タンクローリードライバーの仕事はきつい？リアルな実態と乗り越え方

タンクローリードライバーの仕事はきつい──そんなイメージを持つ人も多いのではないでしょうか。確かに運転の難しさや長時間拘束など、大変な面もあります。しかし、その実態を知れば、きついだけでなく、やりがいやメリットもあることがわかります。本記事では、ベテランドライバーの声を交えながら、タンクローリードライバーのリアルな職業像に迫ります。

タンクローリードライバーの仕事内容と必要な資格

タンクローリードライバーの実際の1日の仕事の流れや必要な資格を解説します。

タンクローリードライバーの1日の仕事の流れ

タンクローリードライバーの1日は早朝から始まります。出社後、点呼を受けて車両点検を行い、スケジュールを確認。そして、ガソリンスタンドや給油所などに向けて出発します。目的地に到着したら、安全確認をしながら慎重に荷下ろし作業を行います。1日に複数の配送先を回ることも珍しくありません。
帰社後は、走行距離や燃料使用量などを報告し、車両の洗車・点検を行って1日の業務が終了。この流れを繰り返すのがタンクローリードライバーの基本的な仕事の流れです。

タンクローリーの運転に必要な免許と資格

タンクローリーの運転には大型自動車第一種運転免許（大型一種）が必須です。これに加えて、危険物運搬車両の場合は、危険物取扱者乙種第4類の資格も必要となります。
大型一種の取得には、21歳以上で大型自動車第二種運転免許（大型二種）を取得後、3年以上の運転経験が条件。そして、所定の教習を修了し、卒業検定に合格する必要があります。
一方、危険物取扱者の資格は、都道府県の試験に合格することで取得できます。タンクローリードライバーとして働くには、これらの免許・資格が不可欠なのです。

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タンクローリードライバーの仕事がきついと言われる理由4つ

タンクローリードライバーの仕事は実際にきついのでしょうか。きついと言われる理由を解説します。

1.運転の難しさ｜大型車両と液体の揺れに注意

タンクローリーの運転が難しいと言われる大きな理由の1つが、液体の揺れへの対応です。
カーブや車線変更の際、タンク内の液体が揺れ動くことで、車両が大きく傾いたり、ふらついたりすることがあります。これを「スロッシング現象」と呼びますが、運転者はこの現象を予測しながら、慎重に運転しなければなりません。
また、トレーラーを連結した大型車両の運転は、小回りが利かない上、死角も多いため、高度な運転技術が求められます。

2.厳しい運転ルール｜安全性が何より優先される

タンクローリーは、ガソリンなどの危険物を運搬することが多いため、運転ルールも非常に厳しいものとなっています。
法定速度以下での走行は当然として、急発進・急加速・急ブレーキの禁止、カーブの前での減速など、細かな決まりごとがあります。交通法規の遵守はもちろん、会社独自のルールを守ることも求められます。
人命に直結する仕事だけに、安全運転が何より優先されるのです。

3.慎重な確認作業｜ミスが重大事故につながるリスク

タンクローリードライバーは、荷下ろしの際に、非常に慎重な確認作業を行わなければなりません。
ホースの接続状態、各バルブの開閉状態、送油量など、チェックすべき項目は多岐にわたります。ちょっとしたミスが、漏洩事故や火災といった重大な事故につながりかねないためです。
特に、ガソリンと軽油など、複数の油種を取り扱う場合は、積み込み時と荷下ろし時の両方で、油種の確認を徹底する必要があります。

4.長時間拘束｜早朝出勤・深夜帰宅も

タンクローリードライバーは、ガソリンスタンドの営業時間に合わせて配送を行うため、勤務時間が不規則となりがちです。
早朝や深夜のスタンドに合わせて配送することも少なくありません。拘束時間が長くなると、十分な睡眠時間が取れず、疲労がたまってしまうというデメリットもあります。
各スタンドからの配送リクエストに合わせるため、シフトが固定されにくいのも、きついと感じる原因の1つと言えるでしょう。

