トラック運転手はきつい？現役ドライバーが語る仕事の実態と魅力

トラック運転手は「きつい」仕事だと思っていませんか？確かに長時間運転や不規則な勤務など、厳しい面があるのは事実です。しかし、それだけがトラック運転手の実態ではありません。この記事では、「きつい」イメージと実際の労働環境を比較しながら、トラック運転手のやりがいや魅力についても探っていきます。

トラック運転手に「きつい」イメージを持っている人は多い

アンケート調査で判明した「きつそう」と感じる理由トップ3

トラック運転手は「きつい」という印象を持たれがちな職業の一つです。実際に、トラック運転手を対象としたアンケート調査でも、多くの人が仕事について「きつそう」というイメージを抱いていることが明らかになっています。

特に、「きつそう」と感じる理由のトップ3としてよく挙げられるのが以下の点です。

・長時間運転で肉体的・精神的に負担が大きそう
・不規則な勤務体系で生活リズムが崩れそう
・休日が取りづらく、プライベートが充実できなさそう

トラック運転手は、1日の大半を運転席で過ごすことになります。長時間同じ姿勢を取り続けることで、腰や首、肩などに負担がかかり、肉体的につらいと感じる人が少なくありません。また、何時間もハンドルを握り続け、常に周囲への注意を払い続ける必要があるため、精神的にも疲労がたまりやすいのです。

さらに、トラック運転手の勤務体系は不規則になりがちです。早朝や深夜の運転を担当することもあれば、長距離輸送では数日家に帰れないこともあります。そのため、生活リズムが大きく乱れてしまうことを懸念する声も多く聞かれます。

加えて、トラック運転手は休日の取得が難しいとされています。物流の現場では、休日も荷物の輸送が求められることが多いためです。休めない状態が続くことで、家族との時間やプライベートが充実できないのではないかと不安に感じてしまう人もいるでしょう。

このように、トラック運転手には「きつそうだ」と感じさせる要素が複数あることから、漠然と「きつい」イメージが定着していると言えそうです。しかし、実際のトラック運転手の労働環境は、このイメージ通りなのでしょうか。次の章では、その実態に迫っていきます。

実際のトラック運転手の労働環境はどうなっているのか

ドライバーの1日の仕事の流れを紹介

トラック運転手の1日は、以下のような流れで進むことが一般的です。

・出勤、アルコールチェックや点呼
・運行前の車両点検
・荷物の積み込み作業
・指定された経路に従って運転
・規定の休憩時間の取得
・目的地での荷卸し作業
・帰庫後の車両点検、精算事務

運転以外にも、荷物の積み下ろしや付帯作業が発生するため、ハンドルを握っている時間よりも拘束時間の方が長くなる傾向にあります。

運転時間や拘束時間の実態

トラック運転手の平均的な1日の運転時間は10〜11時間程度、拘束時間は13〜15時間前後だと言われています。

ただし、これは輸送品目や運行ルートによって大きく異なります。例えば長距離輸送の場合、1回の運行で数日間家に帰れないこともあり、車中泊を余儀なくされるケースも少なくありません。一方で、日帰りで完了する近距離輸送であれば、拘束時間はもう少し短くなるでしょう。

休日の取得状況

トラック運転手は休日の取得が難しいと言われています。ドライバー全体の休日取得率を見ると、

・週休1日制または1日半制: 28.2%
・週休2日制: 48.1%
・完全週休2日制: 20.5%

となっており、7割近くが週に2回休むことができる環境のようです。しかし、土日に連続して休めているのは2割程度に留まっており、必ずしも理想的な休日取得とは言えない状況です。

また、年末年始休暇の取得状況は、輸送品目によって大きく左右されます。一般企業向けの場合は比較的休みが取りやすいものの、小売店や飲食店向けの輸送を担う運送会社では、休日返上で配送に当たるケースが多いのが実情です。

このように、トラック運転手を取り巻く労働環境は、必ずしもイメージ通りとは限りません。しかしその一方で、「きつい」と感じる部分が全くないわけではないのも事実。次の章では、このイメージとのギャップが生まれる原因について考察していきます。

「きつい」イメージとのギャップはなぜ生まれるのか

前章で見てきた通り、トラック運転手の労働環境は、必ずしも「きつい」イメージ通りではありません。それでは、なぜこのようなイメージとのギャップが生まれているのでしょうか。ここでは、その背景について考えていきます。

世間のイメージと実態の乖離

トラック運転手が「きつい」と言われるようになったのは、昔からの話。現在も根強く残るイメージの多くは、過去の労働環境に基づいています。

燃料や人件費のコストを抑えるために効率重視の配送が求められ、ドライバーは無理な運行を強いられることも珍しくありませんでした。そのような状況が、世間一般の「きついイメージ」を作り上げたのです。

また、物流業界の中でも特に厳しい労働条件の下で働くドライバーの存在が、ややもすると全体のイメージを決めつけてしまう側面もあるでしょう。

トラック業界の働き方改革

しかし近年、政府主導の「働き方改革」の流れを受けて、トラック業界でも労働環境の見直しが進められています。

2024年4月からは時間外労働の上限について、年960時間までの罰則付きの規制が設けられる予定です。加えて、勤務と勤務の間に一定時間の休息期間を設けることも義務付けられるなど、ドライバーの健康や安全に配慮したルール作りが進んでいます。

