大型トラックのバッテリー上がり対処法!原因とメンテナンス方法も徹底解説

大型トラック バッテリー 上がり

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突然のバッテリー上がりは、トラックドライバーにとって悪夢のような出来事です。
しかし、そのメカニズムを理解し、適切な予防策と対処法を知っていれば、バッテリートラブルに翻弄されることはありません。本記事では、バッテリー上がりの原因から応急処置、日常のメンテナンス方法まで、トラックドライバーに必要不可欠なバッテリー知識を網羅的に解説します。

この記事を読んだらわかること
  • バッテリー上がりの症状と判断方法
  • バッテリー上がりを引き起こす主な原因
  • ジャンプスタートとジャンプスターターの使い方
  • JAFなどのロードサービスの上手な利用法
  • バッテリーの日常点検とメンテナンス方法
  • バッテリー交換の目安とバッテリー選びのポイント

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大型トラックのバッテリー上がりかどうかの判断方法

大型トラックのバッテリー上がりかどうかの判断方法

「トラックが動かない!」そんな時、まず確認したいのが、本当にバッテリー上がりなのかどうかという点です。バッテリーが原因で動かないのか、他の箇所に問題があるのかを見極めることが大切です。

バッテリー上がりの典型的な症状は、以下の通りです。

  • セルモーター(スターターモーター)を回してもエンジンがかからない
  • セルモーターが回らない、もしくは力なく回る
  • メーター類が点灯しない、暗い
  • ライトやワイパーなどの電装品が作動しない

一方で、以下のような状況であれば、原因はバッテリー以外にある可能性が高いです。

  • セルモーターは元気に回るが、エンジンがかからない(燃料系統、エンジン自体の不調の可能性)
  • 赤や黄色の警告灯が点灯している(各種センサーやパーツの異常の可能性)

スターターがゆっくりとしか回らない場合や、チリチリとした音しか出ない場合はバッテリーの劣化や完全放電が考えられます。一方、スターターが全く回らない場合は、バッテリーの完全放電かバッテリーの接続不良の可能性があります。

また、一部の警告灯が点灯しているだけでエンジンがかからない場合は、バッテリー以外のセンサー類のトラブルが主な原因と考えられるので、むやみに対処せずに整備工場で点検してもらいましょう。

バッテリー上がりかどうかの見分け方を知っておくと、状況に合わせた適切な対処法を選択できます。慌てずに症状をよく観察し、冷静に判断することが肝心ですね。

大型トラックのバッテリー上がりの主な原因

大型トラックのバッテリー上がりの主な原因

過放電とは

過放電とは、バッテリーが過度に放電し、正常な電圧を大きく下回ってしまった状態を指します。バッテリーは、繰り返し充放電を行うことで機能しますが、過放電に陥るとバッテリー内部の劣化が急速に進行してしまいます。

バッテリーの電圧が規定値を下回ると、内部の鉛極板に非可逆的な硫酸鉛の結晶が生成されます。この結晶は、本来バッテリー液中に溶けているべき硫酸を奪ってしまい、電池容量を低下させる原因となります。過放電を繰り返すと、この容量低下に拍車がかかり、ついにはバッテリーが完全に使えなくなってしまうのです。

トラックの場合、ライトや室内灯の消し忘れ、エアコンやナビのスイッチを切り忘れるなどして、エンジンを切った状態で電装品を使い続けると、知らず知らずのうちにバッテリーが過放電に陥っています。また、短距離運転が多い場合や、冬場で暖気運転の時間が長くなる場合なども、バッテリー上がりのリスクが高まります。

さらに、トラックの場合は車体が大きく、搭載しているバッテリーも乗用車用と比べて大型になります。大容量のバッテリーほど、過放電からの回復は難しいと言えるでしょう。

普段からバッテリーの状態に気を配り、過放電を未然に防ぐ意識を持つことが大切です。ドライバーのちょっとした心がけが、バッテリーの寿命を大きく左右すると言っても過言ではありません。

ライト・電装品の消し忘れ

「荷物の積み下ろしで夜遅くなったから、ちょっとだけ室内灯をつけたまま仮眠を取ったら、翌朝バッテリーが上がっていた」といった経験をしたドライバーの方も多いのではないでしょうか。

