キャリアカーの運転手がきついと言われる3つの理由！年収等も併せて解説！

キャリアカー運転手は、重労働ときつい環境が注目されがちですが、実は高収入や自由度の高さなど意外な魅力も多い仕事です。本記事では、キャリアカー運転手の仕事内容や求められるスキル、メリット・デメリットからキャリアステップまで、ドライバーを目指す方に役立つ情報を詳しく解説します。

そもそもキャリアカー運転手の仕事ってどんな仕事？

キャリアカーとは？運転手の主な業務内容

キャリアカーとは、自動車を運搬するための特殊な構造を持つトラックのことを指します。後部に傾斜した積載スペースがあり、ここにセダンやワゴン車などを載せて運びます。

キャリアカー運転手の主な仕事は、工場で製造された新車をディーラーに届けたり、中古車オークションで落札された車を引取先まで輸送したりすることです。他にも、事故車や故障車を修理工場に運ぶ仕事もあります。

運転以外では、車を積載スペースに載せたり降ろしたりする作業が発生します。この際、燃料を抜いたり、バッテリーを外したりといった準備作業も必要です。安全かつ効率的に積み下ろしするには、一定の手順に沿って丁寧に行うことが大切です。

また、運搬中は常に安全運転を心がけ、車両の異変がないかを確認しながら走行します。運転日報をつけ、燃料の管理なども行います。

必要な免許と資格、求められるスキル

キャリアカー運転手になるためには、まず大型自動車免許を取得する必要があります。車両の大きさによっては、けん引免許も必要です。

加えて、デジタル式運行記録計の操作に関する講習や、危険物取扱者の資格を求められることもあります。会社によっては、フォークリフトや玉掛けの資格も必須とされるケースがあります。

運転スキルはもちろんのこと、ナビゲーションシステムを使いこなす能力や、運行管理規則の知識なども求められます。タイムマネジメント力や、目的地までの最適ルートを設定する判断力も大切です。

トラブルが起きた際に適切に対処する臨機応変さも必要不可欠。車両点検や簡単な整備を自分で行える能力も、一人で長距離を走るキャリアカー運転手には欠かせません。

人に自動車を預かる以上、高い安全意識と責任感も常に求められます。何より、定時制を守りつつ効率よく仕事をこなす自己管理能力が試されます。

下記の記事でも詳しく解説しているので、参考にしてください

キャリアカー(積載車)に必要な免許は？車種別に必要な免許情報を完全網羅！

1日のスケジュールと働き方の特徴

キャリアカー運転手の勤務形態は、会社によって異なります。当日配送の依頼を受けて日勤のみ、夜間に長距離輸送するために夜勤のみ、昼夜を問わず対応するために二交代制、など様々なパターンがあります。

日勤の場合、早朝から出社してトラックの点検や配送先の確認を行います。点呼を受けた後、車両基地に向かって出発。工場やオークション会場などで車を積み込み、配送を開始します。

配送先に到着したら、自力で降ろせる場合は降ろし、できない場合はフォークリフトなどの荷役機械を使って荷降ろし作業を行います。物量によっては、何度も配送先を回ることもあるでしょう。

一方、長距離輸送の場合は車中泊をしながら目的地を目指すこともあります。SA・PAでの仮眠はもちろん、運転の合間には車内で食事を取ったり書類を整理したりと、1人で完結しなければならない作業が多くなります。

キャリアカー運転手の仕事がきついと言われる理由3選

1：重労働と長時間運転によるハードワーク

キャリアカー運転手の仕事がきついと言われる最大の理由は、肉体的に非常にハードなことです。運転だけでなく、重量のある車を何台も積み下ろしするため、筋力も必要です。

特に、1台30kg以上にもなるトラックのタイヤの脱着作業は重労働の代表格。トラックの下に潜り込み、ジャッキアップしてタイヤを外す一連の動作は、膝や腰に大きな負担がかかります。慣れないうちは全身が筋肉痛になることも珍しくありません。

また、長距離輸送の場合、何時間も連続して運転することになります。集中力を保ちながら、単調な作業を延々と続けるのは精神的にもかなりの疲労を伴います。

フォークリフトなどの重機を使う機会も多いため、安全面の注意も欠かせません。ちょっとした不注意が、大きな事故に繋がりかねないのです。常に細心の注意を払い続けることで、精神的疲労はさらに蓄積されていきます。

2：不規則な勤務体系とプライベートの制限

キャリアカー運転手の多くは、シフト制の勤務体系を敷いています。日勤や夜勤などの交代制であったり、長距離輸送のために泊まり勤務があったりと、生活リズムが不規則になりがちです。

