トラック運転手で月収100万円は可能？気になる給与の実態と高収入の秘訣

トラック運転手は未経験者でも挑戦しやすい人気の職業ですが、SNSなどを見ると「月収50万」「月収100万」といった高収入の情報を見かけることがあります。 本当にトラック運転手で月収100万円も狙えるのでしょうか。気になる収入の実態や高収入を目指すコツを徹底解説します。

トラック運転手の平均的な収入

全国のトラック運転手の平均月収は約35万円

一口にトラック運転手と言っても、運転する車両のサイズや配送距離によって仕事内容は様々です。しかし、運転手の平均的な収入は以下の通りとなっています。

【2022年 トラック運転手の平均月収】
・特積(男性)：34万400円
・特積(女性)：26万1,400円
・一般(男性)：34万3,700円
・一般(女性)：28万1,800円
※特積は長距離輸送を行うトラック

男女問わず全国平均では、トラック運転手の月収は約35万円前後と言えるでしょう。

収入の内訳は基本給と歩合給、各種手当など

トラック運転手の給与は、基本給と歩合給、各種手当を合わせた金額となります。

基本給は会社によって異なりますが、およそ10〜15万円ほどです。そこに走行距離や運搬量に応じた歩合給が加算され、深夜勤務などの手当も上乗せされます。

運転手の収入を支えているのは歩合給で、全体の4〜5割ほどを占めているのが一般的です。頑張った分だけ稼げる反面、配送量が少ないと収入も下がってしまう仕組みと言えます。

トラックの種類別の収入事情

大型トラック、けん引車両は収入が高い傾向

トラックの種類別に見ると、車両が大きいほど運転手の収入は高くなる傾向にあります。

【2022年 車両別の平均月収(男性・一般)】
・普通車：31万8,800円
・中型車：33万円
・大型車：39万3,400円
・けん引：44万7,200円

大型トラックやトレーラーを牽引する「けん引車両」は、高度な運転技術が求められる分、収入も高くなっています。一方、最も車両サイズの小さい普通車の収入は、他と比べるとやや低めです。

普通・中型トラックの収入は地域差が大きい

普通車や中型トラックは、地域によって収入の差が大きいのが特徴です。

【普通・中型トラックの地域別平均月収(男性・一般)】
・関東：37万2,800円
・中部：34万8,600円
・近畿：35万900円
・中国：34万5,700円
・四国：32万3,700円
・九州：31万1,300円

大都市圏の関東や近畿は、地方と比べて1〜6万円ほど収入が高い水準にあります。大都市は物流量が多く、運搬距離も長くなるため、地方よりも稼ぎやすい環境だと言えるでしょう。

月収100万円のトラック運転手は存在するのか

全国の上位1%に入る高収入ドライバーの実態

トラック運転手の平均月収は35万円前後ですが、ごく一部の上位層に限れば月収100万円に到達するドライバーも存在します。

とある大手運送会社の関係者によれば、全国の運転手の中で月収100万円を超えるのは上位1%にも満たない割合だそうです。
月収100万円のドライバーに共通しているのは、以下のような特徴です。

・大型トラックの運転手
・長距離輸送を担当
・10年以上のベテランドライバー
・全国規模の大手運送会社に勤務

つまり、トラック運転手の中でも特に高度なスキルを持ち、大手企業で重要な輸送を任されている一握りのドライバーだけが到達できる領域と言えます。

裏を返せば、一般的なドライバーが月収100万円を目指すのは容易ではなく、相当の努力と工夫が必要不可欠だと考えられます。

給与水準の高いトラック運転手の勤務先

大手運送会社は相対的に給与水準が高い

トラック運転手の給与は、勤務先企業の規模によっても差が出ます。

【企業規模別の年間賞与(大型トラック男性ドライバー)】
・従業員10〜99人：29万2,300円
・従業員100〜999人：38万8,800円
・従業員1,000人以上：71万5,900円

従業員1,000人を超える大企業では、中小企業の2倍以上の賞与を支給している実態が見て取れます。日本通運、西濃運輸、福山通運など全国規模の大手は、トラック運転手の給与水準が総じて高いと言えるでしょう。