さらに、テレマティクスをはじめとするIT機器の導入により、運行管理の効率化も急速に進歩。ドライバーの負担軽減や業務の無駄削減にも役立っています。

つまり、「きつい」イメージとのギャップは、トラック業界の変化のスピードについていけていないことが大きな要因と言えるでしょう。今後は実態に即したイメージ修正が徐々に進んでいくことが期待されます。

一方で、業界全体として働きやすい環境づくりが進む中にあっても、トラック運転手という仕事にやりがいや魅力を感じるかどうかは個人差があるもの。次の章では、ドライバーから見た仕事の魅力について掘り下げていきます。

2024年からの時間外労働規制による運転可能時間の削減について、下記の記事も合わせてご確認ください。

2024年6月19日 【2024年問題徹底解説】トラックドライバーの走行距離はどう変わる？生き残るための方法を探る

トラック運転手の仕事のやりがいと魅力

「きつい」イメージの一方で、トラック運転手にはどのようなやりがいや魅力があるのでしょうか。ドライバー自身の声を基に、この仕事の魅力に迫ります。

ドライバーから見た仕事の魅力

ドライバー歴の長いベテランの方は、事故なく安全に貨物を届けることにやりがいを感じている人が多いようです。日々の点検や整備、効率的なルート選びなど、安全運転のために欠かせない業務をこなすことで、プロとしての自覚も高まるのだとか。

一方、若手ドライバーの中には、トラックを運転すること自体が楽しいと感じる人も。大型車ならではのダイナミックな運転は、クルマ好きにはたまらない魅力です。

下記の記事でも解説しているので参考にしてください。

2024年6月19日 トラック運転手は楽すぎるは本当？仕事の実態から向き不向きまで徹底解説

「きつい」部分を乗り越えられる人の特徴

トラック運転手に向いているのは、まず体力に自信のある人です。長時間の運転や荷役作業を担うためには、体力が何より大切です。

また、規則正しい生活が送れることも重要です。不規則な勤務体系についていくには、自己管理能力が問われます。

そして、一人の時間を楽しめるかどうかもポイント。ドライバーは、運転中のほとんどを一人で過ごすことになるため、寂しがり屋さんには不向きな仕事かもしれません。その反面、ラジオを聴いたり景色を楽しんだりと、自分だけの時間を満喫できるのは大きな魅力だと言えるでしょう。

下記の記事でトラック運転手の向き不向きに関して詳しく解説しているので、参考にしてください。

2024年6月19日 これさえ見れば、あなたがトラック運転手に向き不向きか丸わかり！徹底解説！

やりがいを見つけられない時の対処法

それでも、仕事にやりがいを感じられない時期があるかもしれません。そんな時は、まず先輩ドライバーに相談するのがおすすめです。運送業界の厳しさを知る先輩たちだからこそ、説得力のあるアドバイスをもらえるはずです。

また、疲れが溜まっている時は、休息を十分に取ることを優先しましょう。

どうしても耐えられない場合は

運転手として働き続けることが難しいと感じたら、配置転換や他職種へのキャリアチェンジを視野に入れてみるのもひとつの手。

荷役専門のスタッフなど、運送会社の中にもドライバー以外の働き方はたくさんあります。まずは職場の上司や人事担当者に悩みを打ち明けてみることから始めましょう。

どうしても環境になじめないのであれば、他社への転職を考えるのも選択肢のひとつです。自分に合った働き方を探すことが、何より大切だと言えます。

「きつい」イメージと、実際のやりがいの両面を知ることで、トラック運転手という仕事の本当の姿が見えてくるのではないでしょうか。

まとめ：「トラック運転手＝きつい」は正しいのか？

これまで見てきたように、トラック運転手の仕事には「きつい」と感じる面があるのは事実です。しかし同時に、やりがいを感じられる魅力的な側面も数多くあることがわかりました。

トラック運転手が本当に自分に合っているのか見極めるためには、「きつさ」だけでなく、仕事の魅力についてもしっかりと理解しておく必要があります。実際に働いている人たちの生の声に耳を傾けることで、自分なりの答えが見つかるかもしれません。

また、誰にでも向いている仕事というわけではありませんが、体力に自信があったり、一人の時間を楽しめたりする人であれば、十分にやりがいを感じられる可能性は高いでしょう。

さらに、トラック業界では働き方改革が急ピッチで進められています。労働時間の上限規制や、勤務間インターバルの確保など、少しずつではありますが確実に改善へ向かっています。

したがって、「トラック運転手＝きつい」というイメージを鵜呑みにするのではなく、自分に合った働き方ができるかどうかを冷静に見極めることが大切だと言えるでしょう。

運転手の仕事は誰にでも向いているわけではありませんが、適性のある人にとっては、ドライバーとしてのやりがいに満ちた毎日が待っているはずです。まずは、自分の特性を知ることから始めてみてはいかがでしょうか。