【個人タクシーは儲かるか？】年収600万円を目指すための道筋を完全解説！

個人タクシードライバーとして独立し、年収600万円以上の高収入を目指すことは夢物語ではありません。ただし、そのためには戦略的な営業活動と確かな経営感覚が欠かせません。本記事では、個人タクシーの収益構造から、成功ドライバーの特徴、そして開業までの具体的な手順まで、年収アップのための極意を余すところなくお伝えします。

個人タクシーの収益の仕組み

個人タクシードライバーの収入は、基本的に歩合制です。つまり、売上に対する一定の割合が報酬としてドライバーに支払われるシステムになっています。法人に勤めるタクシードライバーの歩合率が6割程度であるのに対し、個人タクシーの場合は8～9割に達するのが一般的です。

この背景には、個人タクシーでは会社に支払う上納金が発生しないという事情があります。法人の場合、売上の一部を会社に上納する必要がありますが、個人タクシーではそのコストが不要。その分、売上により多くの割合を報酬として受け取れるわけです。

歩合制が基本：売上の8～9割が報酬に

売上の大半が自分の懐に入るというのは、個人タクシードライバーにとって大きなメリットと言えるでしょう。モチベーションを保ちやすく、頑張った分だけダイレクトに収入に反映されるため、ドライバーの働きがいにもつながります。

法人との違い：会社への上納金がない分、収入アップのチャンス

会社に納める上納金がない分、その分の収入を丸々自分のものにできるのも個人タクシーの魅力。売上アップに注力すれば、それが報酬に直結するので、法人勤務よりも収入面で有利に働く可能性があると言えます。

一方で、ランニングコストは全て自己負担に

しかし、個人タクシーにはデメリットもあります。車両の維持費や燃料代など、営業を続けるために必要なランニングコストが全て自己負担になるのです。法人の場合、こうした費用の一部は会社が負担してくれますが、個人タクシーでは全て自前で賄わなくてはなりません。

また、売上が伸びればそれだけ報酬も増えますが、売上が落ち込めば収入にも直結するリスクがあります。法人のように固定給がある訳ではなく、変動費の占める割合が大きいため、安定した収入を得るためには気を抜けない側面もあるでしょう。

このように、個人タクシーの収益構造にはメリットとデメリットが表裏一体となっています。自分の働きが収入に反映されやすい一方で、コスト負担も大きい。これらの特性をよく理解した上で、効率的な営業を心がけることが、個人タクシーで稼ぐための第一歩と言えそうです。

年収600万円を稼ぐ個人タクシードライバーの特徴

個人タクシードライバーの平均年収は400万円程度と言われていますが、中には年収600万円以上を稼ぎ出すハイパフォーマーも存在します。そんな高収入のドライバーには、いくつかの共通点があるようです。

長距離エリアを攻める

1回の乗車で多くの売上を稼ぐなら、長距離エリアを攻めるのも手です。都心部と郊外を結ぶ長距離営業は、必然的に運賃単価が跳ね上がります。特に深夜の時間帯は、終電を逃した人々の需要が見込めるチャンス。遠距離の帰宅ニーズを確実に取り込むことが、売上アップの鍵を握ります。ただし、長距離営業には体力勝負の側面もあります。遠くまで走った分、休憩や仮眠を取る時間も必要になるでしょう。無理のない範囲で長距離需要を取り込み、効率よく売上を積み重ねていくことが肝心です。

効率的な営業スタイルを確立している

個人タクシーで稼ぐには、効率的な営業スタイルを確立することが不可欠です。
高収入ドライバーの多くは、無駄な待機時間を極力省き、常に乗客を乗せている時間を増やすことに注力しているようです。繁華街の駅周辺で長々と待つのではなく、空港や大型商業施設など需要の見込める場所を狙って機動力高く移動する。
そうした効率的な動線を組むことで、1日の稼働時間に占める実車時間の割合を高めているのです。また、ITの力を借りることで、配車効率を大幅に高められます。GPSを活用した配車システムを導入し、無駄な走行を減らすのは効果的な方法と言えるでしょう。

法人顧客など、固定客を数多く抱えている

年収600万円クラスのドライバーは、優良な法人顧客を数多く抱えていることも大きな特徴です。安定した売上をもたらしてくれる会社や病院などと、専属契約を結んでいるケースが少なくありません。法人からの配車依頼は、長距離移動が多くなる傾向があり、1回あたりの運賃単価が高くなりやすいメリットもあります。固定客を確保しておくことで、売上の下支えになるだけでなく、効率的な営業にもつながるのです。