特殊な貨物や長距離輸送を担う会社も高給の傾向

危険物や特殊貨物の輸送を手掛ける会社も、運転手の給与水準は比較的高い傾向にあります。

バラ積み船からの荷役、大型重機の運搬、化学品の輸送など、特殊なスキルと経験が求められる現場のドライバーは、高い報酬を得ているケースが多いようです。

また、大手宅配便や通販会社の長距離トラックドライバーも、拘束時間が長い分、給与水準は総じて高めです。
深夜・早朝の配送を行うドライバーも、夜間手当などで収入アップを図ることができるでしょう。

月収100万円はどんな生活？

月収100万円で叶う贅沢な暮らしとは

仮に月収100万円を手にしたら、一体どんな生活が送れるのでしょうか。

まず、全国のサラリーマン平均の3倍近い収入があれば、趣味や娯楽にもお金をかけられ、欲しかった外車や高級腕時計なども手に入れやすくなります。家族を高級レストランに連れて行ったり、豪華な海外旅行に行ったりと、贅沢な時間を過ごす経済的自由を手に入れられるでしょう。

また、月100万円の収入があれば、教育費や老後の資金なども計画的に貯蓄に回せます。金銭的な心配を最小限に抑えつつ、経済的にゆとりのあるライフスタイルを送ることができるはずです。

高収入ドライバーならではの悩みや課題も

月収100万円のドライバーは、一見すると理想的な暮らしを送れそうですが、悩みや課題も少なくありません。

長距離輸送などで稼ぐ反面、家族との時間はほとんど取れず、プライベートが犠牲になりがちです。過酷な勤務にストレスを感じ、健康面の不安を抱えるドライバーも少なくありません。

高収入であるが故に、会社からの期待値やプレッシャーも大きいです。重大な交通事故を起こしたり、納期に遅れたりすれば、簡単に収入を失ってしまう危険性もあります。

月収100万円に必要な職種経験と資格

月収100万円のトラック運転手になるには、相応の職種経験と資格が求められます。

まず、大型トラックの運転経験が10年以上あることが最低条件です。あらゆる道路状況で安全運転できる卓越したテクニックを身につける必要があります。

また、牽引免許や危険物取扱者免許など、高度な運転に必要な資格の取得も欠かせません。デジタコやGPSなどの運行管理システムにも精通し、効率的なルート選択やスケジューリングができなければなりません。

加えて、大型トラックの点検・整備スキル、荷役作業のテクニック、納品先とのコミュニケーション能力など、運転以外の現場スキルも重要です。

つまり、月収100万円のトラック運転手になるためには、単なる運転手ではなく、物流のプロフェッショナルとしての力量が問われるのです。

高収入トラック運転手になるための4ステップ

高年収トラック運転手になるにはどのようなステップを踏めばよいのでしょうか。ここでは具体的な方法を4ステップに分けて解説します。

ステップ1: 大型免許の取得

高収入のトラック運転手を目指すなら、まずは大型免許の取得が必須です。
大型免許を取るには、21歳以上であることと、普通免許取得から3年以上の経験が必要です。

大型免許の合宿教習は、2,3週間の滞在で40,50万円ほどかかるため、経済的な負担は少なくありません。しかし、大手運送会社の中には、入社後の免許取得を支援する制度を用意しているところもあります。

業界未経験でも、キャリアップを見据えて大型免許を取得できる環境が整っている会社を選ぶことが得策と言えるでしょう。

下記の記事も合わせてご確認ください。

2024年6月19日 大型トラックドライバーの給料はいくらか？給料を上げるコツも併せて解説！

ステップ2: 高収入が望める業種や企業を選ぶ

一口にトラック運転手と言っても、扱う貨物や輸送ルートによって、収入に大きな差が出ます。
前述の通り、特殊貨物輸送や長距離トラックを担当できる会社は、相対的に運転手の給与水準が高い傾向にあります。

また、宅配便最大手のヤマト運輸やSGホールディングスグループ、大手通販アマゾンの専属便など、大企業の配送を担当できれば、収入アップが見込めます。

物流センターを起点に、工場や倉庫への定期便を担当するルート配送は、走行距離が長くなりやすいため、歩合給で稼ぎやすいのも特徴です。

こうした高収入が望める業種や企業を選ぶことが、月収100万円への近道と言えるでしょう。

ステップ3: 高度な運転スキルと経験を積む

月収100万円のトラック運転手になるには、他のドライバーとは一線を画す運転スキルを磨く必要があります。

あらゆる天候や道路状況下で安全運転を徹底し、事故を未然に防ぐ高度な技術が求められます。
カーブの曲がり方、トレーラーの後退、ブレーキングのタイミングなど、基本動作を反復練習で身体に叩き込むことが重要です。

