テールゲートリフター事故の実例と防止策！安全運転のプロが教える正しい知識

トラックの荷役作業に欠かせないテールゲートリフターですが、その事故件数は近年増加傾向にあります。事故防止のためには、適切な操作、安全確認の徹底、教育訓練の充実が不可欠です。本記事では、テールゲートリフター事故の実態と原因を分析し、事故防止策とベテランドライバーの安全運転テクニックをご紹介します。

近年増加するテールゲートリフター事故の傾向

トラックの荷役作業に欠かせないテールゲートリフターですが、その事故件数は近年増加傾向にあります。国土交通省の資料によると、テールゲートリフターに関わる事故は年間100件以上発生しているのが現状です。

事故の多くは、作業者の不注意や不適切な操作に起因するものですが、中には機器の不具合や整備不良が原因となるケースもあります。いずれにしても、一度事故が起これば、作業者の怪我や荷物の破損だけでなく、納品の遅れや信用の失墜など、運送会社にとって大きな損失となります。

そもそもテールゲートリフターについてはこちらの記事で詳しく解説しています。

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事故が起きてしまう主な3つの理由

不適切な操作

テールゲートリフターの事故原因として、まず挙げられるのが不適切な操作です。 無理な姿勢で作業を行うと、バランスを崩して転倒したり、リフターと荷物の間に挟まれたりする危険性が高まります。 また、安全装置を使用しなかったり、適切に使用しなかったりすることで、本来防げたはずの事故が発生してしまいます。 さらに、決められた操作手順を守らずに独自の方法で作業を行うことは、予期せぬトラブルを招く恐れがあります。 これらの不適切な操作は、日頃の業務に慣れるあまり、ついつい省略しがちな行為ですが、一瞬の油断が重大な事故につながることを肝に銘じる必要があります。

安全確認の不足

テールゲートリフターの事故防止には、安全確認を徹底することが欠かせません。 作業前には、必ずリフターの動作確認や各部の点検を行い、異常がないことを確かめる必要があります。点検を怠ると、作業中に突然のトラブルが発生し、対応が遅れる恐れがあります。 また、作業中は、周囲の安全確認を怠ってはいけません。 特に、リフターの昇降時には、周囲に人がいないことを確実に確認してから操作を行うことが重要です。 さらに、複数の作業者が関わる場合は、お互いの合図や連絡を徹底し、意思疎通を図ることが求められます。 安全確認を疎かにすることは、自らの身を守るだけでなく、周囲の人々の安全をも脅かすことを認識しなければなりません。

教育訓練の不足

テールゲートリフターによる事故を防ぐためには、運転者や作業者に対する教育訓練が不可欠です。 操作方法や注意点について十分な理解がないまま作業を行うことは、ミスや事故の原因となります。 運送会社では、全ての関係者に対して、定期的な教育訓練を実施し、安全な作業手順を身につけさせる必要があります。 また、危険予知能力を高めることも重要です。 起こりうる事故を予測し、未然に防ぐ対策を講じられるよう、日頃からの訓練が求められます。 さらに、マニュアルの形骸化にも注意が必要です。 形式的なマニュアルの読み合わせだけでは、実践的な対応力は身につきません。 実際の作業を想定した実践的な訓練を行い、マニュアルの内容を確実に習得させることが大切です。 教育訓練の不足は、事故リスクを高める大きな要因であることを認識し、組織を挙げて取り組むことが求められます。

これらの原因が複合的に絡み合うことで、重大な事故に発展するケースが少なくありません。 特に、長時間の連続作業による集中力の低下や、慣れによる注意力の散漫は大きな事故リスクです。 ただでさえ重労働となる荷役作業だからこそ、一人ひとりが事故防止の意識を高く持ち、安全第一で作業に取り組む姿勢が何より重要と言えるでしょう。

事故防止するための5つの方法

トラックに装備されたテールゲートリフターを含む荷役装置の安全基準は、「労働安全衛生規則」により定められています。さらに、その具体的な作業手順や注意点は「車両系荷役運搬機械等作業指針」としてまとめられており、運送事業者はこれらを遵守する必要があります。作業指針の重要ポイントは以下の通りです。

作業前の安全点検と異常時の作業中止

作業開始前には、必ずテールゲートリフターの安全点検を行うことが重要です。点検項目には、リフターの動作確認、ワイヤーロープやチェーンの摩耗や損傷の有無、油圧ホースの亀裂や漏れの確認などが含まれます。点検の結果、少しでも異常が見つかった場合は、直ちに作業を中止し、整備担当者による修理や部品交換を行う必要があります。安全点検を怠ると、作業中の予期せぬ事故につながる恐れがあるため、徹底が求められます。

運転者に操作訓練の実施

テールゲートリフターの操作には、一定の知識と技能が必要とされます。運送会社は、全ての運転者に対して、適切な操作訓練を実施する義務があります。訓練内容には、リフターの昇降操作、荷物の積み降ろし方法、非常時の対応手順などが含まれます。訓練は、実機を用いた実践的なものであることが望ましく、運転者が安全な操作を身につけられるよう、十分な時間をかける必要があります。定期的な再訓練も重要で、運転者の技術の維持・向上を図ることが求められます。

