大型免許取得が難しい5つの理由｜実際の取得条件・合格率・費用を解説

大型免許の取得は、プロドライバーを目指す人にとって避けては通れない関門です。しかし、大型自動車の運転は普通自動車とは勝手が違うため、免許取得の難易度は高いと言われています。本記事では、大型免許取得の難しさの理由と、それを乗り越えるためのノウハウを余すところなく解説します。

大型免許とは

大型免許は、バスやトラック、ダンプカーなどの大型自動車を運転するために必要な免許です。 道路交通法では、車両総重量11トン以上、最大積載量6.5トン以上、乗車定員30人以上の自動車が大型自動車に区分されています。

大型免許には、第一種と第二種の2種類があります。第一種は事業用でない一般的な大型免許で、第二種は第一種に加えて、旅客の有償運送が可能な免許です。したがって、観光バスや路線バスの運転手には第二種免許が必要になります。

大型免許があれば、以下のような車両の運転が可能です。

大型自動車は普通自動車と比べて、全長で約2.5倍、全幅で約1.5倍のサイズがあり、運転にはより高度な技術が求められます。 大きな車体による死角の多さ、内輪差の大きさ、ブレーキの効き方の違いなど、普通自動車とは異なる特性への対応が運転の難しさに繋がっています。

大型免許の取得には、そうした大型自動車特有の運転スキルの習得が不可欠です。 自動車教習所での入念な教習を経て、筆記試験と技能試験に合格する必要があります。費用と時間はかかりますが、プロドライバーを目指す方にとって大型免許の取得は避けては通れない関門となっています。

大型免許の取得が難しい5つの理由

大型免許の取得が難しいと言われる理由は、主に以下の5点が挙げられます。

1. 車両の大きさに起因する難しさ

大型車両は普通車と比べて、全長で約2.5倍、全幅で約1.5倍のサイズがあります。そのため、車体感覚を掴むまでに時間がかかります。 また、ハンドル操作、幅寄せ、バック駐車など、大型車両ならではの運転技術の習得が必須です。左右後方の死角も多く、目視確認の難易度が高いのが特徴です。

2. 大型車両特有の装置の操作の難しさ

大型車両のブレーキは、一般的にエアブレーキが採用されています。普通車のブレーキとは効き方が異なるため、扱いに慣れが必要です。 また、大型車両では、マニュアルミッションが一般的ですが、その操作は普通車より難易度が高いとされます。

3. 法律上の制約による難しさ

大型免許の受験資格として、年齢は21歳以上、普通免許の保有と3年以上の運転経験が必要です。 加えて、視力、聴力など、厳しい身体基準をクリアしなければなりません。

4. 教習・試験の難易度の高さ

大型免許の技能教習時間は、普通車の2倍以上に及びます。車種別の必要教習時間は以下の通りです。

大型車両の運転の難しさから、卒業検定・本免学科の合格率は他車種より低い傾向にあります。路上教習に加えて、夜間や悪天候時の教習もあるなど、普通車よりハードルが高いのが実情です。

5. 費用面での難しさ

教習時間が長いぶん、大型免許の教習料金は高額になりがちです。教習所によって差はありますが、20万円〜50万円程度が相場と言えます。 地方では遠方の教習所に合宿することになるため、宿泊費などの付帯コストもかかります。

大型免許の取得には、このような様々な難しさがあります。 教習時間の長さ、費用の高さ、教習環境の制約など、普通免許とは異なるハードルの高さが特徴と言えるでしょう。 それだけに、大型免許の取得は、プロドライバーとしてのキャリアにコミットメントを示す重要なステップとも言えます。難しさを乗り越えて免許を取得することは、ドライバーとしての第一歩を印象付ける大きな意味を持つのです。

大型免許の取得条件と合格率

取得条件を解説

大型免許の取得には、いくつかの条件をクリアする必要があります。主な条件は以下の通りです。

• 年齢:21歳以上
• 経験:普通免許の保有と3年以上の運転経験
• 身体条件:
• 視力:両眼で0.8以上、片眼で0.5以上
• 深視力:平均誤差2cm以内
• 聴力:10m先で90dbの警音器の音が聞こえる
• 色彩識別:赤・黄・青の識別が可能
• 欠格事由:一定の病気や障害、飲酒運転歴などがないこと

これらの条件を満たした上で、自動車教習所での教習を修了し、卒業検定に合格する必要があります。 卒業後は運転免許試験場で学科試験と技能試験を受験し、両方に合格すれば晴れて大型免許の取得となります。

