バキュームカーの仕事がきついと言われている3つの理由！メリット等も解説！

バキュームカーの運転手は、し尿や汚泥を吸引・運搬する重要な仕事ですが、その一方できつい職業としても知られています。本記事では、バキュームカーの仕事の実態に迫るとともに、きつさを乗り越えるコツやキャリアアップの道についても詳しく解説します。

そもそもバキュームカーの仕事ってどんな仕事？

バキュームカーとは？し尿や汚泥を吸引・運搬する車両

バキュームカーは、し尿や浄化槽汚泥などを吸引・運搬するための特殊な車両です。タンクローリーの一種で、強力な真空ポンプを搭載しており、汚水を吸い上げて専用のタンクに貯めて運ぶことができます。し尿処理施設や下水処理施設への運搬が主な用途ですが、建設現場の仮設トイレの汚水回収などにも使われます。

バキュームカー運転手の主な仕事内容

バキュームカー運転手は、し尿・汚泥の吸引、運搬、処理施設への投入などを行います。定期的な浄化槽の清掃や、建設現場でのトイレ汚水の回収など、幅広い業務をこなす必要があります。
運転業務以外にも、ホースの接続・片付けや汚水の処理など、力仕事も多いのが特徴です。また、トラックの点検・清掃・メンテナンスも運転手の重要な仕事の一つです。
取り扱う汚水は臭気が強く不衛生なので、慣れと体力、忍耐力が必要とされる大変な仕事ですが、し尿処理施設の維持管理など、環境衛生に貢献する重要な役割を担っているのです。

バキュームカーの仕事がきついと言われる理由3選

不規則な勤務体系と長時間労働がつらい

バキュームカーの仕事は、緊急の依頼やトラブル対応も多く、夜間・休日出勤も珍しくありません。現場での待ち時間や渋滞などで、1日の労働時間が予定外に長くなることも度々あります。休憩時間が不規則になるため、十分な睡眠や休息が取れないのもきついポイントです。
ドライバーの多くは、不規則な生活リズムによる心身の疲労を訴えています。規則正しい勤務体系の確立が課題だと言えるでしょう。

し尿の臭いや汚れとの戦いが想像以上にキツイ

し尿や浄化槽汚泥を扱う以上、強烈な悪臭は避けられません。真夏の車内で濃厚な臭いに耐え続けるのは、なかなか気が滅入る作業。汚水がこぼれたり飛び散ったりすることも日常茶飯事で、手や服が臭くなるのは覚悟が必要です。
清掃・消毒を欠かさず行うことで、車内をできる限り清潔に保つ努力が欠かせません。それでも、においが完全に取れるわけではなく、ストレスを感じるドライバーは少なくないようです。

一人で行う重労働と責任の重さにストレスを感じる

バキュームカーの運転手は、ホースの接続・移動・片付けなど、一人で行う重労働が多いのが特徴です。狭い道の運転、ぬかるみや悪路の走行、雨の中の作業など、肉体的に過酷な環境も珍しくありません。
また、お客様への細やかな対応、トラブル発生時の適切な判断など、メンタル面でのストレスも大きな負担となります。汚水漏れなどの事故が起これば責任問題にも発展しかねないプレッシャーも、運転手を日々苦しめています。
体力だけでなく、強いメンタリティーが求められる仕事だと言えるでしょう。

そんなバキュームカーの仕事にも3つのメリットがある！

高い給与水準と安定した需要

バキュームカーの運転手は、一般の運送業などに比べ、高めの給料・賞与をもらえるケースが多いようです。し尿処理は公共インフラとして欠かせないサービスであり、需要が安定しているため、雇用も比較的安定しています。
ベテランの運転手になれば、年収600万以上も夢ではありません。きつい分、それなりの報酬を得られるのは、この仕事の大きなメリットだと言えるでしょう。

大型免許が活かせてキャリアアップのチャンスも

せっかく頑張って取得した大型免許を、存分に活かせるのがバキュームカーの運転手です。大型車の運転スキルを磨きながら、し尿収集の経験やノウハウも積んでいけば、収集運搬業の管理職などへのキャリアアップも十分可能です。
ゆくゆくは独立して、自分で会社を興すことも夢ではありません。その独特のキャリアパスの広がりも、バキュームカーの仕事の大きな魅力と言えるでしょう。

環境衛生を守る社会貢献度の高い仕事

バキュームカーの運転手は、し尿や汚泥を適切に処理することで、社会の環境衛生を支える重要な役割を担っています。トイレの汚物を定期的に吸引・運搬し、衛生的に処理することは、公衆衛生の向上に直結するなくてはならない仕事です。
バキュームカーがなければ、し尿があふれ、悪臭や感染症のリスクが高まることでしょう。人々が安心して暮らせる生活環境を維持するのに、バキュームカーの存在は欠かせません。
そうした社会的意義を理解し、誇りを持って仕事に取り組めるのは、この職業の大きなやりがいだと言えます。きつさとは裏腹に、社会貢献度の高さを実感できる、価値あるお仕事なのです。

