トラックのサイドミラーが破損したら？正しい修理方法と事故防止のプロ知識

トラックのサイドミラーは、運転席からは直接見えない側方や後方の安全確認に欠かせない重要なパーツです。しかし、幅寄せや接触事故などで破損することも少なくありません。万が一サイドミラーが壊れてしまった時、プロドライバーとしてどう対応すべきでしょうか？法律面のリスクや、適切な修理方法、さらには破損を未然に防ぐコツまで、本記事で詳しく解説します。

トラックのサイドミラー破損は重大事故のもと

トラックのサイドミラーの役割と法律上の位置づけ

トラックのサイドミラーは、運転席から直接確認できない側方や後方の安全確認に欠かせない重要なパーツです。特に車線変更時や幅寄せ時には、サイドミラーでの確認が必須と言えるでしょう。また、歩行者や自転車の発見にも大きく役立ちます。

そんな重要性の高いサイドミラーですが、実は法律で装着が義務付けられているのをご存知ですか？道路運送車両法の保安基準において、サイドミラーの装着は義務事項として定められています。従って、サイドミラー非装着のトラックは、整備不良として道路交通法違反に問われる可能性があるのです。

破損したまま走行することの危険性

前述の通り、サイドミラーは側方・後方の視界確保に不可欠の存在です。従って、サイドミラーが破損したままの状態で走行することは、非常に危険と言わざるを得ません。

サイドミラー破損によって視界が制限されると、接触事故のリスクが格段に高まります。車線変更時のバイクや自転車の巻き込み事故や、幅寄せ時の車両接触などの恐れがあるのです。また歩行者の発見が遅れることで、重大なひき逃げ事故を起こしかねません。

さらにサイドミラーの破片が飛散することで、後続車の事故を誘発する二次事故の危険性もあります。

こうしたリスクを踏まえれば、サイドミラー破損を放置せず、早急に修理することがいかに大切かがお分かりいただけるはずです。

トラックのサイドミラー破損時の正しい修理方法

トラックのサイドミラーが破損した場合の修理方法を紹介します。

破損の程度を適切に見極める

サイドミラーの破損に気付いたら、まずはその程度を正しく見極めることが重要です。
ミラー本体に割れや欠けがある場合は交換が必須となります。一方ミラーの脱落であれば、取り付け部分の修理で済む場合もあります。ミラーを支えるステーの破損は、ステーの交換が必要になるでしょう。破損の度合いをしっかりチェックし、適切な修理方法を判断していきましょう。

自分で直すか業者に依頼するかを判断する

破損の程度が軽微な場合、強力接着剤などを使った応急処置で対応できることもあります。しかしミラーの脱落や大きな破損の場合は、素人判断でDIYするのは避けた方が賢明です。特に電動ミラーの故障は複雑なため、業者に依頼するのがベターな選択と言えるでしょう。

業者選びの際は、新品の純正パーツを使ってくれる業者を選ぶのがおすすめです。中古パーツの使用や安易な補修は、修理の質を下げかねません。業者の実績や口コミをチェックし、信頼できる修理店を選ぶことが肝心です。

修理費用の相場と時間

サイドミラー交換の費用相場は、およそ5万円から10万円程度です。ただし破損の程度や車種によって多少の差があります。また純正品を使うか社外品を使うかでも、費用は前後します。
保険を使った修理も可能ですが、等級ダウンによる保険料アップも考慮に入れて判断する必要があります。

修理にかかる期間は、パーツの在庫状況で変わってきます。在庫パーツがあれば即日〜数日での修理完了も可能ですが、取り寄せが必要な場合は1週間以上かかることも珍しくありません。

事故の際の保険適用と示談交渉

サイドミラー破損が事故による場合、保険の適用が可能です。自損事故の場合は車両保険を、相手側に過失がある場合は相手の対人賠償保険を使うことになります。

ただし前述の通り、保険を使えば翌年の等級ダウンは避けられません。等級ダウンによる保険料アップを避けたい場合は、実費での修理も選択肢に入れるべきでしょう。

過失割合によっては、示談交渉が必要になるケースもあります。示談交渉の際は、相手の言い分に納得できない場合は弁護士に相談するなど、冷静かつ慎重に対応することが肝要です。安易に妥協せず、正当な権利は主張していくことが大切です。

当て逃げされてトラックのサイドミラーが破損した場合の対応

当て逃げは卑劣な行為であり、被害に遭った側は怒りを感じるのが当然です。しかし事故直後は、興奮を抑えて冷静な対応を心がけることが肝要です。

警察への連絡と並行して、保険会社にも一刻も早く連絡を入れることが大切です。事故日時や場所、状況などを詳しく伝え、サイドミラーの修理見積書を保険会社に提出します。その後は保険金請求に必要な書類を整えて、速やかに手続きを進めていきましょう。

