【プロ直伝】トラックの仮眠室の種類と快適な過ごし方をプロが伝授！

トラックドライバーにとって、仮眠室は疲労回復と安全運転に欠かせない大切な空間です。でも、その実態を知らない人も多いのではないでしょうか。この記事では、トラックの仮眠室の種類や特徴、メーカー別の設計の違いなどを図解入りでわかりやすく解説します。また、快適に過ごすためのコツやグッズ選びのポイントも併せてお伝えします。トラックドライバーはもちろん、トラック輸送を利用する荷主の方にも役立つ情報が満載です。

トラックの仮眠室ってどんな感じ？種類と場所を解説

キャブ後部にあるベッドスペース

トラックの仮眠室、別名ベッドスペースは、一般的にキャブ（運転席）の後方に設置されています。トラックのキャブには大きく分けて、後部に広いスペースを備えた「フルキャブ」と、積載スペースを優先して後部を狭くした「ショートキャブ」の2種類があります。

フルキャブの場合、キャブ後部のデッドスペースを有効活用して、ベッドを設置します。運転席や助手席のすぐ後ろに床から天井までの仕切りがあり、その奥がベッドスペースとなっているわけです。一方、ショートキャブではキャブ後部のスペースが限られるため、キャビンの中だけでは十分な広さの仮眠室を設けることが難しくなります。

ルーフ上に設けられた2階ベッド

ショートキャブでも快適な仮眠を取れるよう、トラックメーカー各社は知恵を絞ってきました。そこで生み出されたアイデアが、キャブの上、つまりルーフ上にベッドスペースを設ける方法です。もともとルーフは、トラックの空気抵抗を軽減するために開発された部品でした。それを発展させ、ルーフ内部に大人が横になれるスペースを設計したのです。運転席からルーフ上のベッドに上がるには、キャビン内に設置された梯子を使います。まるで2階建ての家のような構造で、下階が運転スペース、上階が寝室といった具合です。

大手メーカーの仮眠室レイアウト比較

国内の大手トラックメーカーである日野自動車、いすゞ自動車、三菱ふそうトラック・バスの3社とも、ルーフ上にベッドを設ける車種をラインナップしています。各社ともに、ルーフの断熱性や軽量化、強度アップなどに力を入れており、居住性と走行性能の両立を目指しています。キャブの居住スペースを広げる工夫も、各社独自に進められています。例えば、いすゞ自動車の「ギガ」シリーズでは、ベッドスペースを拡張するために助手席を跳ね上げ式にするなどの案が採用されました。日野自動車の「プロフィア」シリーズでは、フロントパネルにあった各種スイッチ類をドア側に集約し、運転席から仮眠室への移動をスムーズにしています。

このように、トラックの仮眠室は車種によって形状や位置が異なります。しかし、メーカー各社は共通して、ドライバーの疲労を少しでも和らげ、安全運転に役立てようと設計に力を注いでいるのです。

仮眠を快適に！おすすめのグッズと使い方

こちらの記事でおすすめの布団や照明など、仮眠を快適に過ごすために重要な内容を記載してます。

2024年6月19日 トラックドライバーに朗報！快眠を叶える布団セット・グッズのおすすめ10選

各車種のメリット・デメリット比較

フルキャブ

メリット

キャブ後部に十分なスペースがあるため、ゆったりとした仮眠室を設けられます。運転席の背もたれを倒して休憩を取ることもできるので、長距離運転時の疲労軽減に役立ちます。

キャブ内に広い空間があるぶん、荷物の収納場所にも困りません。私物や装備品、予備の消耗品などを十分に積載できるので、長期間のドライブにも対応しやすくなります。

助手席だけでなく、後部座席を設置することで、同乗者を乗せての移動が可能です。チームドライバーで交代運転する際などに便利です。

デメリット

キャブ部分が大型化する分、車両価格は総じて高くなります。イニシャルコストだけでなく、燃費の面でもショートキャブより不利になりがちです。

居住スペースを優先する分、荷台のスペースが制限されます。同じ車両サイズのショートキャブと比べると、積載量が少なくなってしまいます。

ショートキャブ

メリット

キャブ部分をコンパクトにした分、荷台を広く取ることができます。同じ車両サイズのフルキャブと比べると、より多くの荷物を積載できるようになります。

キャブが小さい分、車両価格はフルキャブより安くなる傾向にあります。燃費面でも有利になるケースが多いです。

全長が短くなることで、小回りが効くようになります。狭い道での運転や、バックでの駐車がしやすくなるのは大きなメリットと言えます。

デメリット

キャブ内のスペースが限られるため、十分な広さの仮眠室を設けることが難しくなります。ロングホイールベースのショートキャブなら多少は改善されますが、それでもフルキャブには及びません

