陸送の仕事がきついと言われている5つの理由！陸送の種類も併せて解説！

陸送ドライバーの仕事は、車両を目的地まで運転して納入するサービスで、長距離輸送が中心となるタフな職業です。しかし、きつい仕事の中にもやりがいや魅力が詰まっています。本記事では、陸送の仕事の特徴や難しさ、それを乗り越えるコツ、キャリアステップなどを詳しく解説します。

そもそも陸送の仕事ってどんな仕事？

陸送業務の概要と特徴

陸送とは、車両を目的地まで運転して納入するサービスのことです。主に自動車ディーラー、レンタカー会社、リース会社、運送会社などが、新車や中古車、営業車などを輸送する際に利用します。陸送の対象となる車両は多岐にわたり、自家用車から商用車、さらには重機や特殊車両まで様々です。

陸送業務の特徴は、長距離輸送が中心であること。都道府県をまたいだ輸送依頼が多く、全国規模で展開されているのが特徴です。ドライバーは基本的に1人で車両を運転し、出発地から目的地までの長距離を安全に走行することが求められます。そのため、体力や集中力、忍耐力が不可欠です。

また、陸送業界の多くが自社便を採用しているのも特徴の1つ。車両の調達から管理、輸送までをトータルで請け負うことで、円滑なサービス提供を実現しています。輸送品である車両を守るために、陸送専門の車両保険に加入するのが一般的です。ただし、需要はシーズンによって波があるため、繁閑の差に対応するのも重要なポイントといえるでしょう。

陸送ドライバーの仕事内容と責任

陸送ドライバーの仕事は、出発地での車両引き取りから始まります。まずは車両の状態を入念にチェックし、必要な書類を整えます。そして指定されたルートを使って目的地まで車両を運転します。その際は安全運転を徹底し、定められたスケジュール通りに納品先に到着することが求められます。

納品先に到着したら、再度車両の状態を確認。異常がないことを確かめたうえで、引渡し手続きを行います。1回の輸送で複数の車両を担当することも少なくないため、ドライバーには効率的な時間管理も求められます。

輸送中の車両管理もドライバーの重要な仕事です。タイヤの空気圧チェックや燃料の補充など、基本的なメンテナンスは欠かせません。万が一、事故やトラブルが発生した場合は、適切な対応を取ることも責任の1つです。

陸送の主な4つの種類とその特徴

陸送には、輸送車両の種類によって大きく4つの分野があります。

まず、自家用車陸送。一般の個人オーナーが所有する自家用車を、引越しや転勤などに伴って輸送するサービスです。他にも、遠方での購入車両を自宅まで輸送するケースもあります。

次に、商用車陸送。企業が保有する営業車やトラックなどを納車する際に利用されます。リース会社や自動車ディーラーからの発注が多く、定期的な輸送依頼が見込めるのが特徴です。

重機・建機陸送は、工事現場で使用するブルドーザーやクレーンなどの重機を輸送する分野。これらの特殊な車両を安全に運ぶには、専門的な知識と経験が必要とされます。

最後に、特殊車両陸送。キャンピングカーや超大型トラックなど、サイズや形状が一般的な車両と異なるものを輸送します。輸送ルートの選定や、積み下ろしの際の細かな操作が求められる分野です。

各分野で扱う車両の特性は異なりますが、いずれも高い安全性と確実な輸送が求められる点では共通しています。ドライバーには、車両の特性を理解し、適切な運転技術を発揮することが期待されているのです。

下記の記事でも詳しく解説しているので、参考にしてみてください。

2024年6月19日 重機回送の仕事がきついと言われる3つの理由を解説！年収等も併せて解説！

2024年6月19日 レンタカー回送ドライバーの仕事はきついのか？正社員とバイトの違いも解説！

陸送の仕事がきついと言われる5つの理由

1: 長距離運転と不規則な勤務体系

陸送ドライバーの仕事は、長距離運転が基本。1回の輸送で数百キロを走ることも珍しくありません。そのため、長時間の連続運転を強いられることが多く、集中力の維持が大変です。また、納期に合わせるため、夜間や早朝の運転、休日出勤なども避けられません。不規則な生活リズムは、心身の健康に大きな負担となります。

2: 肉体的な負担が大きい

長時間座りっぱなしの運転は、腰痛や肩こりなど、身体的な疲労につながります。また、重量のある荷物の積み下ろしなど、力仕事も少なくありません。車内環境も快適とは言い難く、夏場のエアコン不調や騒音、振動など、様々なストレス要因が重なります。定期的な運動や休憩を取ることが難しいため、肉体的な負担は蓄積されがちです。