当て逃げのケースでは、加害者の特定が重要な課題となります。ドラレコ映像からナンバーが判明すれば、特定される可能性が高まります。目撃情報から車種や色などの特徴をつかむことも、捜査の助けになるはずです。

ただし個人での犯人特定は困難を伴うため、基本的には警察の捜査に委ねるのが賢明と言えるでしょう。警察の捜査によって犯人が特定されれば、示談交渉が可能になります。示談交渉は保険会社に委託するのが一般的ですが、慰謝料などの請求も視野に入れて臨むことが大切です。

もちろん、過失割合を踏まえて冷静に交渉を進めることが肝要。法外な要求はかえって交渉を難航させる恐れがあるため、注意が必要です。

事故後は、サイドミラー以外の箇所も含めて車全体の点検・修理を怠らないようにしましょう。目に見えない損傷がないか専門家にチェックしてもらい、万全の状態に復旧させることが大切です。

そして定期点検を欠かさず、再発防止に努めることが肝心。事故は誰にでも起こり得るものですが、日頃の備えと適切な対応が被害を最小限に抑える鍵となるのです。

トラックのサイドミラーが破損した状態で走行すると違反になる？

トラックのサイドミラーが破損したまま走行を続けることは、実は重大な違反行為となる可能性があります。道路運送車両法に違反し、整備不良車両として道路交通法違反に問われるリスクがあるのです。

サイドミラー破損車両の使用者は、様々な罰則の対象となり得ます。例えば改善命令や整備命令に従わなければ、50万円以下の罰金が科される可能性があります。また指定整備事業者への指示に違反すれば、30万円以下の罰金を課されることになります。

さらにサイドミラー破損車両を運転した者には、3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金が科される場合もあるのです。ただし違反点数が付くことはありません。

こうした罰則が設けられているのは、サイドミラー破損の放置が重大な事故リスクにつながるからに他なりません。サイドミラーは側方や後方の確認に欠かせない装置であり、その破損は死角を生み出します。その結果、車線変更時の接触事故や歩行者・自転車の発見遅れによる事故の危険性が格段に高まるのです。

加えて破損したサイドミラーから破片が飛散することで、二次的な事故を引き起こす恐れもあります。

こうした危険性から、サイドミラーは自動車の安全運転に必要不可欠な装置として位置づけられています。脱落やガラス割れ、ステーの緩み、ミラー位置の不良など、その破損は即座に整備不良と判断されるのです。

にもかかわらず、修理費用を惜しんで破損を放置したり、自分で直せると思い込んで不適切な修理を行ったりするケースが後を絶ちません。こうしたドライバーの中には、サイドミラー破損の重大性を十分に理解していない者も少なくないと言えるでしょう。

しかし、サイドミラー破損の放置が重大な違反行為であり、事故のリスクを著しく高めることは紛れもない事実です。プロドライバーとして、サイドミラーの適切な管理・修理は決して疎かにできない責務だと言えるでしょう。

トラックのサイドミラー破損を未然に防ぐプロのコツ3選

ここではサイドミラー破損を防ぐコツをご紹介します。

1.狭路での安全確認と徐行

サイドミラー破損の危険が特に高まるのが、狭い道や路地での走行時です。幅寄せの際は、ミラーだけに頼ることなく必ず目視での安全確認を行いましょう。

狭路では徐行運転が大切です。スピードを落とすことで、不測の事態にも冷静に対応できるようになります。周囲の状況変化により注意を払うことができるため、ミラー破損の回避にもつながるでしょう。

2.定期的な点検と早期補修

日常点検では、必ずサイドミラーの状態をチェックしましょう。小さな傷やヒビであっても、放置すればいずれ大きな破損につながります。早めの補修を習慣づけることが、事故予防の鍵となります。

また年1回の車検時には、サイドミラーの入念な点検を整備士に依頼しましょう。プロの目で見れば、自分では気づきにくい異変も発見できるはずです。定期的な点検と早期の補修が、安全運転の基本中の基本だと心得ておくことが大切です。

3.運転姿勢の改善でミラーの死角を減らす

サイドミラーに死角ができる一因は、運転姿勢の悪さです。シートポジションを最適化し、視界を十分に確保することが重要です。その上でミラー角度の微調整を行えば、死角をさらに減らすことができるでしょう。

最近の車両では、サイドモニターを装備するものも増えてきました。死角の多い大型車では、そうしたカメラ機能の活用も検討に値します。姿勢改善とテクノロジーの適切な利用で、安全運転の実現を目指していきたいものです。

まとめ

トラックのサイドミラー破損は、放置すれば重大な事故につながりかねない危険な状態です。道路交通法違反としての罰則も科される可能性があり、決して軽視できない問題と言えます。

プロのドライバーとして、日頃からサイドミラーの点検や適切な使い方を心がけることが何より大切です。万が一破損してしまった際も、適切な修理で速やかに安全運転の体制を整えましょう。

この記事が、トラックドライバーの皆様の安全運転に少しでもお役に立てれば幸いです。