特に、夜間の運転が必要なケースでは、昼夜逆転の生活を強いられます。慣れない夜勤は、体内時計が狂うだけでなく、事故のリスクも高まると言われています。

さらに、勤務時間が長いことも大きな特徴の1つ。拘束時間が長くなれば、睡眠時間が削られ、十分な休養が取れません。疲労が蓄積した状態では、集中力も低下し、安全運転に支障をきたす恐れがあります。

3：孤独な仕事環境とメンタルへの負荷

キャリアカー運転手は、基本的に1人で仕事をこなします。積み込みや荷降ろしの際に同僚や荷主とやり取りする機会はありますが、輸送中は運転席で1人きり。黙々と仕事に向き合う孤独な環境だと言えます。

ひとりで長い時間を過ごすことで、知らず知らずのうちにストレスが溜まっていきます。運転中に考え事をしすぎて思考が堂々巡りしたり、些細なミスを反芻して自信を失ったり。弱音を吐き出す相手がいないだけに、心の不調に気づきにくいのです。

さらに、事故やクレームなどのトラブル対応も、ドライバー1人で判断しなければならないケースがほとんど。重圧と孤独に耐えながら、最善の策を導き出す必要があります。

キャリアカー運転手の仕事の3つのメリット

平均年収450-550万と高い水準かつ手当が充実

「運転手＝稼げない」というイメージを覆すのが、キャリアカー運転手の収入の高さです。経験者の平均年収は450～550万円ほど。トラックドライバー全体の平均と比べても、高水準の給与設定だと言えます。

さらに嬉しいのが、頑張りがダイレクトに収入に反映されること。例えば、深夜の運行や休日出勤には、割増賃金が支払われるケースが一般的です。キャリアに応じて支給額が上がる職能給や、目標達成に応じたインセンティブ制度を導入している会社もあります。

勤続年数を重ねるごとに、基本給がアップするケースも。経験とスキルに見合った報酬を得られるので、モチベーションを保ちやすいのです。

また、無事故無違反の期間に応じて支給される「安全運転手当」も魅力の1つ。確実に安全運転を心がければ、それが副収入になるのです。なかには10万円以上の手当を出す会社もあるそうです。

他にも、通勤手当や家族手当、食事補助など、福利厚生の充実ぶりもキャリアカー運転手の魅力。社宅や社員寮を完備している会社もあり、安心して腰を据えて働けると好評です。

もちろん、収入の高さはその分の働きに見合ったもの。体力的・精神的に楽な仕事ではありませんが、それでもやりがいと収入のバランスは取れていると言えるでしょう

※年収はindeedの求人から自社調べにて算出しています。

一人で他人を気にせず作業ができる

「上司や同僚の目を気にせず、自分のペースで仕事ができる」というのも、キャリアカー運転手ならではのメリットです。輸送中の運転席は、まさに「独立国」。自分1人の空間で、思う存分に集中力を発揮できます。

もちろん、納期や安全運転など、最低限のルールは守る必要があります。しかし、運転中の姿勢や車内の環境など、細かなことは自分の裁量で決められます。音楽を聴きながら走るもよし、ひたすら無音で思考を巡らすもよし。自分なりのリラックス方法で、ストレスと上手につきあえるのです。

とは言え、そもそも人付き合いが苦手だから、と安易にこの仕事を選ぶのはおすすめできません。荷主とのやり取りは欠かせませんし、チームプレーが必要なシーンも少なくないからです。

しかし、コツコツと1人で努力を重ねるタイプの人なら、うまくその良さを生かせるかもしれません。自由度の高い働き方で、マイペースにスキルアップできるのは嬉しいポイントです。

インフラを支えているというやりがいを持てる

社会インフラを支えている、という自負も、キャリアカー運転手の大きなやりがいです。新車をディーラーに届けることで、お客様に喜んでもらえる。事故車を修理工場に運ぶことで、再び安全に走行できる。そんな「人のため」になる仕事だからこそ、充実感を味わえるのです。

また、何十台もの車を任されるのですから、会社からの信頼も相当なもの。「キャリアカーの○○さん」と名指しで依頼されることも多いそうです。そうした期待に応えようと、日々の業務に力が入るのです。

「任された仕事は絶対に成し遂げる」というプライドを持って働けるのは、この仕事の醍醐味だと言えるでしょう。ときには車両トラブルなど、予期せぬアクシデントに見舞われることもあります。それでも、自分の判断力と行動力で乗り越えていく。その繰り返しがスキルとなり、自信となって積み重なっていくのです。