タンクローリードライバーのメリット3点

ここでは、タンクローリードライバーのメリットを解説します。

1.重労働が少ない｜ホースで注入するだけ

タンクローリードライバーの仕事は、重労働が少ないというメリットがあります。
荷下ろしの際も、ホースを接続してバルブを開けるだけで、あとは自動的に荷物が送り出されます。重い物を運んだり、何度も何度も持ち上げたりする必要がないので、体力的な負担は比較的少ないと言えるでしょう。
ただし、ホースの接続作業など、一定の体力は必要です。

2.長距離運転が少ない｜地場配送が中心

タンクローリーの運転は、基本的に地場配送、つまり地元での配送が中心となります。
長距離輸送に比べれば、拘束時間は短めで、運転時間も比較的短いと言えます。休憩を取りやすいのも魅力の1つ。
もちろん、配送先によっては長距離運転が発生することもありますが、その場合でも、泊まりがけになることは稀です。

3.人間関係の悩みが少ない｜乗務が1人で完結

他の運送業と比べて、タンクローリードライバーは1人で仕事を完結させることが多いです。
確かに、荷下ろし時にはスタンドの店員とやり取りしますが、それ以外は基本的に1人で黙々と仕事をこなします。上司や同僚、荷主とのコミュニケーションは最小限で済むので、人間関係のストレスは比較的少ないと言えるでしょう。
対人スキルに自信がない人でも、働きやすい職場環境だと言えます。

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ベテランドライバーが語る仕事のきつさの乗り越え方

仕事がきつい時にはどのように乗り越えたらよいのでしょうか。ここでは、ベテランドライバーおすすめの乗り越え方をご紹介します。

初心者時代の苦労話｜未熟な運転技術との戦い

運転経験豊富なベテランドライバーでも、初心者の頃は誰もが苦労するものです。
特に、大型車両の運転は、普通車やトラックとは勝手が違うため、慣れるまでに時間がかかります。「教習所で学んだことが、実践ではなかなか通用しなかった」というのは、多くのドライバーの共通した経験です。
先輩ドライバーに同行してもらいながら、少しずつコツを掴んでいくしかありません。味方につけるべきは時間と経験です。

心がけているストレス対処法｜趣味で気分転換

ベテランドライバーたちは、日頃のストレスを発散する方法を、それぞれ持っています。
運動や旅行、音楽鑑賞など、趣味に没頭することで気分転換を図る人が多いようです。
「仕事のストレスを家に持ち込まない」「オフの時間を大切にする」といった考え方も大切だと口を揃えて言います。
肉体的にも精神的にもリフレッシュできる時間を作ることが、仕事を続ける上で欠かせません。

きつさを感じたときには上司・先輩・家族に相談

仕事のきつさを1人で抱え込むのは禁物です。
現場の状況をよく知る上司や先輩ドライバーに相談するのはもちろん、家族に愚痴を聞いてもらうのも1つの方法。自分の感情を言葉にして吐き出すことで、心の重荷を下ろすことができます。
また、会社によっては、産業医やカウンセラーを配置していることもあります。専門家のアドバイスを受けることで、新たな視点や解決策が見えてくるかもしれません。

タンクローリードライバーに向いている人の特徴3つ

タンクローリードライバーにはどんな人が向いているのでしょうか。以下で詳しく解説します。

1.運転が得意で大型車の運転経験がある人

何と言っても、タンクローリードライバーに向いているのは、運転が得意な人です。
特に、大型トラックやバスなど、大型車両の運転経験がある人は、タンクローリーの運転にも対応しやすいでしょう。車両感覚が身についているので、教習所を卒業してすぐに活躍できる可能性が高いです。
ただし、タンクローリー特有の運転テクニックは、経験を積みながら身につけていく必要があります。

2.安全運転とルール厳守を徹底できる人

タンクローリードライバーは、安全運転とルール厳守が何より求められる仕事です。
スピードを出し過ぎない、急ハンドルを切らない、細心の注意を払って運転する。そうした安全運転を徹底できる人が向いています。
また、法令順守はもちろん、社内ルールもきちんと守れる几帳面さも大切。定められたことを忠実に実行できる人が、信頼されるドライバーになれるでしょう。

3.体力があり細かい作業にも几帳面な人

タンクローリードライバーの仕事は、体力勝負の面もあります。
長時間の運転はもちろん、荷下ろしのためのホース接続作業なども、一定の体力を必要とします。
また、前述の通り、注入時の確認作業は非常に細かいもの。几帳面さと体力を兼ね備えていることが、タンクローリードライバーには求められるのです。