大型第一種免許の合格率は90%以上、大型第二種免許は60%程度

ここで気になるのが合格率ですが、免許の種類によって大きく異なります。警察庁の調べによると、令和3年度の合格率は以下の通りでした。

• 大型第一種免許:92.6%
• 大型第二種免許:59.7%

大型第一種免許の合格率は90%を超える高水準である一方、旅客運送が可能な大型第二種免許は60%程度と、第一種より30ポイント以上低くなっています。 令和2年度も同様の傾向で、大型第一種免許が94.0%、大型第二種免許が60.2%でした。

このように、大型免許の取得条件は年齢、経験、身体条件など厳しい要件がありますが、第一種免許であれば十分合格可能な水準と言えるでしょう。 一方、大型第二種免許は、筆記試験と技能試験により高度な知識と技術が問われるため、合格率は伸び悩んでいます。

したがって、大型免許の取得を目指す際は、自身の目的に合わせて、第一種免許か第二種免許かを見極めることが大切です。 プロのドライバーを目指すなら、難易度の高い第二種免許の取得を視野に入れつつ、万全の準備で試験に臨む必要があるでしょう。

大型免許の取得は、年齢や経験、身体能力など、クリアすべき条件が多岐にわたります。 それだけに、免許を取得したドライバーは、高い適性と技能を備えた「選ばれた人材」とも言えます。 ハードルの高さを恐れずチャレンジし、厳しい条件を乗り越えて免許を手にしたとき、ドライバーとしての自信と誇りを得られるはずです。 難関である大型免許の取得は、プロドライバーへの第一歩を印象づける意義深い通過儀礼なのです。

大型免許を取得する方法とかかる費用・期間

大型免許の取得は、自動車教習所での教習が一般的です。そこで、大型免許を取得する具体的な方法と、必要な費用・期間を見ていきましょう。

1. 大型免許の取得方法

1-1. 自動車教習所での教習課程

自動車教習所では、技能教習と学科教習を受けます。技能教習はコースでの実車教習で、車種によって教習時間が異なります。

学科教習では、交通ルールや車両の構造など、座学での知識習得が中心となります。

1-2. 卒業検定

教習修了時に教習所で卒業検定が実施されます。技能検定と学科検定の両方に合格する必要があります。

1-3. 運転免許試験場での試験

卒業検定合格後、運転免許試験場で学科試験と技能試験を受験します。学科試験は交通ルールや安全運転の知識を筆記で、技能試験は試験コースでの実車走行で評価されます。

1-4. 免許証の交付

試験に合格すれば、所定の手続きを経て晴れて大型免許の取得となります。免許証が交付されれば、大型車の運転が可能になります。

2. 大型免許取得に必要な費用

大型免許の取得には、教習所の入所料、教習料、諸経費など、一定の費用がかかります。目安は以下の通りです。

2-1. 普通免許所持者の場合

普通免許を既に持っている場合、大型免許の取得に必要な費用は25〜40万円程度です。

2-2. 中型免許所持者の場合

中型免許からのステップアップの場合は15〜30万円程度で取得できます。

2-3. 二種免許の場合

二種免許の場合は、一種免許よりも5〜10万円程度高くなる傾向にあります。

ただし、教習所や地域によって料金設定は大きく異なるため、事前の比較検討が大切です。

3. 大型免許取得に必要な期間

大型免許の取得に必要な期間は、最短で2〜3週間程度です。普通免許所持者の場合は3〜4週間、中型免許所持者なら2〜3週間が目安となります。二種免許の場合は、さらに1〜2週間程度長くかかるのが一般的です。

ただし、教習所や個人の習得速度によって期間は大きく異なります。集中して取り組めば最短で免許を取得できる一方、時間をかけてじっくり学びたい人もいるでしょう。

4. 取得時の留意点

大型免許の取得を検討する際は、以下の点にも留意しましょう。

• 準中型免許や中型免許など、他車種からの限定解除の場合は、別途限定解除の教習が必要
• 最近は二種免許の取得を推奨する教習所が増えている
• 合宿免許の場合、教習料金の他に宿泊費や食費などが別途必要
• 教習所の設備や指導方針、立地などを総合的に比較し、自身に合った教習所を選ぶことが大切

以上のように、大型免許の取得には一定の手順と費用、期間が必要となります。

目標に向けて効率良く免許を取得するには、教習所選びが重要なポイントと言えるでしょう。料金面だけでなく、教習カリキュラムや指導方針、教官の質など、総合的に評価して教習所を選ぶことをお勧めします。

また、プロドライバーを目指すなら、大型二種免許の取得も視野に入れておくと良いでしょう。二種免許は旅客運送に必須の資格であり、キャリアの選択肢を広げる意味でも価値ある投資と言えます。