ヘッドライトやフォグランプ、ルームランプなどを点けたままエンジンを切ると、バッテリーの電力を消費し続けます。車種やバッテリー状態にもよりますが、ヘッドライトであれば点けっぱなしで3〜4時間、室内灯の場合は10時間以上で上がってしまう可能性があります。

また、トラックの場合は業務用の室内空間が広いため、蛍光灯のような大型の照明を搭載しているケースもあります。この場合、消し忘れによる電力消費はさらに大きくなります。

同様に、エアコンやオーディオなどの電装品も、ACC供給でエンジンを切った状態のまま使い続けると、バッテリー上がりを引き起こします。「ほんの数十分だけ音楽を聴きながら休憩していたのに…」なんて失敗談もよく聞きます。

トラックの電装品は、乗用車に比べて大型で数も多いため、ドライバーはその消費電力の大きさを認識しておく必要があります。わずかな消し忘れでも、思わぬバッテリー上がりのアクシデントに繋がるのです。運転席から離れる時は、ライトや電装品のスイッチに目を配り、こまめな確認を習慣づけましょう。

エンジン停止時の電源の使いすぎ

近年の環境意識の高まりから、アイドリングストップ機能を搭載したトラックも増えてきました。しかし、アイドリングストップ中にオーディオやカーナビを使い続けると、知らないうちにバッテリーに負荷がかかっている可能性があります。

トラックの場合、業務の合間の休憩時間も車内で過ごすことが多いため、エンジンを切った状態でもオーディオやテレビ、冷蔵庫などの電装品を使うシーンが少なくありません。ACCでこれらの機器を数十分使用するだけでもバッテリー消費量は無視できないレベルになります。

例えば、エンジンを停止した状態でカーナビを1時間使うと、約5Ahの電力を消費。冷蔵庫も1時間で約2Ahを消費します。仮に1日の休憩時間の合計が3時間だとすると、ナビと冷蔵庫だけでバッテリー容量の約1割を消耗してしまう計算になります。

さらに、長距離ドライバーが車中泊をする際、エアコンやテレビを使いながら就寝するケースもありますが、この場合のバッテリー消耗は非常に大きいです。夏場にエアコンを8時間使用すると、100Ah規模のトラック用バッテリーでも完全放電に近い状態になってしまいます。

「エンジンを止めているから燃料は使わない」という意識は大切ですが、代わりにバッテリーに負荷がかかっていることを忘れてはいけません。特に大型バッテリーは完全放電からの回復が難しいため、こまめな補充電が欠かせません。無駄な電力消費を避け、バッテリー保護を心がけるよう、普段の運転スタイルを見直してみてはいかがでしょうか。

バッテリー劣化と寿命

バッテリーは消耗品であり、使っているうちに徐々に劣化が進行します。その主な原因は、バッテリー内部で起こる化学反応によるものです。充放電の繰り返しにより、電極の劣化や活性物質の減少などが起こり、次第に性能が低下していくのです。

バッテリーの寿命の目安は、一般的に2〜3年と言われています。しかし、これはあくまで平均的な数値であり、使用状況によって大きく前後します。例えば、短距離運転が多い場合や、暑さ寒さの厳しい環境で使用している場合は、バッテリーの劣化スピードが速まります。

特にトラックの場合、1日の走行距離が長く、始業前点検でバッテリーに負担をかけることも多いため、乗用車よりもバッテリー寿命は短めだと考えられています。また、車体の大きさゆえに搭載バッテリーも大型になりますが、大容量のバッテリーほど劣化しやすい傾向にあります。

バッテリーの劣化は目に見えて現れにくいため、定期的な点検が欠かせません。ドライバー自身が普段からバッテリー液の量や比重を確認し、少しでも異常があればすぐに整備工場で点検を受けるようにしましょう。

また、走行距離が伸びてきたら、バッテリー交換の時期を意識することも大切です。「まだ動いているから大丈夫」と油断していると、突然のバッテリー上がりに見舞われるかもしれません。定期的な点検と、早めのバッテリー交換を心がけることで、トラブルを未然に防ぐことができるはずです。