タンクローリードライバーは未経験でも転職可能？

タンクローリードライバーには未経験でもなれるのでしょうか。結論、未経験からの転職は可能です。

大型免許とけん引免許は必須

未経験者がタンクローリードライバーに転職するためには、まず大型自動車第一種運転免許（大型一種）の取得が必須です。
さらに、タンクローリーの多くがトレーラーを牽引するタイプであるため、けん引免許も必要となります。
この2つの免許を取得していなければ、そもそも応募すらできないので注意が必要です。

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物流業界やドライバー経験者が有利

未経験者の中でも、物流業界で働いた経験がある人は、タンクローリードライバーへの転職に有利だと言えます。
荷主との折衝や、運行管理者との連携など、物流業界特有の仕事の流れを理解しているからです。
また、トラックやバスなど、他の車両での運転経験があれば、運転のイメージがつかみやすいでしょう。

必要資格取得のサポート制度がある企業も

大型免許の取得にはお金と時間がかかるため、未経験者にとってはハードルが高く感じられるかもしれません。
しかし、大型免許の取得費用を全額または一部負担してくれる企業もあります。「免許サポート制度」などと呼ばれるもので、一定期間の勤務が条件となっていることが一般的です。
また、社内で危険物取扱者の資格取得講座を開くところもあるので、そうした教育制度の充実度もチェックしてみると良いでしょう。

タンクローリードライバーになるには

必要な免許・資格の取得方法

繰り返しになりますが、タンクローリードライバーになるには、大型一種免許とけん引免許が必須です。
大型一種免許は、大型二種免許の取得から3年後に取得

求人情報の探し方 – 求人サイトや転職エージェントの活用

タンクローリードライバーの求人を探す際は、求人サイトや転職エージェントを活用しましょう。
求人サイトでは、「タンクローリー」「大型ドライバー」などのキーワードで検索することで、関連する求人を見つけることができます。
一方、転職エージェントに登録すれば、担当のキャリアアドバイザーが、自分の経験やスキルに合った求人を選んで紹介してくれます。書類作成や面接対策など、転職活動全般のサポートも受けられるので心強いでしょう。
自分に合った働き方ができる会社を見つけるためにも、複数の求人サイトや転職エージェントを併用することをおすすめします。

まとめ：タンクローリードライバーを目指す人へ

きつさを理解した上で挑戦する心構え

タンクローリードライバーの仕事は、運転の難しさや長時間拘束など、確かにきつい面があります。
しかし、その分やりがいも大きい仕事だと言えます。日々の生活を支えるガソリンや灯油を届けるという重要な役割を担っているのですから。
きつさを恐れるあまり、チャレンジを諦めるのはもったいないです。きつさを覚悟した上で、それでも挑戦したいと思える仕事であれば、ぜひ一歩を踏み出してみてください。

やりがいとメリットにも目を向ける

きつさばかりに目を向けていては、仕事の楽しさを見失ってしまいます。
荷下ろし作業で重労働が少ないこと、長距離運転が少なく拘束時間が短めであること、人間関係のストレスが少ないことなど、タンクローリードライバーの仕事にはメリットもたくさんあります。
お客様に感謝されたときのやりがいや、安全運転を徹底することで得られる充実感など、ポジティブな面にも目を向けることが大切です。

働き方のマイナス面をどう解消するか考える

どんな仕事にも、マイナス面はつきものです。
タンクローリードライバーの場合は、不規則な勤務体系や拘束時間の長さが、働き方のマイナス面と言えるでしょう。
こうしたマイナス面をどう解消していくか、自分なりの工夫を考えることが重要です。規則正しい生活リズムを作る、十分な睡眠時間を確保する、オフの時間の使い方を工夫するなど、自分に合ったストレス対処法を見つけていきましょう。
また、会社側の働き方改革の取り組みについても注目すると良いかもしれません。

タンクローリードライバーは、きつい仕事だからこそ、やりがいもある仕事だと言えます。本記事を参考に、タンクローリードライバーの実態をよく理解した上で、ご自身に合うかどうかを見極めてみてください。もしこの仕事にチャレンジしたいと思ったなら、まずは大型免許の取得から始めてみてはいかがでしょうか。