大型免許の取得は、プロドライバーへの第一歩を印象づける大切なステージです。目標に向けて万全の準備を整え、自信を持って免許取得に臨んでください。

大型免許の技能試験を合格するためのポイント4選

大型免許の技能試験は、車両の大きさゆえの難しさがあります。合格するためには、しっかりとした対策が必要不可欠です。ここでは、技能試験突破のための重要ポイントを解説します。

1. 車両感覚をつかむためのコツ

大型車の運転で最も重要なのが、車両感覚をつかむことです。そのためには、まず座席とミラーの調整が欠かせません。

• 座席の位置は、ペダルを踏み込んだ時に膝がわずかに曲がる位置に調整しましょう。
• ミラーは、車体の両サイドと後方がしっかり確認できるよう、念入りに合わせます。

また、試験コースの下見も有効です。教習所の模擬コースを事前に走行し、コースレイアウトを頭に叩き込んでおきましょう。
試験当日は、リラックスして普段通りの運転ができるよう、心がけることが大切です。

2. 安全運転のためのテクニック

試験では、安全運転が何よりも重視されます。発進とブレーキ操作、ハンドル操作など、基本に忠実な運転を心がけましょう。

• 発進時は、ゆっくりクラッチをつなぎ、スムーズに発進します。
• ブレーキは、早めに、そして弱めに踏むのがコツです。
• ハンドル操作は、ゆっくり、大きめを意識します。
• 車線変更時は、ウインカー・ミラー・目視による安全確認と、減速を忘れずに。

3. 難易度の高い試験項目への対策

技能試験の中でも、特に難易度が高いとされる項目への対策をしっかりと立てておきましょう。

車庫入れでは、ハンドルを切るタイミングがポイントです。車体が駐車スペースに対して平行になったら、一気にハンドルを切り、最後は車体を真っ直ぐに戻すイメージで操作しましょう。

縦列駐車は、ハンドルを切り始めるポイントを見極めることが重要です。駐車スペースに斜めになるよう車体を入れ、最後は車体を真っ直ぐに戻します。

S字クランクでは、内輪差を意識することが大切です。ハンドルを小刻みに操作し、車体の内側が縁石や壁に接触しないよう、慎重に通過しましょう。

坂道発進は、ブレーキとアクセルの踏み替えのタイミングがカギを握ります。ブレーキを放すと同時にアクセルを踏み、スムーズに発進できるよう練習を重ねましょう。

4. 精神面での心構え

技能試験に臨む際の心構えも非常に重要です。

• 落ち着いて、自分のペースで運転することを心がけましょう。
• ミスを恐れず、積極的に運転することが大切です。
• 試験官の目を気にしすぎず、自分の運転に集中します。
• 合格するというよりも、安全運転を最優先に考えて運転しましょう。

試験では、指定された順路を走行し、交通ルールを遵守することが絶対条件です。試験中の会話は控えめにし、動きやすい服装で臨むのも忘れずに。

以上のポイントを押さえて、万全の準備で技能試験に臨めば、合格は確実です。 日頃の練習の成果を存分に発揮できるよう、自信を持って試験に挑んでください。

最後は、安全運転を何より優先する姿勢を示すことが、合格への近道だと思います。
交通ルールをしっかり守り、周囲への配慮を忘れない・・・そんな「プロドライバーとしての心構え」を試験官にアピールできれば、合格は目前です。

大型車の運転は、他の車両や歩行者の安全を預かる責任の重い仕事です。その自覚と誇りを持って、技能試験に臨んでください。きっと良い結果が待っているはずです。

大型免許の取得費用を節約する方法を解説

大型免許の取得には、数十万円の費用がかかるのが一般的です。ここでは、そんな大型免許取得費用を少しでも節約するための方法をご紹介します。

1. 教習所選びのポイント

まず大切なのが、教習所選びです。料金設定は教習所によって大きく異なるため、事前の比較検討が欠かせません。

• 入所料、教習料、技能検定料など、料金体系をしっかりチェックしましょう。
• 学生割引やグループ割引など、各種の割引制度を活用するのも賢明です。
• 教習時期を閑散期に設定することで、繁忙期料金を避けられる場合もあります。

教習所の立地や設備面も、宿泊費や交通費など付帯コストに影響します。総合的に比較し、自分に最適な教習所を選ぶことが肝要です。

2. 公的支援制度の活用

意外に知られていませんが、大型免許の取得費用を補助してくれる公的制度があります。

教育訓練給付制度は、厚生労働大臣指定の講座（一定の教習所の大型免許コース）を修了した場合、教習料の最大40%が支給される制度です。一定の条件を満たす必要がありますが、大きな節約になります。