キャリアカー運転手の仕事のきつさを乗り越える3つのコツ

規則正しい生活習慣と運動の習慣化

重労働による肉体的な疲労は、キャリアカー運転手にとって避けては通れない問題。だからこそ普段から、体調管理を怠らないことが大切なのです。

まずは、生活リズムを整えることから始めましょう。不規則な勤務体系についていくには、しっかりと睡眠を取ることが何より重要。夜勤明けなどで、寝つきが悪いときは無理せずに休養を優先しましょう。

食生活の改善も、体調管理の基本です。不規則な食事では、体内時計が狂ってしまいます。栄養バランスの取れた食事を、できるだけ決まった時間に摂るよう心がけましょう。

趣味の時間と息抜きの重要性

孤独な環境で働くキャリアカー運転手にとって、ストレス発散は必須のセルフケア。心の疲れを溜め込まないために、プライベートでの充実した時間を持つことがとても大切です。

休日は、思いっきり趣味の時間を楽しみましょう。スポーツ観戦や釣り、ゲームや音楽鑑賞など、自分の好きなことに没頭する。日頃の喧騒を忘れて、リラックスできる時間を作るのです。

家族や友人と過ごすのも、ストレス解消に効果的。美味しいものを食べに行ったり、旅行に出かけたり。大切な人との時間は、心を癒やしてくれるはずです。

仕事への誇りと感謝の気持ち

厳しい仕事だからこそ、心の支えが必要になります。その支えとなるのが、仕事への誇りと感謝の気持ち。「キャリアカー運転手は、なくてはならない存在なんだ」と自分に言い聞かせるのです。

社会インフラの一端を担っている、というプライド。それを胸に、日々の仕事に取り組むことが大切です。「今日も安全に運転できた」「荷主さんに喜んでもらえた」。そんな小さな達成感の積み重ねが、仕事へのモチベーションとなります。

感謝の気持ちを忘れないことも、辛さを乗り越えるコツ。「仕事があるだけ幸せ」「家族のために頑張れる」。前向きな考え方を意識的に持つことで、ネガティブ思考に支配されずに済みます。

キャリアカー運転手に向いている人の特徴

几帳面で安全運転を心がける几帳面な性格

細部までこだわり抜く几帳面さは、キャリアカー運転手に欠かせない資質の1つ。何しろ、大切な商品を預かるのですから、物損事故は許されません。荷台への積み方や、固定の仕方など、徹底的に注意深さが求められるのです。

また、日々の点呼時に行う車両点検。ちょっとした傷やへこみも見逃さない観察眼が問われます。不備があれば、すぐに上司に報告し、修理や メンテナンスの手配を。「たかが小さな傷」と軽視せずに、責任を持って対処する姿勢が重要なのです。

運転中も、周囲の車両の動きや、信号の変化を見逃さないよう注意を払い続けなければなりません。「ながら運転」など論外。常に安全運転を心がける慎重さが不可欠です。

柔軟にシフトに対応できる適応力の高さ

突発的な予定変更は、日常茶飯事。「急遽、長距離便を頼まれた」「複数の集荷先が追加になった」など、臨機応変さが試されるシーンは枚挙にいとまがありません。

シフトの変更を厭わない順応性も重要。もちろん、体調管理のためにも、一定のリズムは必要です。しかし、同僚の急病や家庭の事情などで、代わりのドライバーが必要になることもあります。「助け合い」の精神を持ち、率先してシフトの穴を埋める。そんな心意気が望まれます。

配送ルートの選定でも、柔軟な判断力が問われます。工事による通行止めや、想定外の渋滞。状況に合わせて、最適なルートを選択する能力が必要不可欠です。

一人で黙々と働ける自己管理能力の高さ

マイペースに仕事を進められるのは、キャリアカー運転手の魅力の1つ。しかし、だからと言って、自堕落になってはいけません。納期に間に合わせ、ルールを守って働く。その自己管理能力の高さが、運転手の資質として問われるのです。

特に、長距離輸送の場合は、自分で判断し行動することが求められます。お客様との直接の窓口となるのですから、責任感を持って対応しなければなりません。飛び込みの集荷依頼には、社に指示を仰ぐ時間的余裕はありません。その場で状況を見極め、適切に取捨選択する。そんな臨機応変さと自己管理能力が試されるのです。

1人で何日も拘束されるなかで、モチベーションを保ち続けるのも並大抵のことではありません。ともすれば、集中力が途切れ、ルールを怠りがちに。「今日はこのぐらいでいいか」と妥協しては、安全運転はおろか、品質管理にも支障をきたします。

キャリアカー運転手のキャリアステップ

一般ドライバー：中型・大型免許の取得とキャリアカー運転手デビュー

キャリアカー運転手への第一歩は、中型免許（準中型免許）の取得から。車両総重量7.5トン未満のトラックを運転できるようになります。道路交通法をはじめ、運送業務に関する各種法令の知識も身につける必要があります。