新規顧客の開拓にも余念がない

既存の固定客を大切にする一方で、新規顧客の開拓にも常に力を入れているのが、高収入ドライバーの共通点です。乗客とのコミュニケーションを通じて信頼関係を築き、リピーターを増やしていく地道な努力を怠りません。また、地元の観光名所や店舗などに関する豊富な知識を身につけ、お客様のニーズに幅広く応えられる工夫も大切です。新規顧客の獲得なくして、年収アップは望めません。さまざまな営業手法を駆使して、顧客基盤を広げ続けることが重要なのです。ただし、こうしたハードワークの裏では、疲弊しないための工夫も欠かせないでしょう。

料金設定を柔軟に変更する

需要に応じて料金設定を柔軟に変更するのも、売上アップの有力な方法の一つです。曜日や時間帯によって運賃を変動させる仕組みを取り入れてはいかがでしょうか。金曜や土曜の夜など、需要が高まる時間帯の料金を割増しにするイメージです。
繁忙期の増収分が、売上の底上げにつながるはずです。ただし、価格競争力は失わないよう注意が必要です。値上げ幅が大きすぎると、逆に乗客離れを招く恐れもあります。利用者の心理的な許容範囲を見極めつつ、適切な価格調整を心がけたいものです。

個人タクシーが向いている人の特徴

個人タクシーは誰にでも向いている仕事ではありません。
特に、以下のような特徴を持つ人は、個人タクシードライバーとして成功する可能性が高いと言えるでしょう。

独立心が強く、自分で稼ぎたいと思っている

何より大切なのは、自営業者として働くことへの覚悟です。会社の後ろ盾がない分、全ての責任は自分に降りかかってきます。そうしたプレッシャーを跳ね除け、自分の力で稼ぎたいという強い意欲が求められるのです。独立心旺盛な人や、組織に縛られずに働きたいタイプにとっては、個人タクシーはうってつけの仕事だと言えるでしょう。自分のペースで仕事ができるメリットは、何物にも代えがたい魅力のはずです。

体力に自信があり、長時間労働もいとわない

個人タクシーは体力勝負の側面もあります。1日10時間以上、休憩も満足に取れずにハンドルを握り続けることもザラ。
そうした長時間労働が当たり前の世界で生き抜くには、強靭な体力が欠かせません。特に夜間の仕事が多くなる個人タクシー。生活リズムも不規則になりがちです。自律神経のバランスを保つことすら難しいと言っても過言ではありません。
そうした環境下でも、疲労と上手く付き合える体力があるかどうかが、適性を測る上で重要なポイントとなります。

車の運転が得意で、安全運転を心がけられる

当然ながら、プロドライバーとしての運転スキルも不可欠です。狭い路地裏の運転や、雨の日の滑りやすい路面など、状況に合わせて安全に運転できる技術が求められます。何より大切なのは、安全運転を何より優先するという意識の高さ。スピードや乗り心地よりも、乗客の命を守ることを最優先できる冷静な判断力が欠かせません。事故を未然に防げるかどうかは、ドライバーの安全意識によって大きく左右されるのです。

接客業務が好きで、人と接するのが苦にならない

タクシードライバーは、単なる運転手ではありません。乗客とのコミュニケーションを通じて、最高のサービスを提供することが求められる仕事です。行き先を正確に聞き取り、ニーズに合った柔軟な対応ができるかどうか。ちょっとした心遣いや、気の利いた会話ができるかどうか。そうした接客スキルの高さが、利用者の満足度を大きく左右するのです。人見知りせずに、初対面の人とも上手く話ができるコミュニケーション能力は、個人タクシードライバーには欠かせない資質と言えるでしょう。

経営感覚があり、帳簿づけなどもこなせる

個人タクシーは、ドライバーであると同時に経営者でもあります。日々の売上管理はもちろん、税務署への確定申告など、経理面の実務処理も全てこなさなければなりません。数字に強く、帳簿づけを几帳面にできる几帳面さがあると、個人タクシーでの仕事はぐっとやりやすくなるはずです。小さな経費も見逃さずに記録し、ビジネスとして成り立つ収支バランスを常に意識する。そんな経営者としてのマインドが、個人タクシーで成功するためには不可欠なのです。

こうした資質や心構えを持ち合わせている人なら、個人タクシードライバーとして充分にやっていける可能性が高いと言えるでしょう。自分に合った働き方ができる喜びを感じながら、プロドライバーとしての腕を磨いていける。個人タクシーは、そんなやりがいのある仕事なのです。

個人タクシーになるために必要な手続き

個人タクシードライバーを目指すなら、開業に向けた準備を着実に進めることが大切です。
ここでは、個人タクシー事業を始めるために必要な手続きを4つのステップに分けて解説しましょう。