大型トラックのバッテリー上がりへの対処法

バッテリー上がりへの対処法

ジャンプスタートの手順

万が一バッテリーが上がってしまった場合、ジャンプスタートは最も一般的な応急処置方法です。ジャンプスタートとは、救援車のバッテリーからブースターケーブルを使って、上がったバッテリーに電力を供給し、エンジンを始動させる方法です。

ジャンプスタートに必要な物は、以下の3つです。

  • ブースターケーブル
  • 同じ電圧の救援用バッテリー搭載車(12V/24Vいずれか)
  • 手袋(感電防止用)

ブースターケーブルには、電圧の異なる車種間で使えないものもあるので、トラック用の適合品を選ぶ必要があります。また、ケーブルの被覆に傷やほつれがないか、事前に点検しておくことも大切です。

ブースターケーブルのつなぎ方は、以下の手順で行います。

  1. 両車のエンジンを停止し、パーキングブレーキをかける
  2. 赤のプラスケーブルを上がったバッテリーのプラス端子につなぐ
  3. 続いて、もう一方の赤ケーブルを救援車のバッテリーのプラス端子につなぐ
  4. 黒のマイナスケーブルを救援車のバッテリーのマイナス端子につなぐ
  5. 最後に、もう一方の黒ケーブルを上がった車両の車体の塗装されていない金属部につなぐ(マイナス端子につなぐのは避ける)

ケーブルをつないだら、救援車のエンジンをかけ、約5分間アイドリング状態を保ちます。その後、上がった車のエンジンを始動し、2000rpm程度で5分以上回してバッテリーに十分な充電を行います。

エンジンがかかったら、ケーブルを外す際はつないだ時と逆の手順で静かに取り外します。この時、ケーブルの端子同士を接触させないよう、十分に注意が必要です。

また、つなぐ際も外す際も、ショートによる火花が発生する恐れがあるため、手袋を着用し、顔を近づけ過ぎないようにしましょう。

一連の作業は慌てずに行うことが肝心です。正しい手順を踏まえば、簡単にエンジンを始動させることができるはずです。

ジャンプスターターの使い方

ブースターケーブルを使ったジャンプスタートでは、救援車の手配が必要になりますが、ジャンプスターターを使えば、ドライバー一人でも手軽にバッテリーを充電することができます。

ジャンプスターターは、大容量のモバイルバッテリーとブースターケーブルが一体化した装置です。コンパクトで持ち運びに便利なため、トラックの車載工具としても人気が高まっています。

ジャンプスターターを選ぶ際は、自車のバッテリー電圧に適合した製品を選ぶことが大切です。12Vバッテリー車には12V対応の製品を、24Vバッテリー車には24V対応の製品を使用しましょう。電圧が異なるとバッテリーを痛めてしまう恐れがあります。

また、エンジン始動に必要な電流の大きさ(ピーク電流)にも注目が必要です。排気量の大きいトラックエンジンを始動させるには、500A以上の電流出力が可能なハイパワータイプの製品がおすすめです。

ジャンプスターターの使い方の基本的な流れは、以下の通りです。

  1. 本体のスイッチをONにし、バッテリー残量が十分にあることを確認する
  2. 赤いプラスケーブルをバッテリーのプラス端子に、黒のマイナスケーブルをマイナス端子につなぐ
  3. 安全ランプが点灯したら、エンジンをかける
  4. エンジン始動後、本体のスイッチをOFFにし、ケーブルを取り外す

機種によって操作方法が異なる場合もあるので、必ず取扱説明書をよく読んでから使用開始しましょう。
また、ジャンプスターター自体の充電も忘れずに行ってください。使用後はフル充電しておくのがベストです。

いざという時に使えるよう、ジャンプスターターを常備しておくと安心ですね。初期投資は必要ですが、いつでもどこでもバッテリーを充電できる利便性は、トラックドライバーにとって大きなメリットと言えるでしょう。

JAFやレッカーサービスへの連絡

バッテリー上がりの応急処置で自力での対応が難しい場合は、JAFやレッカー業者など、プロのロードサービスに助けを求めるのも一つの方法です。トラック運転手の強い味方として、24時間365日、全国で駆けつけてくれます。