都道府県や市区町村によっては、独自の運転免許取得補助制度を設けているケースもあります。また、障害者手帳をお持ちの方や生活保護受給者の方向けの減免制度もあるので、該当する方は確認してみると良いでしょう。

3. 企業の支援制度の利用

運輸業界の企業の中には、大型免許の取得費用を補助する奨学金制度を設けているところがあります。就職予定先や勤務先の会社に、まずは確認してみましょう。

また、トラック協会などの業界団体が、免許取得を支援している例もあります。こうした業界特有の制度を上手に活用するのも一つの手です。

4. 合宿免許の活用方法

地方の教習所の合宿プランなら、宿泊費・食費込みでトータルの費用を抑えられるケースが多いです。遠方までの交通費も割安なプランが用意されていることがあります。

短期集中型のプランを選べば、教習期間も短縮でき、その分費用の節約にもつながります。合宿免許は、費用対効果の面でも魅力的な選択肢と言えるでしょう。

5. 教習期間の効率的活用

教習期間中の時間を有効活用することも、費用節約につながります。

• 入校前に教本を予習しておけば、学科教習がスムーズに進みます。
• 技能教習の予約を効率良く取ることで、無駄な空き時間をなくせます。
• 卒業検定や仮免試験は一発合格を目指しましょう。再試験の費用を避けられます。

また、教習所への通学費を節約するため、長期学割などの割引サービスを活用するのも良いアイデアです。

6. 一発試験受験のメリットとリスク

最後に、一発試験受験という選択肢もあります。教習所の学科教習と卒検を省略し、いきなり運転免許試験場の技能試験を受験する方法です。

合格すれば最小の費用で免許が取得できる一方、十分な練習と運転技量が求められます。不合格なら追加の受験料が必要になるリスクも伴います。

しっかりと下準備をした上での一発試験受験なら、大幅な費用節約が可能です。自信のある方は、挑戦してみる価値があるでしょう。

下記の記事も合わせてご確認ください。

2024年6月19日 大型免許の一発試験完全ガイド！合格率アップのコツ・試験内容・費用を解説

以上、大型免許取得の費用を節約する主なテクニックをご紹介しました。
これらを上手に組み合わせることで、数万円から数十万円規模の節約が可能です。

もちろん、どの方法を選ぶかは、個人の事情によって異なります。自分に最適な方法を見つけ、賢く免許取得費用を節約していきましょう。

大型免許の取得は、キャリアアップへの大切な投資です。節約も大事ですが、安全運転のための知識とスキルをしっかり身につけることを何より大切に考えたいですね。

費用面の工夫と、確かな技能の習得の両立こそが、大型免許取得の成功の鍵を握っていると言えるでしょう。

まとめ：正しい知識を取り入れて大型免許取得に臨もう

この記事では、大型免許取得までの道のりを詳しく見てきました。年齢や経験など厳しい条件をクリアし、筆記試験と技能試験に合格するために必要な知識とスキルを身につける。時間も費用もかかる難関ですが、それを乗り越える強い意志を持つことが何より大切だと分かったはずです。

費用面では、教習所選びの工夫や各種の支援制度の活用など、賢明な節約の方法もお伝えしました。もちろん、安全運転のための技能をしっかり習得することを何より重視したいものですが、うまく工夫することで、経済的な負担を減らすことも可能なのです。

そして何より、大型免許の取得は、プロのドライバーとしての自覚と責任感を養う絶好の機会だと言えます。交通ルールの遵守は当然として、日頃から車両の管理を怠らず、常に安全運転を心がける。そうした志の高さが、プロドライバーの条件なのです。

大型免許を取得したら、それで終わりではありません。むしろ、そこからが本当のスタートです。新たな知識と技術を吸収し、スキルアップを怠らない。業界の動向にも目を配り、自身のキャリアプランを描いていく。プロドライバーとは、そうした学び続ける姿勢を持つ人を指すのではないでしょうか。

読者の皆さんの中には、大型免許取得への不安を感じる方もいるかもしれません。できるかな、私にも務まるだろうか・・・そんな風に。でも、どうか自信を持ってください。その不安を力に変えて、一歩一歩着実に進んでいけば、きっと難関を突破できるはずです。

この記事で得た知識を活かし、しっかりと準備を整えて、大型免許取得という大きな目標に挑戦してください。あなたの新たなるキャリアへの幕開けを、心から応援しています。

プロドライバーの道は、長くて険しいかもしれません。でも、大型免許の取得は、その長い道のりの確かな一歩となるでしょう。安全運転のプロとしての誇りと自覚を胸に、これからの活躍を期待しています。