経験を重ねながら危険予知の感覚を磨き、どんな状況でも冷静・的確な判断ができるスキルを養いましょう。

効率的な運転を心がけ、燃費改善やメンテナンスコスト削減にも貢献できれば、会社からの信頼を得やすくなります。
運転以外にも、荷役作業や車両点検のスキルを高めることで、現場の即戦力として評価されるはずです。

ステップ4: さらなる収入アップのための資格取得

月収100万円への最終ステップは、より専門的な運転に必要な資格の取得です。

けん引免許を取得すれば、トレーラーの運転業務を任される可能性が高まります。
フォークリフトや玉掛けの資格を取れば、配送先での荷役作業の幅が広がり、歩合給アップにつながるでしょう。

冷蔵・冷凍車両の運転資格や、危険物取扱者免許を取得するのも得策です。特殊な貨物を運べるドライバーは、高い報酬を得られるケースが多いです。

デジタコやGPSを活用した運行管理システムの資格を取るのもおすすめです。システム管理の仕事を兼務すれば、ドライバー以外のキャリアパスを切り開ける可能性もあります。

トラック運転手の収入を上げるコツ3選

最後にトラック運転手の収入を上げるコツについて、分かりやすく解説します。

1.長距離輸送や深夜早朝便で収入アップ

トラック運転手の収入を上げるコツの一つは、長距離輸送や深夜早朝便を担当することです。

長距離を走るほど歩合給が増えるため、都市間の長距離ルートを任されれば、収入アップが見込めます。

また、早朝や深夜の配送は時間外手当がつきやすく、割増賃金で稼ぐチャンスです。
体力的にハードルは高いですが、しっかりと睡眠と休息を取りつつ、長距離や変則シフトに挑戦してみるのも得策と言えるでしょう。

2.大手運送会社への転職で待遇改善

より高い給与を求めるなら、大手運送会社への転職も視野に入れましょう。

中小企業から大手運送会社に移れば、年収が数十万円アップするケースも少なくありません。
日本通運、西濃運輸、福山通運など業界大手は、トラック運転手の給与水準が総じて高いです。宅配便最大手のヤマト運輸やSGホールディングスへの転職も、収入アップの近道と言えます。

ただし、大手企業は入社基準が厳しく、必要な経験や資格のハードルは高めです。キャリアに磨きをかけつつ、計画的に転職活動を進めることが肝要でしょう。

ヤマト運輸と佐川急便の給与に関して下記の記事で詳しく解説していますので、参考にしてください。

2024年6月19日 【完全版】クロネコヤマトの給料事情を大公開！年収・手当・賞与まで徹底解説

2024年6月19日 【徹底解説】佐川急便のドライバーの給料事情！手取りはどれくらい？

3.歩合給の仕組みを理解して効率よく稼ぐ

歩合制で稼ぐコツは、報酬の仕組みをしっかりと理解することです。配送距離、運搬重量、本数、作業時間など、歩合の計算方法は会社によって様々です。

自分の会社の歩合制度を詳しく把握し、効率良く稼げる仕事の取り方を考えましょう。配送ルートを最適化したり、待機時間を削減したりするなど、歩合を増やす工夫が重要です。

荷物の積み方を改善し、1回で多くの貨物を運べるようにするのも得策です。
無理のない範囲で、できるだけ多くの仕事をこなせるよう努力することが、歩合給を増やすカギとなるでしょう。

まとめ

トラック運転手の平均月収は35万円前後ですが、ごく一部の上位層に限れば、月収100万円に到達するケースもあります。
しかし、そのためには大型免許の取得から始まり、高度な運転スキルの習得、さらなる専門資格の取得など、長い年月をかけて研鑽を積む必要があります。

効率的に稼げる会社や業務を選びつつ、地道にスキルアップを重ねることが高収入への道と言えるでしょう。一朝一夕には成し遂げられない目標ですが、プロフェッショナルとしての誇りを胸に、コツコツと経験を積み重ねていくことが肝要です。
月収100万円のトラック運転手は厳しい職場環境に身を置くことになりますが、他では味わえない高い経済的自由を手に入れられる魅力があります。

「トラックの運転が好き」「物流の最前線で働きたい」という強い意志を持ち続けられるなら、月収100万円も不可能ではないかもしれません。高みを目指すドライバーの挑戦に期待したいです。