「貨物自動車運送事業輸送安全規則」では、運転者の遵守事項が定められています。乗務前の点呼をはじめ、運行記録計の記録や運転者の健康状態のチェックなど、業務を行う上で知っておくべき規則は多岐にわたります。

入社後は、先輩ドライバーの助手席に同乗し、業務の流れを学ぶことから始まります。荷物の積み方や固定方法、配送先とのやり取りなど、運転以外の作業も経験を積み重ねることが大切です。

経験を積んだら、大型免許の取得にチャレンジ。車両総重量11トン以上のトラックの運転が可能になります。大型車両の運転は、重心の位置や車幅など、中型車との違いを理解することが重要。学科だけでなく、実技指導に力を入れる教習所を選ぶのがおすすめです。

免許を取得したら、いよいよ1人立ちです。初めのうちは近距離の配送から。徐々に経験を積み、長距離輸送にも挑戦していきます。配車担当や整備士とのコミュニケーションを密にし、業務のコツを学んでいくことも大切です。

リーダードライバー：後進の指導や管理業務を担当

一般ドライバーとして経験を積んだ後は、リーダードライバーへのステップアップが目標に。後進の指導係や、チームのまとめ役を任されます。

一般ドライバー時代の経験を活かし、若手の悩み相談に乗ったり、アドバイスしたり。ベテランドライバーならではの知恵を伝授することで、チームの安全運転と効率アップに貢献します。

運行管理の補佐的な役割も担います。適正な運行計画の作成や、ドライバーの労務管理、車両の点検・整備の手配など。管理者の視点を持って、現場の効率化を図っていきます。

トラブル対応の際は、上司と連携を取りながら、的確な判断を下すことも重要な役目。事故や違反を未然に防ぐために、日頃から安全運転の意識を高めておく必要があります。

また、他部署とのパイプ役としての役割も。営業担当や配車担当、整備担当などと、円滑にコミュニケーションを取ることが求められます。リーダーシップを発揮し、チーム内の意思疎通を図っていくのです。

リーダードライバーとなるには、知識と経験、そしてマネジメント能力が必要不可欠。自己研鑽を怠らず、日々スキルアップを図ることが大切です。将来の管理職候補として、期待される存在だと言えるでしょう。

管理職：営業所の所長や運行管理を任される

キャリアの頂点が、管理職への昇進です。営業所の所長や、運行管理者として、さらに大きな責任を担います。

所長は、営業所の収支管理や人員配置、設備投資など、経営的な判断が求められる職務。ドライバーの採用や教育、シフト管理なども重要な仕事です。現場の声に耳を傾けながら、会社の方針に沿った運営を心がけます。

運行管理者は、安全運転の要とも言える存在。ドライバーの点呼をはじめ、運行指示書の作成、車両の点検・整備の管理など、運行に関する業務全般を担当します。

事故や違反が発生した際は、状況を適切に判断し、迅速に対応することが求められます。行政への報告や、ドライバーへの指導など、管理者としての手腕が問われる場面です。

運輸業界は、法令順守が何より重要。運行管理者は、コンプライアンス意識を高く持ち、ルールに則った運営を徹底しなければなりません。

管理職となるには、運行管理者の資格取得が必須です。国家試験に合格し、法令知識を身につける必要があります。リーダードライバー時代から、計画的に勉強を進めておくことが大切と言えるでしょう。

もちろん、管理職もドライバー出身者ばかりではありません。しかし、現場を知る人間だからこそ、適切な判断ができるはず。ドライバー目線を忘れずに、現場に寄り添った運営を心がけたいものです。

管理職への昇進は、キャリアカー運転手にとって大きな目標の1つ。ただし、そこがゴールではありません。会社の発展に尽力し、後進の指導にも力を注ぐ。そんな姿勢があってこそ、真の管理職と言えるのです。

まとめ：きつさを乗り越え理想のキャリアを目指そう

キャリアカー運転手の仕事の真の魅力とは

キャリアカー運転手の仕事は、きつい、厳しいというイメージが先行しがちです。重労働や長時間運転、孤独な環境。確かに、体力的にも精神的にもタフさが求められる職業だと言えるでしょう。

しかし、その裏側には、他の職業にはない魅力がたくさん詰まっています。何よりも、「モノを運ぶ」というシンプルな使命感。人々の生活を陰で支える、縁の下の力持ち的な存在なのです。

ドライバーの仕事なくして、自動車業界は成り立ちません。新車を届け、修理に回し、また道路に送り出す。そのサイクルを滞りなく回すことで、私たちの車社会は支えられています。