バキュームカーの仕事の平均年収は？

全国平均年収は450~500万程度

バキュームカー運転手の全国平均年収は、正社員で450〜500万円程度と言われています。経験年数によって400万〜600万円程度の幅がありますが、都市部の方がやや年収は高い傾向にあります。
主要都市の平均年収は以下の通りです。

• 東京：500万〜550万円
• 大阪：450万〜500万円
• 名古屋：450万〜500万円
• 福岡：400万〜450万円

※年収の算出はindeedの求人から自社調べにて算出しております。

経験年数に応じて給与も増額

バキュームカーの運転手は、経験を積むほど年収アップが見込めます。
未経験〜3年目は350万〜400万円程度ですが、4年目〜10年目になると400万〜500万円が一般的な水準。ベテランともなれば、500万〜650万円といった年収を得られるケースも珍しくありません。
ただし、これらはあくまで平均的な数字であり、地域差や会社規模、個人の働きぶりによって、年収には大きな差が出ることも覚えておきましょう。スキルアップとともに、より条件の良い職場を見つけることも、年収アップの重要な要素だと言えます。

下記の記事でも詳しく解説しているので、参考にしてみてください。

2024年6月20日 バキュームカー運転手の給料や年収はいくら？必要な資格やメリットも解説！

バキュームカーの仕事のきつさを乗り越える3つのコツ

１．チームワークを大切にし、仲間とのコミュニケーションを図る

バキュームカーの運転手は、孤独な仕事と思われがちですが、実はチームワークがとても大切です。苦しいときほど、同僚と支え合うことが重要。先輩の経験談に学び、アドバイスをもらうことで、困難な状況を乗り越えるためのヒントが得られるはずです。
同僚同士、みんなで助け合い、カバーし合う意識を持つことが、きつさを乗り越えるための大きな力になります。普段から、コミュニケーションを大切にし、風通しの良い人間関係を築いておくことが欠かせません。

２．スキルアップを怠らず、自信とプライドを持つ

バキュームカーの運転手としての力量を高めることも、仕事のきつさを和らげるための有効な方法です。運転技術や作業効率を日々コツコツと上げ、トラブル対処やお客様対応のスキルを磨いていけば、仕事に対する自信がつくはず。
プロとしての意識を忘れず、自分の仕事に誇りを持つことも大切です。社会に必要とされている自分の存在価値を再認識し、やりがいを感じることで、辛さも乗り越えられるでしょう。前向きなマインドを保つよう心がけましょう。

３．オフの時間をうまく活用し、メリハリをつける

休日は思い切り羽を伸ばし、しっかり休養をとって心身をリフレッシュさせることが何より重要。趣味や運動で気分転換を図り、家族との団らんを大切にするなど、精神的な支えとなるものを持つことをおすすめします。
ただし、無理のない範囲でプライベートを充実させ、仕事とのバランスをとることが大切。オフの時間を有効活用し、オンとオフのメリハリをしっかりつけることで、きつい仕事のストレスとも上手に付き合っていけるはずです。

こんな人がバキュームカーの仕事に向いている！

体力に自信があり、アクティブに働ける人

バキュームカーの運転手には、屈強な体力と忍耐力が求められます。汚れ仕事も厭わず、機敏に動ける行動力も大切。重いホースを引きずって移動したり、不安定な足場で作業したりと、肉体的にハードな場面が多いため、体力に自信のある人に向いている仕事だと言えるでしょう。
また、夜間や緊急時の出動もあるため、アクティブに働く気概のある人は、バキュームカーの世界で活躍できるはずです。

チームワーク重視で仲間と協調できる人

バキュームカーの運転手は、単独行動が多い仕事ですが、会社全体としてはチームプレーが欠かせません。上下関係をわきまえ、先輩の話を素直に聞ける謙虚な姿勢が大切。同僚とも支え合い、フォロー＆フォローできる協調性が求められます。
現場や車庫での雰囲気を大切にし、気配りと思いやりを持って、チームに溶け込める人なら、きっとバキュームカーの仕事を楽しめるはず。人間関係を円滑にする社交性も、重要な適性だと言えます。

正確さと安全運転を心がけられる人

バキュームカーの仕事は、手順や段取りを守り、ミスのない確実な作業が求められます。決められた順序で、丁寧に仕事をこなす正確性と几帳面さが欠かせません。
同時に、狭い路地裏での運転など高度な運転技術も必要となるため、交通ルールを順守し、安全第一の姿勢で運転できる冷静さも大切。お客様の敷地内でも、マナーよく作業を遂行できる心遣いのある人なら、バキュームカーの運転手として認められるでしょう。

バキュームカーの仕事をするための条件・必要な資格は？

大型自動車第一種免許の取得が必須

バキュームカーは、大型トラックに分類されるため、運転には大型自動車第一種免許の取得が必須条件となります。普通自動車免許では、バキュームカーを運転することはできません。
大型免許の取得には、教習所の費用や仮免許期間中の生活費など、一定のコストと時間がかかるのが難しい点。しかし、バキュームカーの運転手を目指すなら、避けては通れない関門だと覚悟しましょう。