下記の記事でも詳しく解説しているので、参考にしてみてください。

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作業区域への立入禁止措置

テールゲートリフターの荷役作業中は、作業区域内への関係者以外の立ち入りを厳格に制限する必要があります。作業区域には、リフター稼働範囲だけでなく、荷物の積み降ろしスペースも含まれます。立ち入り禁止措置には、作業区域の明示（カラーコーンや注意喚起テープの設置など）、関係者以外の立ち入り防止（ガードマンの配置や囲いの設置など）、作業者との連携（合図や声かけの徹底など）などが考えられます。これらの措置を講じることで、作業者以外の巻き込まれ事故を防ぐことができます。

安全装置や安全表示の設置

テールゲートリフターには、各種の安全装置や安全表示を設置し、事故リスクの低減を図ることが重要です。安全装置の例としては、リフター昇降口の手すりや安全チェーン、荷台端部のセンサーや緊急停止ボタンなどが挙げられます。これらの装置は、作業者の転落防止や、挟まれ・巻き込まれ防止に役立ちます。一方、安全表示には、作業手順や注意事項を明示したポスターや掲示板、視認性の高い警告ラベルやステッカーなどがあります。運転者や作業者に対する注意喚起を行い、ヒューマンエラーに起因する事故の防止につなげることができます。

定期的な点検と整備の重要性

テールゲートリフターは連日頻繁に使用されるため、部品の劣化や摩耗が早く進行します。定期的な点検と整備を怠ると、重大な事故につながる恐れがあります。ワイヤーロープの劣化や断線、油圧ホースの亀裂や損傷、連結ピンのゆるみや抜け落ち、安全バーやセンサー類の動作不良などに注意が必要です。運転者による始業前点検と、整備担当者による定期点検を確実に実施し、異常個所の早期発見と迅速な修理・交換により、事故の芽を摘んでいくことが肝要です。両者の連携が、テールゲートリフターの安全性維持の鍵となります。

まとめ

正しい乗降方法と荷役時の注意点

ベテランドライバーの安全運転テクニックの中で、特に重要なのが正しい乗降方法と荷役時の注意点です。

トラックの乗降時は、必ず三点支持を守ることが鉄則です。両手両足もしくは両手片足の3点を常に掴まり台に接触させながら、ゆっくりと乗降します。 また、濡れたり油で汚れたりしている踏み台では、滑りやすいので細心の注意が必要です。

荷役作業では、テールゲートリフターの操作前に、必ず周囲の安全を確認します。 作業区域内に人がいないこと、荷物の落下リスクがないことを目視とコミュニケーションで確実にチェックしてから、ゆっくりと操作を開始します。 リフターの昇降は、急発進・急停止を避け、ゆっくりとしたスピードを心がけることが肝心です。

荷物の積み降ろしは、重心バランスを考えながら、丁寧に行います。 無理な姿勢で扱ったり、乱暴に投げ出したりすることは厳禁です。 一つ一つの荷物を大切に扱う。それが、安全な荷役作業の基本なのです。

危険予知と事故回避のためのコツ

トラックの運転は、常に危険と隣り合わせです。 事故を未然に防ぐには、「危険予知」の習慣が欠かせません。

ベテランドライバーは、運転中常に前方に注意を払い、車間距離を十分に取ります。 歩行者や自転車の飛び出し、信号無視車両など、想定外の事態にも即座に対応できるよう、余裕を持った運転を心がけているのです。

カーブの手前では必ず速度を落とし、ふくらまないようハンドル操作を丁寧に行います。 急ハンドルは横転の危険があるため、できる限り避けるのがベテランの技です。

危険予知トレーニングを習慣化し、「もしも」の事態を頭の中でシミュレーションしておくことも大切です。 また、ヒヤリハットした経験を記録し、自分の運転を客観的に振り返ることで、弱点を克服していきます。

仲間ドライバーとの情報交換も、安全運転の強い味方です。 ヒヤリハット事例を共有し、安全運転のノウハウを学び合うことで、事故回避力を高めていくことができるのです。

仲間との情報共有とキャリア構築のススメ

プロドライバーにとって、仲間との情報共有は、安全運転のためだけではありません。 キャリア構築という面でも、重要な意味を持っています。

ベテランドライバーは、日頃から運転手仲間と積極的に交流を図ります。 休憩時間などを利用して、仕事の悩みを相談したり、お互いの経験を語り合ったりすることで、様々なノウハウを吸収していきます。

輸送業界の最新動向や、労務管理に関する知識なども、仲間との情報交換で得ることができます。 自分の権利を守るためにも、運送業界の動きをキャッチアップし続けることが大切なのです。

さらに、セミナーや研修会などにも積極的に参加し、スキルアップを図ることが、プロドライバーとしてのキャリア構築には欠かせません。 新しい知識や技術を身につけることで、より安全で効率的な輸送サービスを提供できるようになります。

プロドライバーの仕事は、常に学び続けることが求められます。 仲間とともに切磋琢磨し、知識と経験を積み重ねていく。 それが、一人前のプロドライバーへの道なのです。