3: 精神的ストレスとプレッシャー

陸送ドライバーは常に時間に追われながら、安全運転を求められます。遅延のリスクとの戦いは大きなプレッシャーとなります。また、初めて走る道では迷いやすく、道順を調べる手間もストレスに。納車先の担当者との折衝もトラブルの種になりかねません。これらの精神的な負担が積み重なることで、心身の健康を損なうケースも少なくありません。

4: 高い安全運転責任

陸送の仕事は、人命に直結する事故のリスクが高い職種です。同時に、輸送する車両は高額な財産。これらを預かる責任の重さは、ドライバーの肩に重くのしかかります。万が一事故を起こせば、仕事を失うリスクもあるため、細心の注意を払い続けることが求められます。この責任の重さが、大きなプレッシャーとなっているのです。

5: ワークライフバランスの悪さ

不規則な勤務体系により、家族との団欒の時間は限られがち。子供の学校行事に参加できないなど、犠牲も少なくありません。また、長期の出張が多いため、プライベートな予定も立てづらいのが実情です。車上での仮眠や食事は快適とは言えず、心身のリフレッシュも難しい。陸送の仕事は、ワークライフバランスの面でも大きな課題を抱えています。

きつい中にも見出せる陸送の仕事の3つのメリット

大型免許を活かせる やりがいのある仕事

陸送ドライバーになるには、大型自動車免許が必須。この資格を持つドライバーにとって、陸送の仕事は活躍の場が広いと言えます。トラックやバスなど、他の大型車両の運転とは違った面白さもあるでしょう。

また、車好きにとって、陸送の仕事は魅力的。様々な車種を運転できるのは、ドライバー冥利に尽きる経験です。愛車を大切に扱うオーナーの気持ちもよく分かります。輸送車両を傷一つ付けず納車できた時の達成感は、何物にも代えがたいやりがいとなるでしょう。

自由度の高い働き方

陸送ドライバーは基本的に1人で働きます。車内は自分だけのプライベート空間。仕事中の服装や車内環境を、自分なりにアレンジできるのは大きな魅力です。

好きな音楽を聴きながらのドライブは、ストレス解消にもなります。運転以外の待機時間の使い方も、ある程度自由。読書や動画視聴など、自分なりのリラックス方法が取れるでしょう。

もちろん、納期に間に合うよう、スケジュール管理は必須。自由な働き方を求めるなら、高い自己管理能力が求められます。しかし、その分、仕事の進め方に裁量を持てるのは魅力の1つと言えるでしょう。

安定した需要と収入が見込める

陸送市場は近年拡大傾向にあります。自動車の普及に伴い、陸送の需要は今後も安定して見込めるでしょう。ドライバー不足が叫ばれる中、経験豊富なドライバーの価値は高まる一方です。

ある程度の経験を積めば、収入アップも期待できます。定期的な顧客を獲得できれば、安定した収入を得られるでしょう。さらに、独立起業のチャンスもあります。事業主としてのキャリアパスを描くこともできるのです。

もちろん、安定収入を得るには、安全運転と確実な輸送が大前提。自己研鑽を怠らず、顧客からの信頼を勝ち取ることが何より重要です。その努力が実を結べば、陸送ドライバーとして充実したキャリアを築けるはずです。

陸送の仕事は、きつい面も確かにあります。しかし、その分やりがいもひとしお。免許を活かせる楽しさ、自由な働き方、安定的なキャリアパスなど、魅力的な側面も数多くあるのです。

陸送ドライバーの平均年収は？

平均年収は400万円~500万円程度

陸送ドライバーの平均年収は、400万円から500万円程度。未経験者の初任給は300万円前後が相場です。

ただし、経験年数によって年収は大きく変わります。5年程度の経験を積めば、500万円以上の年収も狙えるでしょう。10年以上のベテランドライバーともなれば、600万円以上の高収入を得られるケースも少なくありません。

もちろん、年収アップには安全運転と確実な納車が不可欠。顧客からの信頼を勝ち取ることが、収入アップへの近道となります。スキルと経験を積み重ねることが、陸送ドライバーの年収アップのカギを握っているのです。

年収アップのための方策

陸送ドライバーが年収アップを目指すなら、いくつかの方策が考えられます。

まずは、複数の顧客を確保し、安定的な輸送依頼を受けられる状態を作ること。単発の仕事では収入が安定しません。信頼できる顧客を複数持つことが、安定収入への第一歩です。

