テールゲートリフターとは？基本知識から特別教育義務化まで一挙解説！

テールゲートリフターは、トラックの荷役作業を効率化し、安全性を高める重要な装置です。2023年の労働安全衛生規則の改正により、テールゲートリフターの操作に係る特別教育が義務化されました。本記事では、テールゲートリフターの基本知識から特別教育の内容、導入効果まで詳しく解説します。

テールゲートリフターとは？基本知識を徹底解説

テールゲートリフターの構造と3つの種類

テールゲートリフターは、トラックの荷台後部に装着された荷物の積み降ろしを行うための昇降装置です。パワーゲートとも呼ばれますが、これは極東開発工業株式会社の登録商標であり、一般的にはテールゲートリフターという名称が用いられています。

テールゲートリフターには、大きく分けて垂直昇降式、スライド式、フック式の3つの種類があります。垂直昇降式は、リフター部分が垂直に上下する構造で、最もシンプルなタイプです。スライド式は、リフターがスライドレールに沿って水平方向に出し入れできるため、狭い場所での荷役に適しています。フック式は、リフターにフックを備えており、パレットなどを直接吊り上げることが可能です。

用途や車両の特性に合わせて最適なタイプを選択することが重要ですが、いずれの種類も油圧シリンダーやチェーンによって駆動し、スイッチ操作で容易に昇降できるようになっています。

テールゲートリフターの適切な使用方法

テールゲートリフターを使用する際は、リフター上に荷物を均等に載せ、確実に固定することが大切です。偏荷重がかかると、リフターが傾いたり、最悪の場合転倒したりする恐れがあります。また、リフターの最大積載量を超えないよう注意が必要です。

昇降時は、リフター上やその周辺に人がいないことを確認してから操作を行います。荷物とともにリフターに乗ることは絶対に避けてください。巻き込まれや転落などの重大な事故につながります。

操作は、決められた手順に従って慎重に行います。急発進・急停止は控え、ゆっくりと昇降させます。リフターが所定の位置に到達したら、必ずストッパーをかけて固定します。

テールゲートリフターの点検と整備のポイント

テールゲートリフターを安全に使用し、トラブルを未然に防ぐためには、日常点検と定期的な整備が欠かせません。

使用前には、必ず目視で各部品の損傷や変形がないかチェックします。油圧ホースに亀裂やひび割れがないか、油圧シリンダーから油漏れしていないかなども確認します。コントロールボックスやスイッチの作動を試し、異常がある場合は直ちに使用を中止して修理を依頼しましょう。

定期的な整備では、給脂が重要なポイントです。リフターのピン、シャフト、スライドレールなどの可動部には、適切な潤滑剤を塗布し、スムーズな動きを維持する必要があります。油圧装置については、オイル量や汚れをチェックし、必要に応じて交換します。

テールゲートリフターは、安全性と効率性を高める重要な装置です。適切な使用方法と日常のメンテナンスを心がけることで、その性能を十分に発揮できるでしょう。

テールゲートリフター特別教育が義務化！その背景と内容とは

荷役作業における安全対策の強化を目的

貨物自動車での荷役作業中の墜落・転落災害を防止するため、2023年の労働安全衛生規則の改正により、テールゲートリフターの操作に係る特別教育が義務化されました。この改正は、荷役作業における安全対策の強化を目的としています。

近年、陸上貨物運送事業での労働災害が増加傾向にあり、特に荷役作業時の墜落・転落事故が最も多く発生しています。事故の半数以上は、作業者のヘルメット未着用が要因となっていました。また、テールゲートリフターに関連する災害の多くは、機能や特性を十分に理解せずに不適切な取り扱いをしたことが原因です。

こうした状況を受け、特別教育の義務化によってテールゲートリフターの安全な運用を促し、労働災害の減少を図ることが急務となっています。

特別教育の対象者と企業の責務

テールゲートリフターの特別教育は、荷物の積み卸し作業においてテールゲートリフターを操作する全ての労働者が対象となります。これには、稼働スイッチの操作だけでなく、荷台の展開・格納操作なども含まれます。ただし、荷役作業を伴わない点検等の業務は対象外です。

事業者は、対象となる労働者に特別教育を実施する義務があります。教育を実施せずに作業を行わせた場合、労働安全衛生法違反となり、6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられます。また、教育の記録を作成・保存することも義務づけられており、これを怠ると50万円以下の罰金刑の対象となります。

企業は、法令を順守し、従業員の安全を確保するために、特別教育の確実な実施と記録の管理を徹底することが求められます。

特別教育のカリキュラムは６時間程

テールゲートリフターの特別教育のカリキュラムは、学科3科目と実技1科目で構成されています。総時間数は6時間です。

学科教育では、テールゲートリフターの種類・構造・取扱方法に関する知識（1.5時間）、作業に関する知識（2時間）、関連法令（0.5時間）について学びます。実技教育では、テールゲートリフターの操作方法（2時間）を習得します。