代表的なロードサービスとしては、以下の選択肢があります。

  • 日本自動車連盟(JAF)
  • 自動車保険会社の付帯サービス
  • 自動車メーカーの会員向けサービス
  • 民間のレッカー業者

中でもJAFは、会員・非会員問わず、誰でも呼び出すことができるサービスです。
JAFへの連絡は、以下の専用ダイヤルから行えます。

  • 携帯短縮ダイヤル「#8139」(通話料無料)
  • 一般加入電話から「0570-00-8139」(通話料有料)

オペレーターに状況や車種、位置情報などを正確に伝えることが、スムーズな救援に繋がります。高速道路上での事故の場合は、まずは道路緊急ダイヤル「#9910」に連絡を入れるのがルールです。

ロードサービスの出動料金は、各サービス、また状況によって異なります。目安としては以下の通りです。

  • JAF: 基本料金1万5000円程度〜(会員は無料)
  • 自動車保険: 1回または年1回まで無料のことが多い
  • メーカーサービス: 新車購入特典として1回無料など
  • レッカー業者: 1万5000円〜3万円程度が相場

料金面を見ると、JAFへの入会や自動車保険の付帯サービスへの加入は、トラックドライバーにとって検討に値する選択肢と言えるでしょう。

ただ、いずれのサービスもバッテリー上がりへの応急処置のみで、根本的な原因の究明や修理までは行ってくれません。その点は自身で整備工場に依頼する必要があるので注意が必要です。

トラックは長距離を走るため、トラブルに遭遇するリスクも高くなります。いざという時の連絡先を普段から把握し、スムーズに救援要請できる体制を整えておくことが大切ですね。

バッテリー上がり多発時の対策

ジャンプスターターを用意する、JAFを呼ぶなど、バッテリー上がりへの対処法を身につけていても、そもそもバッテリー上がりを頻繁に起こすようでは、業務に支障をきたしてしまいます。もしもバッテリー上がりを繰り返すようであれば、原因究明と抜本的な対策が必要不可欠です。

バッテリー上がりの原因としては、以下のような項目が考えられます。

  • バッテリー自体の劣化・故障
  • オルタネーターの不具合による充電不足
  • 車両側の電力消費の異常(配線ショートなど)
  • ドライバーの操作ミス(ライト消し忘れなど)

したがって、バッテリー上がりが頻発する場合は、バッテリーだけでなく、充電系統や車両側の電装品まで含めた総合的なチェックが必要です。

整備工場では、以下のような点検を行うことで原因の特定を進めていきます。

  • バッテリーのテスター診断(CCA値、内部抵抗など)
  • オルタネーター出力電圧の測定
  • 充電配線の導通・腐食チェック
  • 各種電装品の消費電流測定
  • アース不良の有無

また、トラックの場合は、業務用の電装品も数多く搭載されているため、それらの設備の状態もしっかりとチェックしておくことが大切です。冷凍機やパワーゲート、荷台のLEDライトなども、バッテリー負荷の大きな要因になり得ます。

運行管理者と連携し、専門のサービス工場できちんと診断を受けることが、バッテリー上がり多発の悩みを解決する近道だと言えるでしょう。

日々の点検では見落としがちな部分も、工場の診断機を使えば一目瞭然です。「原因がわからない」「どこを直せばいいかわからない」といった状態で、漫然と使い続けるのは避けたいものです。

バッテリー上がりを未然に防ぐには、普段からバッテリーへの関心を高く持つことも大切ですが、プロの目を通して、車両のコンディションを定期的にチェックしてもらうのも一つの方法です。

安全運行の要は、日頃のメンテナンスにあると言っても過言ではありません。「バッテリー上がりが多いな」と感じたら、早めに専門家に相談し、適切な対策を講じることが賢明だと言えるでしょう。

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大型トラックのバッテリーのメンテナンス方法

大型トラックのバッテリーのメンテナンス方法

日常点検の重要性

トラックの安全運行を支えるためには、日常点検が欠かせません。特にバッテリーは、車両を動かす上で心臓部とも言える重要な部品です。にもかかわらず、日頃のメンテナンスでは軽視されがちな項目でもあります。