次に、効率的な配車や、輸送ルートの最適化にも目を向けましょう。限られた時間の中で、いかに多くの輸送を行えるか。生産性を高める工夫が、収入アップにつながります。

さらに、大型特殊免許の取得や、重機・建機の運転スキルを身につけるのもおすすめ。専門性の高い輸送を任せられるドライバーは、より高い報酬を得られる可能性があります。

最後に、独立起業という選択肢も。事業主となれば、利益の最大化を目指せます。もちろんリスクは大きいですが、年収アップを実現できるチャンスでもあるのです。

陸送の仕事のきつさを乗り越える4つのコツ

効率的な荷積み・荷卸しテクニックを習得

陸送ドライバーにとって、荷積みと荷卸しは重要な作業です。この作業を効率的に行うことで、時間を短縮し、体力的な負担を減らすことができます。

まずは、手順を整理し、無駄のない動きを心がけましょう。必要な道具は事前に準備し、作業の流れを頭に入れておくことが大切です。また、運搬車や荷役機器など、適切な装置を活用することで、作業の効率化を図ることができるでしょう。

ただし、効率を追求するあまり、安全面を疎かにしてはいけません。重量物の取り扱いには細心の注意を払い、無理のない姿勢で作業を進めることが何より重要です。確実に、そして安全に作業を遂行する。それが効率アップのコツと言えるでしょう。

車両管理を徹底して事故トラブルを防止

陸送ドライバーにとって、車両は仕事の命綱。万全のコンディションを保つことが、安全運転の大前提となります。

日常点検を欠かさず、異常の早期発見に努めましょう。タイヤの空気圧やエンジンオイルの量など、基本的な項目は運転前に必ずチェックします。異音や振動、臭いなど、普段と違う兆候があれば、すぐに原因を究明することが大切です。

また、定期的なメンテナンスも欠かせません。法定点検はもちろん、車両の状態に合わせて、適切な整備を施すことが求められます。日頃から愛車に目を配り、コンディションを維持することが事故防止の鍵となるのです。

適切な休憩と睡眠で疲労を溜めない

陸送の仕事では、長時間の運転が避けられません。疲労が蓄積すると、集中力が低下し、事故のリスクが高まります。疲労を溜めないための適切な休憩と睡眠が欠かせません。

長距離運転では、2時間に1回は休憩を取ることが基本。車を停めて、体を伸ばす習慣を付けましょう。仮眠を取る際は、できるだけ静かで快適な環境を選びます。アイマスクや耳栓を活用し、質の高い睡眠を心がけることが大切です。

また、休憩時間の使い方も工夫が必要です。軽い運動や深呼吸で、体をリフレッシュさせる方法もおすすめ。音楽を聴いたり、ストレッチをしたりと、自分なりのリラックス方法を見つけることが疲労回復のポイントとなるでしょう。

仲間ドライバーとの情報交換を活用

陸送の仕事では、先輩ドライバーの経験やアドバイスが何よりの教科書。効率的な荷の積み方、渋滞を避けるルートの選び方など、ベテランならではのノウハウは若手ドライバーにとって宝の山です。積極的に耳を傾け、吸収することが成長のカギとなります。

また、困った時は1人で抱え込まず、同僚に相談することも大切。同じ経験をしたドライバーなら、きっと的確なアドバイスをくれるはず。悩みを共有し、知恵を出し合うことで、問題の解決策が見えてくるでしょう。

陸送業界の動向や、安全運転のコツ、車両メンテナンスの裏ワザなど、ドライバー同士で情報交換することも重要です。知識を共有し合うことで、お互いのスキルアップにつながります。仲間との連携を大切にすることが、陸送ドライバーとして成長する近道なのです。

陸送ドライバーに向いている人の特徴

体力に自信がある

陸送ドライバーの仕事は体力勝負。長時間の運転はもちろん、重い荷物の積み下ろしなど、肉体的な負担が大きいのが特徴です。

また、不規則な勤務体系が続くことも少なくありません。シフトに柔軟に対応できる体力が求められます。持久力に自信があり、タフな環境でも耐えられる人が向いているでしょう。