ただし、一定の条件を満たす場合、教育科目の一部を省略できる場合があります。

特別教育の講師は、学科と実技の十分な知識・経験を有する者でなければなりません。各企業は、社内で適切な講師を選任するか、専門の教育機関に委託する必要があります。

テールゲートリフターの特別教育はどこで受けられる？

社内教育で特別教育を実施する方法

テールゲートリフターの特別教育は、事業者の責任において実施しなければなりません。多くの企業では、社内で教育を行う方法を選択しています。

社内教育を行う場合、学科および実技について十分な知識と経験を有する講師を社内から選任する必要があります。講師は、所定のカリキュラムに基づいて教育を実施し、記録を作成・保存する義務を負います。

社内に適切な人材がいない場合は、外部の専門家を招いて教育を実施することも可能です。ただし、その場合も教育内容の管理や記録の保存は事業者の責任で行わなければなりません。

下記記事でも詳しく解説しているので、参考にしてみてください。

2024年6月19日 テールゲートリフター特別教育をする講師には資格が必要？社内での実施方法を解説

外部機関が提供する特別教育の種類

社内で特別教育を実施するための人材や設備が整っていない場合は、外部機関に委託するのが得策です。陸上貨物運送事業労働災害防止協会（陸災防）や中央労働災害防止協会など、専門の教育機関が特別教育を提供しています。

これらの機関では、経験豊富な講師陣によって、体系的なカリキュラムに沿った教育が行われます。実習設備も充実しているため、実践的な操作スキルを習得することができます。

また、一部の大手自動車メーカーや商社でも、販売車両に対応した特別教育を実施しています。これらの教育は、各社の車両の特性に合わせてカスタマイズされているため、より具体的で実践的な内容となっています。

eラーニングを活用した効率的な教育

近年、インターネットを活用したeラーニングによる特別教育も広がりつつあります。eラーニングでは、場所や時間に縛られずに学習を進められるため、従業員のスケジュールに合わせて柔軟に教育を実施できます。

また、eラーニングは移動のための時間や交通費が不要となるため、企業にとってコスト面でのメリットも大きいといえます。加えて、学習の進捗状況や理解度を自動的に記録・管理できるため、教育の効果測定も容易です。

ただし、実技教育については、eラーニングだけでは不十分な場合があります。操作方法の習得には、実機を用いた実践的な訓練が欠かせません。そのため、学科教育をeラーニングで行い、実技教育は集合研修で実施するなど、企業の実情に合わせて最適な方法を選択することをおすすめします。

テールゲートリフター導入で業務が変わる！そのメリットと効果

荷役時間が従来の1/3程度に短縮

テールゲートリフターを導入することで、荷役作業の時間を大幅に短縮できます。これまで人力に頼っていた重量物の積み下ろしから解放されるため、作業効率が飛躍的に向上するのです。

ある物流会社の試算では、テールゲートリフターの使用によって、荷役時間が従来の1/3程度に短縮されたといいます。これは、作業員の労働時間の削減だけでなく、トラックの回転率の向上にもつながります。

つまり、テールゲートリフターは、物流業務全体の生産性を高める重要な鍵となるのです。人件費や燃料費の削減、納期の短縮など、企業の競争力強化に直結する効果が期待できます。

作業者の身体的負担を軽減＆事故リスクの低下

重量物の運搬作業は、作業者の腰部に大きな負担を与えます。無理な姿勢や過度の力の使用は、腰痛などの労働災害につながる危険性が高いのです。

テールゲートリフターを使用することで、こうした人力作業を大幅に減らすことができます。機械の力を借りて安全に荷物を運ぶことで、作業者の身体的負担を軽減し、 労働災害のリスクを大きく下げることが可能となります。

また、不安定な姿勢での運搬に伴う荷崩れや落下のリスクも、テールゲートリフターを使えば防ぐことができます。作業者の安全と荷物の保護を同時に実現できるのです。

安全は何よりも優先されるべき課題です。テールゲートリフターは、労働災害のリスクを低減し、安心して働ける職場環境を実現するための有効な手段といえるでしょう。

コスト削減につながる

テールゲートリフターの導入には、初期投資が必要となります。しかし、長期的に見れば、大きなコスト削減効果が期待できます。

先に述べたように、テールゲートリフターは作業時間の短縮と労働災害の防止に役立ちます。これは、人件費の削減や労災関連コストの抑制につながります。

また、作業の効率化によって生産性が向上すれば、同じ人員でより多くの業務をこなせるようになります。人手不足の解消や採用コストの削減にも一役買うでしょう。

投資対効果を考える上では、こうした直接的なコスト削減効果だけでなく、間接的な効果にも目を向ける必要があります。例えば、安全性の向上は従業員の士気を高め、定着率の改善につながります。また、効率的な配送は顧客満足度の向上に寄与し、 ビジネスチャンスの拡大をもたらします。

まとめ：テールゲートリフターで働き方改革を推進しよう

テールゲートリフターは、物流業界における働き方改革の切り札となる技術です。作業の効率化、安全性の向上、コスト削減など、多面的な効果が期待できます。

特別教育の義務化を契機に、導入を検討する企業が増加しています。労働災害の防止やドライバー不足への対応だけでなく、女性の活躍推進や生産性向上など、経営課題の解決にも寄与するでしょう。

テールゲートリフターを活用することで、物流業界の構造変化に対応し、持続的な成長を実現することができます。安全で効率的な働き方を追求し、従業員と企業の未来を切り拓くために、今こそテールゲートリフターの導入を真剣に検討すべき時といえます。