バッテリーの状態は、外観からは判断しづらいのが特徴です。「エンジンがかかればオーケー」と思っていると、気づかないうちにトラブルが進行している可能性があります。

そこで、トラックドライバーには、出発前点検の際にバッテリーの状態をしっかりとチェックする習慣が求められます。具体的には、1日1回の目視点検を欠かさず行うことが理想的です。

バッテリー点検の主なチェックポイントは以下の通りです。

  • バッテリーケースのひび割れや変形がないか
  • 端子部分の腐食やゆるみがないか
  • バッテリー液の量は適正か(液栓を開けて確認)
  • バッテリー液の色に濁りがないか

このうち、バッテリー液のチェックは、対応する構造のバッテリーのみ可能です。密閉型メンテナンスフリーバッテリーの場合は、液面の確認はできません。

また、バッテリー上がりのサインとなる症状にも普段から注意を払いましょう。
具体的には、エンジン始動時のもたつきや、ライトの減光、エアコンの効きの悪さなどです。少しでも異変を感じたら、迷わずに整備工場で点検を受けることが肝心です。

バッテリートラブルは、出発直前に発見されるケースが少なくありません。
「今日もタイトなスケジュールが待っている」そんな時でも、点検の手を抜かずに、バッテリーの状態に目を配ることが大切です。

愛車の異変は、誰よりもドライバー自身が敏感に察知できるはずです。
異音や違和感を見逃さず、「おかしい」と思ったら、専門家の診断を仰ぐ。
そんな習慣が、トラックドライバーとしての安全運行の第一歩になるのではないでしょうか。

バッテリー液の点検と補充

バッテリー液は、バッテリー内部での化学反応を円滑に進めるための重要な役割を担っています。この液量が適正値を下回ると、バッテリーの性能が著しく低下してしまいます。

バッテリー液量の適正値は、バッテリーのケース上部に刻印されている「UPPER LEVEL」と「LOWER LEVEL」の間に液面がくるのが理想的です。仮に液面が「LOWER LEVEL」の下になっている場合は、要注意です。

バッテリー液量が減る主な原因は、以下の2点です。

  1. バッテリーの劣化・経年変化による自然蒸発
  2. オーバーチャージ(過充電)による水素ガスの発生

液量の低下を放置すると、バッテリーの膨らみや液漏れ、ひいては完全放電にまで繋がりかねません。こまめな液量チェックと、不足時の補水を怠らないようにしたいものです。

バッテリー液の補充は、精製水または脱イオン水を使用し、ゆっくりと注いでいきます。液栓が2つある場合は、必ず両方とも補水します。補水の際は、以下の点に注意が必要です。

  • UPPER LEVELを超えて入れすぎない
  • 液を皮膚に付けたり、目に入れたりしない
  • 金属製の器具は使わず、ロートなどを使う

補水後のバッテリーは、キャップをしっかりと締め、ゆるみがないことを確かめましょう。こぼれた液は、重曹水などで中和した後、きれいに拭き取ります。

最近は、補水の手間がかからないメンテナンスフリーのバッテリーが普及しています。しかし、その場合でも定期的な外観点検は欠かせません。

バッテリーが上がってしまってから慌てるのではなく、普段から注意深く状態を確認する習慣をつけておくことが何より大切だと言えるでしょう。「ちょっとした手間」が、トラブルを未然に防ぐカギになるのです。

メンテナンスフリーバッテリーとは

近年、トラック用バッテリーの主流となりつつあるのが、「メンテナンスフリーバッテリー」です。従来のバッテリーでは欠かせなかった補水の手間が不要となり、ドライバーの負担を大幅に軽減できるのが大きな魅力です。

メンテナンスフリーバッテリーは、バッテリー液の代わりにゲル状の電解質を使用しているのが特徴です。電解質がゲル化されているため、液漏れや液切れの心配がありません。また、ガス発生量も抑えられているため、液面降下も起こりにくくなっています。

ただし、メンテナンスフリーであることのデメリットもあります。

まず、内部状態が見えないため、劣化の進行が分かりづらいという点です。従来のバッテリーでは、液の色や液面から劣化の兆候をつかむことができましたが、それができません。

また、充電受け入れ性能がやや低いというデメリットもあります。頻繁なエンジン始動や、アイドリングを伴う長時間運転など、過酷な使用条件下では、バッテリーへの負荷が大きくなり、寿命を縮める恐れがあるのです。