一人で働くことを好む

陸送ドライバーの仕事は、基本的に1人での作業が中心。長距離を1人で運転することも珍しくありません。

自分1人の世界に浸れる孤独を楽しめる人でないと、ストレスが溜まってしまうかもしれません。自己管理能力が高く、律儀に仕事を遂行できる人が向いているでしょう。

車の運転が得意

陸送ドライバーに欠かせないのが、高度な運転技術。様々な車種の特性を理解し、適切に操作できなくてはなりません。

運転が好きで、車に関する知識が豊富な人は、陸送の仕事にもすぐに適応できるでしょう。安全運転はもちろん、効率的な配車ルートを考えられる人も歓迎されます。

規則正しい生活を送れる

陸送ドライバーは不規則な生活リズムに陥りがち。しかし、そんな中でも規則正しい生活を心がける自己管理能力の高さが求められます。

日頃から健康管理に気を配り、体調を整えられる人は、仕事で良いパフォーマンスを発揮できるはず。自制心があり、ストイックに自己管理できる人に向いています。

臨機応変に対処できる問題解決力がある

陸送の仕事では、思わぬトラブルに遭遇することも珍しくありません。納車先でのクレーム対応や、車両の故障など、その場での適切な判断が求められます。

冷静に状況を分析し、臨機応変に問題を解決できる能力が重要となります。柔軟な思考力と行動力を兼ね備えた人なら、陸送ドライバーとして活躍できるでしょう。

陸送ドライバーのキャリアステップ

下積み時代を乗り越えるコツ

陸送ドライバーの世界に飛び込んだばかりの頃は、まさに下積みの時代。経験豊富な先輩ドライバーの指導を素直に受け入れることが何より大切です。

配車先の地理や交通事情を詳しく把握し、効率的な配送ルートを考えられるようになりましょう。荷主とのコミュニケーションでは、礼儀とマナーを重視します。

ただし、トラブル時には臨機応変な対応力も求められます。マニュアル通りにいかない状況でも、冷静に判断できる力を身につけることが下積み時代を乗り越えるカギとなるでしょう。

専門性を高めるスキルアップ

一通りの経験を積んだら、次はスキルアップが重要になります。重機や建機、特殊車両など、専門性の高い運転技術を身につけることで、活躍の場が広がります。

また、安全運転や省燃費運転を実践し、コスト意識を高めることも大切。定期的な車両点検や、効率的な配車計画など、運送のプロとしてのノウハウを蓄積しましょう。

陸送業界の新しい知識や技術にも目を向けます。自己研鑽を怠らず、常に学ぶ姿勢を持つことが、スキルアップへの近道。専門性を高めることで、ドライバーとしての市場価値を上げることができるのです。

独立・起業への道

陸送ドライバーの究極の目標は、独立・起業。自分の陸送会社を立ち上げ、事業主として成功を収めることです。

そのためには、経験を積み重ね、業界内の人脈を広げることが重要。信頼できる荷主や仲間ドライバーとのつながりが、ビジネスチャンスを生み出します。

同時に、安定した輸送実績を重ねることで、顧客からの信頼を獲得しましょう。『この仕事は○○さんに任せれば間違いない』と言われるような、頼れるドライバーを目指します。

資金調達や経営のノウハウは、独学で学ぶ必要があるかもしれません。起業に必要な準備を少しずつ進め、近い将来の独立を目指して着実に歩みを進めましょう。

まとめ

ここまで、陸送の仕事の厳しさと、それを乗り越えるコツについて解説してきました。改めて強調したいのは、陸送ドライバーの仕事は確かにきついけれど、それ以上にやりがいのある仕事だということです。

肉体的にも精神的にもタフでなければ務まらない。それでも、難しい状況を乗り越えて車両を無事に納品できた時の達成感は、何物にも代えがたい。そうした経験の積み重ねが、人間的な成長につながるのです。

プロのドライバーとして大切なのは、安全運転と確実な納品。この2つは譲れない使命であり、いかなる状況でも決して手を抜いてはいけません。事故を起こさず、納期を守り、車両を傷つけずに届ける。それがプロの仕事です。

ドライバーとしてのレベルを高めるには、自己研鑽が欠かせません。日々の努力を怠らず、常により良い仕事を目指す。顧客の期待に応え続けられるよう、品質の高いサービスを提供し続ける。それがプロ意識です。

陸送ドライバーを志す皆さんには、ぜひこのプロ意識を持って仕事に取り組んでほしい。目の前の課題から逃げずに立ち向かう。諦めずに工夫を重ねる。様々な地域の人々と交流し、視野を広げる。陸送の仕事は、人として成長するための素晴らしいチャンスなのです。