運転席の背もたれを倒して休憩を取ることが難しいため、長時間の運転で疲労がたまりやすくなります。仮眠時はルーフ上のベッドを使用することになるので、就寝時の導線が複雑になるのもデメリットです。

ルーフタイプのショートキャブ

メリット

ショートキャブを採用することで、フルキャブよりも大きな荷台スペースを確保できます。これにより、多くの貨物を積載することが可能になります。

ルーフ上にベッドスペースを設けることで、キャブ内だけでは実現できない広さの仮眠室を実現しています。これにより、ドライバーの疲労回復がしやすくなり、長距離運転に適しています。

フルキャブよりも安価で、かつ十分な居住性を備えているため、コストパフォーマンスに優れていると言えます。積載量と居住性のバランスを取りたい運送会社にとって、魅力的な選択肢となります。

デメリット

ベッドスペースへの移動には、キャブ内のハシゴを使う必要があります。これは、フルキャブのように直接横になれるベッドとは異なり、若干の手間がかかります。特に疲れている時や、緊急時の脱出などには不便さを感じるかもしれません。

ルーフ上にスペースを設けている分、車高が高くなります。これにより、高速走行時の安定性への影響や、強風時の風圧の受けやすさなどが懸念されます。また、トンネルや高架下の通過にも注意が必要です。

ルーフ上のベッドスペースは、キャブ内と隔離されているため、エアコンの効きが悪くなる傾向にあります。夏場の暑さ対策や、冬場の防寒対策に十分な配慮が求められます。

フルキャブの仮眠室と比べると、ルーフ上のベッドスペースは圧迫感を感じることがあります。天井が低いため、座った状態では窮屈さを感じるかもしれません。

快適な仮眠室で安全運転！疲労回復のコツ

質の高い睡眠を取るために

トラックの仮眠室を整えたら、あとは上手に使いこなすだけです。疲労回復と安全運転のために、質の高い睡眠を取ることを心がけましょう。理想的な仮眠時間は、90分または3時間と言われています。これは、睡眠サイクルを1周（浅い睡眠→深い睡眠→レム睡眠）するのに必要な時間だからです。深い睡眠を十分に取ることで、疲労回復の効果が高まります。ただし、休憩時間の取り方は人それぞれ。自分に合ったリズムを見つけることが大切です。入眠のきっかけづくりも忘れずに。眠る前に、本を読んだり、軽くストレッチしたりして、リラックスする習慣をつけましょう。心と体の緊張がほぐれると、自然と眠気が訪れるはずです。

目覚めスッキリ！ベッドメイクの習慣化

疲労回復には、目覚めの印象も大きな影響を与えます。ぐっすり眠れたのに、目覚めが悪いと疲れが残ったような感覚になりがちです。そこで取り入れたいのが、起床後の軽い運動です。ベッドの上で伸びをしたり、その場で足踏みをしたりするだけでもOK。頭と体に血液を巡らせることで、シャキッとした目覚めにつながります。朝日を浴びるのも効果的です。太陽の光には体内時計をリセットする働きがあるので、カーテンを開けて自然光を部屋に取り込みましょう。目覚めの一杯も、疲労回復に一役買います。コーヒーのカフェインには、脳の働きを活性化させる効果が期待できます。栄養バランスの取れた朝食で、1日のエネルギーを補給するのも忘れずに。

仮眠の合間に効果的なストレッチ

長時間の運転が続くと、どうしても体に疲労がたまっていきます。そんな時は、10〜15分程度の短い仮眠を挟むのがおすすめです。ただし、寝すぎには注意が必要。目覚めの悪さにつながることがあります。仮眠の前後には、軽いストレッチを取り入れましょう。首や肩、腰まわりを中心に、ゆっくりと伸ばします。血行が促進され、凝り固まった筋肉がやわらかくなるので、疲れが取れやすくなります。また、1人で疲労と向き合うのではなく、仲間とコミュニケーションを図るのも大切です。休憩時間には、他のドライバーと雑談を楽しんだり、情報交換をしたりして、気分転換を図りましょう。快適な仮眠室づくりと、賢い使い方の工夫。この2つを意識して実践すれば、トラックドライバーの疲労はぐんと軽減されるはずです。安全運転を支える基盤として、ぜひ自分に合った仮眠室活用法を見つけてください。