メンテナンスフリーバッテリーを選ぶ際は、自身の使用状況とよく照らし合わせて検討することが大切です。

『短距離運転が多い』『車中泊での電装品使用が多い』など、バッテリーにとって厳しい条件が多い場合は、定期的な補水が必要な一般バッテリーを選ぶのも一つの方法です。

一方、『長距離運転メイン』『アイドリングは短め』といった条件であれば、メンテナンスフリーバッテリーのメリットを存分に活かせるでしょう。

いずれにせよ、メンテナンスフリーだからと言って、バッテリーへの関心を失ってはいけません。定期的な外観点検は欠かさず、少しでも異常を感じたら、迷わず専門家の診断を仰ぐよう心がけましょう。

バッテリーの状態を適切に保つことが、安全で快適な運行に直結します。
トラックドライバーにとって、バッテリーはまさに、相棒とも言える大切な存在なのです。

バッテリー端子の清掃と増し締め

バッテリーの点検項目として見落としがちなのが、バッテリー端子の状態チェックです。端子に汚れやサビが蓄積すると、バッテリーの充電効率が下がるだけでなく、最悪の場合、火災の原因にもなりかねません。

バッテリー端子の汚れは、主に以下のような原因で発生します。

  • バッテリー液から発生した硫酸ガスが端子に付着
  • 湿気の多い環境での使用によるサビの発生
  • 経年劣化によるバッテリーケーブルの損傷

汚れが溜まった端子では、電気抵抗が増大し、スターターモーターへの電力供給が滞ります。エンジン始動不良やバッテリー上がりにも直結する、重大な問題だと言えます。

端子の清掃は、以下の手順で行います。

  1. マイナス端子(-)を外し、プラス端子(+)を外す
  2. 端子部分をワイヤーブラシできれいに磨く
  3. 清掃後の端子にグリスを塗布し、腐食を防止する
  4. プラス端子を取り付け、マイナス端子を取り付ける

清掃時は、必ず手袋とメガネを着用し、バッテリー液が飛び散らないよう注意が必要です。端子を外す際は、必ずマイナス側から外すのがルールです。逆に取り付ける際は、プラス側から行います。

端子を取り付けた後は、増し締めを行うのを忘れずに。緩んだ状態では、充電不良や発熱のリスクがあります。適度な力で、しっかりと締め付けましょう。

端子の清掃と増し締めは、1ヶ月に1回程度の頻度で行うのが理想的です。
普段のメンテナンスでは意識しにくい場所ではありますが、トラックの安全運行のためには欠かせない作業だと言えます。

端子トラブルは突然の故障に直結しやすいだけに、こまめなチェックが何より大切。『今日も異常なし』で確認できるよう、端子の状態にも普段から目を配る習慣をつけておきたいものです。

大型トラックのバッテリー交換の目安

大型トラックのバッテリー交換の目安

トラックのバッテリーは、劣化が進むと次第に本来の性能を発揮できなくなります。エンジン始動に時間がかかるようになったり、走行中の電装品の調子が悪くなったりと、ドライバーにとって見逃せないサインが現れるものです。

バッテリーの一般的な寿命は2〜3年ですが、使用状況によっては1年程度で交換が必要なケースもあります。特に、以下のような兆候が見られる場合は、要注意です。

  • エンジンの始動に時間がかかる、または始動しない
  • アイドリング不調やエンストが起きやすい
  • ライトの減光や、電装品の動作不良が起きる
  • 充電してもすぐに上がってしまう

これらの症状は、バッテリーの「避けられない老化」を示すサインです。
症状が現れた時点で、バッテリーの交換を真剣に検討する必要があります。
放置すれば、バッテリー上がりのトラブルに直結してしまうでしょう。

バッテリー交換の際は、自車に適合するものを選ぶことが大切です。
適合サイズやターミナル位置、5時間率容量などをよく確認し、可能な限り純正品を選ぶのがおすすめです。

また、バッテリー交換の前後は、必ず端子の清掃も行いましょう。
新しいバッテリーを取り付ける際、端子が汚れていると、せっかくの新品も本来の性能を発揮できません。

バッテリー交換は、トラックを末永く健康に保つための重要なメンテナンスだと言えます。「あと1年は大丈夫」と先延ばしにせず、適切なタイミングで交換を実施することが賢明です。

