選択することが大切です。

また、余裕を持ったスケジュール管理を心がけましょう。想定外のトラブルが起きても対応できるよう、常に時間的な余裕を持っておく必要があります。

運行ルートに合わせて、休憩ポイントを事前にチェックしておくのもおすすめです。トイレ休憩や仮眠を取れる場所、美味しい食事が食べられる場所など、リフレッシュできるスポットを把握しておくと安心です。

適度な休憩を取る

長距離運転で最も大切なのは、疲れを溜めすぎないことです。眠気を感じたら、無理せずに休憩を取りましょう。サービスエリアやパーキングエリアで、小まめな休憩を取る習慣をつけることが大切です。

仮眠を取るのも効果的な疲労回復法です。ただし、寝過ぎには注意が必要です。20分から30分程度の短い仮眠なら、目覚めもスッキリするはずです。

運転の合間の休憩時間は、趣味の時間に充てるのも良いでしょう。好きな音楽を聴いたり、ストレッチをしたり、軽い読書をしたり。自分なりのリラックス方法を見つけておくことが、長距離ドライバーを続けるコツだと言えます。

長距離トラックドライバーのきつさは、正直なところ簡単に解消できるものではありません。しかし、ここで紹介したような工夫を一つ一つ積み重ねていくことで、少しずつ負担を軽減していくことができるはずです。

まとめ：長距離トラックドライバーを目指すあなたへ

長距離トラックドライバーは、誰もがなれる仕事ではありません。体力的にもメンタル的にもタフさが求められる上に、家族との時間が犠牲になることも覚悟しなくてはいけません。

それでもなお、この仕事に魅力を感じるあなたは、物流業界に欠かせない存在になれるはずです。

ドライバー不足が叫ばれる中、今後ますます重要性が増していくのがトラック輸送です。そこで働くドライバーの労働環境を改善しようと、国を挙げての取り組みも始まっています。

近い将来、長距離トラックドライバーのきつさは、今よりもずっと改善されているかもしれません。

運転が好きで、一人で働くことに魅力を感じるあなたなら、ぜひこの世界に飛び込んでみてください。

「物流を支える縁の下の力持ち」として活躍できる日が、必ずあなたを待っているはずです。