1. 陸運局への申請：許可を得るための審査をクリア

個人タクシーの運転手になるには、国土交通省の管轄する陸運支局に申請し、審査をパスする必要があります。
免許証だけでは営業はできません。個人タクシー事業の許可を得るための要件をクリアしなければならないのです。

許可の条件

プロドライバーとしての一定のキャリアがなければ、そもそも申請の資格を得られません。
目的地までスムーズにお客様を運べるよう、地域の道路事情に精通している必要があるのです。
法令順守の意識の高さも、許可を得る上での大きなポイントとなるでしょう。

2. 二種免許の取得：プロドライバーとしての必須条件

個人タクシーの運転手になるには、二種免許の取得が必須条件として定められています。普通自動車免許だけでは、プロドライバーとしての業務に就くことはできないのです。二種免許を取得するには、まず学科試験をクリアする必要があります。
タクシー業務に関する法令や、安全運転のための知識が問われます。その上で技能試験に臨み、プロとして通用する運転スキルを証明しなければなりません。筆記と実技、両方の試験に合格して初めて、個人タクシー事業の運転手となる資格を得られるのです。二種免許の取得は、開業までの必須ステップと言えるでしょう。

下記の記事で二種免許の取得に関して、詳しく解説しています。

2024年7月2日 タクシー二種免許の取得費用を徹底解説！料金の内訳や節約術も紹介

3. 開業届の提出：個人事業主としての登録手続き

個人タクシーを始めるには、所管の税務署に個人事業の開業届を提出する必要もあります。正式に個人事業主としての登録を行い、開業の準備を整えるためのステップです。届出書には、事業内容や開業時期、予定収入などを記載。印鑑証明書や本人確認書類など、必要な添付書類も一緒に提出しなければなりません。確定申告など、開業後の税務手続きを滞りなく行うための下準備と言えるでしょう。個人事業主としての心構えを新たにし、経営者としての自覚を持つ意味でも、開業届の提出は重要な意味を持つのです。

下記の記事でも詳しく解説していますので、参考にしてみてください。

2024年7月2日 個人タクシーの開業条件を徹底解説！必要な資格や資金、失敗しないコツ

4. 車両や設備の準備：万全の体制で営業開始

いよいよ個人タクシーの運転手としてデビューです。その前に、営業に必要な車両や設備を万全の状態に整えておくことが大切です。利用客を安全に目的地まで運べるよう、車両の点検や整備は入念に。法定メーターなどの器具も、きちんと設置・調整されている必要があります。空車サインを示す表示灯など、目印となるパーツ類も忘れずに装着しましょう。快適な車内環境を整えることも、利用客の満足度アップにつながります。カーナビや防犯カメラの設置など、備品の充実も図っておきたいところです。細部に至るまで目を配り、お客様を迎える態勢を整えることが肝心だと言えるでしょう。

以上の4つのステップを経て、いよいよ個人タクシードライバーとしての一歩を踏み出すことになります。
法的な手続きから車両の準備まで、一つ一つ丁寧に対応することが、順調な滑り出しにつながるはずです。
開業までの道のりを着実に歩んでいけば、個人タクシー事業の成功も近づいてくるでしょう。

【まとめ】個人タクシーで年収600万円を目指すには

個人タクシードライバーとして高収入を得るためには、様々な要素が絡み合っています。ビジネスパーソンとしての感覚を磨きつつ、プロ意識を持って仕事に臨むことが何より大切だと言えるでしょう。

法人との違いを理解し、強みを活かす

法人タクシーとの違いを正しく理解することが、まずは肝心です。歩合制の報酬体系を、自分の強みとして最大限に活かせるかどうか。そこが、個人タクシーで成功するための大きな分かれ目となります。

具体的な数値目標を立て、達成にコミットする

加えて、明確な数値目標を立てることも重要なポイントです。年収600万円という高い目標を達成するには、日々の売上や利益の目安を設定し、常にそれを意識した営業活動が求められます。数字を追いかける強い意志がなければ、高収入の実現は難しいでしょう。

顧客ニーズを重視し、付加価値を提供し続ける

また、付加価値の高いサービス提供も欠かせません。他社との差別化を図り、選ばれるタクシーになるためには、利用客の満足度を高める工夫が必要不可欠。接客の質を高めつつ、ニーズに合ったきめ細やかなサービスを提供し続けることが大切です。

個人事業主としての経営力を磨く

一方で、コストコントロールにも細心の注意を払わなければなりません。ムダな経費を削減し、ビジネスとして成立する収支バランスを保つ。経営者としての感覚を養うことが、安定した高収入につながるはずです。

年収600万円は、そうした努力の先に見えてくる目標です。タクシードライバーとして、プロフェッショナルとして、常に高みを目指して突き進む。個人タクシーの世界で成功を収めるための道標は、間違いなくそこにあるのです。