日頃からバッテリーの状態に注意を払い、少しでも異変を感じたら、迷わず行動に移す。そんな心構えが、トラックドライバーにとって何より大切なのではないでしょうか。

交換時のバッテリー選定ポイント

バッテリー交換の際、どのような製品を選ぶかは非常に重要です。
適合性が悪いバッテリーを使用すると、本来の性能が発揮できないだけでなく、最悪の場合、車両火災のリスクすらあります。

トラック用バッテリーは、主に次の規格で分類されています。

  • JIS規格: 日本工業規格に適合した国内向けバッテリー
  • DIN規格: ドイツ工業規格に適合した欧州向けバッテリー
  • BCI規格: 北米のバッテリー規格(Battery Council International)

自車に適したバッテリーを選ぶためには、現在使用しているバッテリーの規格を確認することが第一歩です。車両マニュアルを参照するか、現在のバッテリーのラベルをチェックしましょう。

また、バッテリーサイズとターミナル位置(端子の位置)も重要な選定ポイントです。車両バッテリー搭載スペースにジャストフィットする製品を選ぶことが、トラブル防止のカギとなります。

加えて、5時間率容量(Ah)にも注目が必要です。この数値が大きいほど、大電流の放電に強いと言えます。トラックの場合、一般的に100Ah以上の容量が求められます。

コスト面では、高性能な製品ほど価格も高くなる傾向にあります。
しかし、安価な製品を選んで交換サイクルが短くなるようでは、長期的にはデメリットとなってしまいます。

長期的な視点に立ち、ある程度の投資を厭わないことも大切だと言えるでしょう。『この先、5年は使える』そんな製品選びを心がけたいものです。

とは言え、予算の範囲内で、なるべく良いものを選びたいのが人情です。
カタログスペックだけでなく、実際のユーザーレビューもよく参考にしながら、コストパフォーマンスの高い製品を吟味することをおすすめします。

バッテリー交換は、トラックにとって心臓部の手術に等しい重要作業。
だからこそ、適合性や性能を十分に見極め、信頼のおける製品を選ぶことが何より大切なのです。

まとめ:大型トラックのバッテリートラブルを防ぐためには

トラックにとって、バッテリーのコンディションは、文字通り死活問題です。
エンジンがかからなくなれば、その日の業務にも大きな支障が出てしまうでしょう。
バッテリートラブルは、ドライバーにとって何としても避けたい事態なのです。

バッテリートラブルを防ぐための鉄則は、「普段の意識」と「適切な対処」の2点に集約されます。

「普段の意識」とは、日常点検の習慣化に他なりません。
出発前の数分間で、バッテリー周りの目視点検を行う。
それだけで、トラブルの芽を早期に発見できる可能性が格段に高まります。

「適切な対処」とは、いつもと異なる兆候を見逃さず、適切なメンテナンスを施すことを指します。
充電不足や液切れには、素早く対応する。性能の限界が近づいたら、迷わずに新しいバッテリーと交換する。
そうした適時適切な判断が、バッテリーをいつまでも健康に保つために欠かせません。

加えて、バッテリーに関する正しい知識を身につけることも重要です。
バッテリーの仕組みを理解し、トラブル時の対処法を習得する。
それにより、万一のトラブル発生時にも、冷静かつ的確に対応できるはずです。

トラックにおけるバッテリーの重要性は、エンジンオイルなどと比べると、ややもすれば認識されにくいかもしれません。

しかし、プロドライバーとして365日24時間、トラックと向き合う以上、バッテリーをおろそかにするわけにはいきません。

『今日もまたバッテリーが無事でよかった』
そう毎日思えるよう、バッテリーに愛情と関心を持ち続けること。
それこそが、トラックドライバーに求められる責務と言えるのではないでしょうか。


今回紹介した内容を踏まえて、トラックの運転手が合っていると感じた方は、積極的に転職を検討してみてはいかがでしょうか。
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近年、日本ではドライバーの数が減少傾向にあるため、今の職場よりも良い給与や環境で働ける企業から内定を獲得できる可能性が高まっているのです。

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