下記の記事でも詳しく解説しているので、参考にしてみてください。

2024年6月19日 大型免許取得が難しい5つの理由｜実際の取得条件・合格率・費用を解説

その他オススメの資格（危険物取扱者、フォークリフト等）

バキュームカーの運転に必須ではありませんが、あると望ましい資格もいくつかあります。
例えば、浄化槽内に危険物が含まれている可能性があるため、危険物取扱者免許を取っておくと安心。処理施設内でフォークリフトを使う場合に備えてフォークリフト運転技能者資格を、吊り上げ作業が必要なら玉掛け技能者資格を取得しておくのもおすすめです。
下水道の知識があると仕事の幅が広がるので、下水道技術検定の資格を目指すのも良いでしょう。必須ではありませんが、これらの資格を取ることで、バキュームカーの仕事の選択肢が広がるはずです。

経験不問も！未経験から働き始める方法

バキュームカー業界は、経験者が不足しているため、未経験でも大型免許を取得済みなら歓迎される傾向にあります。大型免許取得を支援してくれる会社もあるので、まずは大型免許の取得を目指すのが近道と言えます。
免許取得期間中は、アルバイトなどで生活費を稼ぎながら、計画的に教習所に通うのが賢明でしょう。
また、経験よりもやる気とガッツを重視する会社もあるので、未経験でもバキュームカーの仕事に就ける可能性は十分にあります。運転への自信と、汚れ仕事を厭わない強い意欲をアピールすれば、チャンスをつかめるはず。
まずは、大型免許の取得を最低条件として、資格取得とバキュームカー業界研究の両面から、着実に準備を進めていくことが肝要です。

バキュームカー運転手としてキャリアアップする道

勤続年数を重ねて収入アップを狙う

バキュームカー運転手のキャリアアップで王道なのは、同じ会社で着実に勤続年数を重ね、昇給・昇格を目指す方法です。安定企業であれば、長く勤められるほど待遇面でもメリットを享受できるはず。
また、ベテランの運転手の経験と知恵は、会社にとって大きな財産。それを認められれば、重要なポストを任されるチャンスも巡ってくるでしょう。一つの会社に腰を据えてキャリアを積み重ねるのは、堅実で安定したキャリアアッププランだと言えます。

各種資格を取得し市場価値を高める

危険物取扱者免許やフォークリフト運転技能者など、バキュームカー業務に関連する資格を取得するのも、キャリアアップの有力な方法の一つ。会社によっては、新しい装置の操作資格の取得費用を負担してくれる場合もあります。
資格を着実に取得することで、自分の市場価値を高めていけば、他社からもお誘いがかかるようになるかもしれません。自分に合った職場環境を求めて転職するのも、立派なキャリアアップの選択肢だと言えるでしょう。

管理職や独立・起業への道を目指す

バキュームカーのベテラン運転手なら、現場のリーダー的存在から管理職への道を目指すのも現実的な選択肢。チームをまとめる力を養い、会社の幹部候補となることで、さらなる収入アップとキャリア発展が期待できます。
あるいは、貯金と経験を武器に、独立してバキュームカー業を起業するという夢に向かって一歩を踏み出すのも、アリかもしれません。大型免許保持者としての起業なら、周囲の協力も得やすいでしょう。
バキュームカー運転手としてのキャリアをどう伸ばすかは、本人の意欲とビジョン次第。地道な積み重ねか、思い切った飛躍か。自分なりのキャリアプランを描いて、前に進んでいきましょう。

まとめ：バキュームカーの仕事は大変でもやりがいのある仕事

きつさを乗り越えるコツを実践し理想のキャリアを築こう

バキュームカーの仕事のきつさは、本記事で紹介してきた通り。厳しい労働環境や不規則な勤務体系、強烈な臭気など、精神的にも肉体的にもタフさが求められる職業だと言えます。
しかし、そんな大変な仕事だからこそ、自分を成長させるチャンスとも言えるのです。きつさを乗り越えるコツを一つ一つ実践し、前向きに取り組んでいけば、必ずや自分の理想とするキャリアを築いていけるはず。
プロ意識を忘れず、運転技術から人間性に至るまで、常に自己研鑽を怠らないことが肝要です。周囲の人たちと支え合いながら、一歩ずつ着実にスキルアップしていきましょう。

やる気と適性があればチャレンジしてみる価値あり

確かにバキュームカーの運転手は、誰にでもおすすめできる仕事ではありません。体力的にも精神的にもかなりの適性が問われます。
しかし、「汚れ仕事も厭わない」「人の役に立ちたい」といった志を持ち、真摯にバキュームカーの仕事に向き合うやる気のある人なら、ぜひチャレンジしてみる価値は大いにあると思います。
社会から必要とされる存在であり続けることが、何よりの仕事への誇りとモチベーションになるはず。大変ではあるけれど、その分やりがいも大きいのがバキュームカーの運転手という職業なのです。
本記事を読んで、バキュームカーの仕事に興味を持った人は、ぜひ前向きに一歩を踏み出してみてください。きっとあなたの人生を変える、意義深い挑戦になると信じています。